13-5
「ここが、月の神の天界です」
リリエルに連れられて、転移魔法を利用して来たのは小さな湖だった。天界なのかと疑うほど、何もない。
周りは木に囲まれ、街や村も見当たらない。
俺は思わずキョロキョロと辺りを見渡す。
「天界? ここが?」
「そうです。月の神は天使を持ちません。太陽の神が輝かしいのを好むのに対して、月の神は暗いのを好みます。一人でいたいのですよ」
「なるほど」
「それに太陽の神のように好戦的じゃありませんからね。月の神は非常に友好的な方です」
「うん?」
ふと俺は違和感を覚える。
「リリエルは記憶ないだろ? どうしてそういうことは知っているんだ? 本で学べるようなことじゃないだろ?」
「そう言えば、そうですね。月の神との思いでは思い出せませんが、友好的だと断言できます。何故なんでしょうか?」
リリエルが不思議そうな表情をする。
俺も不思議そうな表情をする。
すると、湖が黒くなり、湖の底から一人の少女が現れた。
「誰?」
銀髪の小さな少女だった。
すごく可愛らしい。レナちゃんと違った可愛さだ。綺麗に整った顔たち。白く透き通る肌。華奢な体。儚さがある。
この少女が月の神なのだろうか?
そんな少女は右手のすべての指をこちらに向けるようにして。
鋭く暗い閃光が飛んだ。
それは俺の横をかすめ、地面に突き刺さる。
思わず俺はリリエルと顔を見合わせた。
「友好的ですね」
「どこがだよ!」
「立ち去りなさい」
そんな俺たちに指を向けるのを止めず、少女が言う。
「何故、太陽の神の熾天使がここにいるのかは置いといて。そこのあなた」
「俺?」
「何故、ここにあなたがいる。立ち去りなさい。他の神には友好的でも、あなたとは友好な関係は築けない」
そして再び閃光が飛ぶ。
その瞬間、その閃光が何かによってはじけ飛んだ。
「待ちなさい。月の神」
二人の瓜二つの少女が気づいたら目の前に立っていた。
転移魔法だ。そしてその片方がその閃光を手ではじき返したのだ。
「はあ、まさかこんなことに巻き込まれるとは思いもしませんでした」
そしてその少女の片割れはそう呟いた。
昨日の時点では海の女神に出てた神は月の神の予定でした。




