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「意外と何とかなったな」
俺は中級スライムがいた場所を見ながら呟いた。
有を無へ変える力。
圧倒的な消滅の力。
これがあれば、スライムに負けることはない。不意打ちを受けなかったらだけども。
無敵じゃないか。最強すぎる。
まあ、神様の後継者だから、そんな力を持ってもおかしくは無いのかな?
あの神様なら、笑いながら襲ってきたスライムを全て消滅して、死んだ人間を全員蘇らせたりしそうだ。
神様を思い出すと、久々に会いたくなってきたな。もう何日経ったのだろうか?
「いや、それよりも先にスライムだ」
まだスライムはいる。
他の全てのスライムを倒していかないと。
そう思って、俺は階段を降りて行く。
「何だ?」
ふいに、不思議な感覚に襲われた。
何だろう。
見られている感覚だ。
俺は思わず空を見てしまった。
これはただの偶然だった。俺が空を見ると同時に空の雲が消えたのだ。
何が起きたのか理解が追いつけない。
なんだ?
何が起きたんだ?
どうして雲がなくなったんだ?
無くなった雲の中から、羽が生えた人間がゆっくりと降りて来る。
人間ではない。
天使だ。
その神々しい光景に俺はただ待ち惚けていた。
六つの真っ白な翼。どういうわけか、六つの翼の内、四つを使い体と顔を隠している。その隙間から覗かせる銀髪と真っ白な服、そして綺麗な肌。
右手の中に真っ白な槍が握られている。
どれもが白で統一されている。
一瞬。
顔を隠す翼が開いたと思ったら。
その天使と目が合った。
この上ない憎悪を感じた。




