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1:悪役令嬢 ルべリア・フォーマルハウト



「「この世は乙女ゲームである」」



私、悪役令嬢ルべリア・フォーマルハウトは今このこと(前世のこと)このことを思い出した。


きっかけはお父様から頂いた指輪を指にはめたこと。


赤い宝石が嵌められたそれが鈍色に輝く。魔力が吸い取られる。あっけに取られていられると目の前の男が心配をはらんだ眼差しでこちらをのぞいていた。


「ベリィ、どうかしたのか?」


男が私に問う。困惑が顔に出ていたのかもしれない。


「すこし調子が優れなくて。もうお部屋に戻ってもいいかしら、お父様。」


なるほど、この男はルベリアの父親なんだろう。

作中では全く出てこなかったからわからなかったけど「お父様」そう勝手に口が紡いだおかげで気づけた。


「ああ、そうだったのか。気づいてやらなくてすまなかった。後で給仕にジンジャーティーをもっていかせよう。ベリィ、ゆっくりおやすみ。」


黒に赤のメッシュが入った髪のイケメンだ。


優しく、かなり過保護そうな様子、ルベリアを甘やかして育て、我儘で傲慢に育てた元凶と言われればきっとそうなんだろう。


「お付き致します、お嬢様」


出入り口のドア付近にいた侍女の一人が申し出た。


「ええ。」



そうして侍女に連れられてルべリアの部屋についた。


一人になったので取り敢えず何が起こっているのか、現状を整理してみよう。


ここはおそらく

「「Call of love dream」」

珍しいクトゥルフ神話ベースということでコア層に爆発的な人気が出た知る人ぞ知る伝説の乙女ゲームだ。


攻略キャラクターやサブキャラのほとんどがクトゥルフ神話の神格モチーフのイケメン、美女であり、戦闘要素も多少ある。


乙女ゲームファン、クトゥルフ神話ファンどちらも楽しめる内容のまさに神作。


かくいう私も攻略対象のエンディングをすべて通ったエンジョイ勢だった。


私はルベリア・フォーマルハウト公爵令嬢、私の知る乙女ゲームの悪役令嬢の中でもトップレベルの悪女だ。


一番激しかったのは攻略対象のハイタ第二王子殿下ルートで、ルベリアは婚約者である彼と距離が近くなっていくヒロインに腹を立て、ヒロインを学園内にある森に呼び出して森に火を放つ。


しかもハイタ王子ルート以外でも悪女として君臨しヒロインを徹底的に虐め抜く。


そしてクライマックスには、ハイタ王子から婚約破棄を言い渡されて暴走し国中に火を放つ。


ヒロインはルベリアの暴走を止めて国を守るため、彼女の首を攻略対象と共に打ち取るのだ。


国は助かって、ヒロインは功労者として攻略対象と結ばれる。



つまり要約すると私はこのままだと放火犯になり人に迷惑をかけまくって死ぬ。帰る方法がないか、ここに来た経緯も考えてみるか。


昨日私は確か、「                」


え?確かにやったはずなのに。なにを?

私は何をしていたんだろう。

確かにあった昨日が、昨日の記憶が丸ごとない。

家に居た?何を食べた?どこに行った?


「このゲームをやってたのは確かだと思うんだけど...それ以外思い出せないわ、」


こんな奇妙なことに巻き込まれているということでびっくりしているところに記憶喪失、おまけにこのままじゃ死ぬだなんて。

SAN値チェック1d6ぐらい入ってるんじゃないか。


どうにかしなければ。


口調は変えられなさそうだけど、高飛車なのは直そう。真っ当にいきよう。


私はそう心に決めて、フッカフカの寝具に身体をうずめた。



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