続・ミアのお仕事_2
「さて、中に入りますか!」
ミアは勇ましくピラミッドの中へと入っていく。
俺とカルボナも後へと続く。
ピラミッドの中は、ほの暗くひんやりと涼している。
広々とした空間になっており、やはり壁には様々な模様が彫られている。
入り口からまっすぐ進むと奥へと続いていく通路があった。
通路を進んでいくと、下へと降りれる階段が見えてきた。
「タロさん、この下にいくと魔物がいるからねー」
先を歩くミアは、腰に巻いてるベルトホルダーに
収めている短剣の柄を掴む。
「カルボナさんは、魔物の討伐などは?」
「え、えぇ…たしなむ程度には…」
“たしなむ”という言い方に若干の疑問はあるが、
魔物との戦闘は手慣れたものなのだろうか。
「いいねカルボナ!心強いよ!」
「い、一応魔法研究所、主任研究員ですから…」
カルボナは頬を赤らめて照れくさそうにしている。
ピラミッドの下の階に降りてきた。
上の階より辺りが少し暗い。
すると、さっそく魔物を見つけてしまった。
ウサギのような長い耳に体躯、鋭い前歯。
もっとも特徴的なのは額からのびる一本の角である。
この魔物は『ラビホーン』という比較的弱い魔物。
群れで行動し、よく大型魔物に捕食される切ない魔物。
そんなラビホーンが5、6匹跳ね回っている。
しかし魔物とは言いつつも、
俺の目から見るとラビホーンはかわいい仔ウサギのように見えてしまう。
きゅるんとした眼に、モフモフの体毛。
前足で顔を掻く様子は愛玩動物そのものである。
とてもじゃないけど殺めることなどできるわけない!
「タロさん。ラビホーンがいるよ。」
ミアは腰の佩いている2本の短剣をすらりと抜く。
「ミア。ここは素通りしないか。」
「なんで?」
俺の提案に首をかしげるミア。
「いや…なんとなく。」
「なに言ってんの。いくよ!」
ミアは軽やかに走り出し、ラビホーンの群れに飛び込む。
辺りがほの暗い中、左右の手に持つ短刀がキラリとひかり、
ラビホーンをつぎつぎと切り裂いていく。
逃げ惑うラビホーンが、キラキラと涙を流しながら倒れていく。
「み、ミアー!やめてくれぇー!!」
いたたまれなくなった俺はその場を駆け出し、
殺戮を繰り広げるミアを止めようとする。
俺の叫び声におどろいたミアは、こちらに振り向く。
「タロさん!なんなのさっきから!」
「やめてあげてくれぇ!可哀そすぎる!!」
涙を流しながら訴える俺に困惑するミア。
「こんな可愛い子達を切り刻むなんて!」
「かわ…魔物だよ!?これ魔物だよ!?」
この世界の人たちには動物愛護のこころがないのか。
そんな疑問を抱く、異世界人ならではのひと時であった。




