*1巻のおさらい(ジャスパーの語り)
……っと、ちょっとお子が寝てるから、ここでもいい?
ん、ありがと。さて、今日は何の話だ。
——ああ。あいつの昔話、その続きね。
そうだなー、ガキの時のあいつの話なんて、いくらでも掘れるけど。
前回だって、だいぶ情報の波に溺れただろ。一旦、おさらいしよか。
むかーしむかし……え、もっと雰囲気だせって? しょうがねーな、じゃあ……こんな感じでどう?
かつてのラウル。
母を目の前で失った少年は深い絶望の果てに記憶を失くし、海の亡霊たちの中に拾われた。
名を与えたのは、大海賊ゼフィランサス。
以来、少年は“ルキフェル”として孤独を抱えながらも、荒波の中で生きる術を覚えていく。
彼にとって、海は恐怖ではなく唯一の居場所だった。
フランソワ、リュウ・ヨシマサの二人に育てられ、少年は十六歳となる。
フランスの私掠船、フランソワ船団のクォーターマスターとして。
見られることの恐怖や自身の置かれた環境に苦悩しながら、天才的な頭脳を惜しみなく発揮していく。
そんな中、フランソワ船団は休暇を名目にサン=ジャン=ド=リュズを訪れた。
ルキフェルは、この地で生涯忘れられない出逢いをすることになる。
この物語では、親のように見守る者・兄弟のように笑う者・仲間として隣に立つ者。
彼らとの出逢い、そして新たな船団と伝説の誕生を語っていく。
……え、やっぱ落ち着かないから普通に喋れ?
うん、おれも同じこと思ってたわ。戻す。
さて、何から聞きたい? おれはどこから始めても構わないよ。
おれたち五人がどういう経緯で集まったのか、フランソワ海賊団の成り立ちとか……
盛り沢山な昔話、用意してあるけど。
——生涯忘れられない出逢いとは、具体的にどんなことかって?
そうだなあ、まあ結論からいえばロッマーンスだ。
……おい、待て待て待て落ち着け。お子が起きちまう、ちゃんと順番に話すから座れ座れ。
ええと、あれは……おれが十八で、あいつが十六の時か。
ちょっとしたゲームをすることになって、あいつはまんまと乗ったわけ。
そしたら……出逢っちまったのさ。とびきり綺麗な子に。
んで、結果的におれは二人のキューピッド。
……おい、笑うな。いいか、この話はな。そう単純じゃないんだよ。
こうやって雑にしゃべってんのは今だけだ。
——いやあ、懐かしい。
後にも先にも……あいつが誰かに本気になったのは、あの時からだろ。
あいつはぜっったい、はぐらかすけど!
そうだなあ。あれは、おれたちがサン=ジャン=ド=リュズに辿り着いた時のこと…………




