エンドマーク
白い、どこか神々しい服を身にまとった老人である。俺のことをじっと睨めつけてきたかと、思うと静かに両手を開いた。
「失礼。彼らは我が地上に降りるために犠牲になってもらった。全盛期とは違って衰えてしまってな。誰かを踏み台にしないと、我は自由に天界と地上を行き来できないのだ」
「て、天界だって……?」
この人は一体なにを言っているのだろうか。それに天界って……まさかこの人も神かなにかなのか? だが……エルドラたちを犠牲にしたって言ったよな……? つまりなんだ、こいつは地上に降りるためだけに仲間を殺したって言うのか?
「なんだよ……てめえはよ!」
「我はエンドマーク。この世界を支配し、統べるもの。エルドラたちのマスターである」
ということは、こいつが神の中で一番偉いやつってことなのか? だけど、そんなやつがどうして俺なんかに用があるんだ。
「ところで、お前は疑問に思ったことはないか? 最近起こった身の回りのことだ。少しばかり、自分に都合が良すぎることが起きているとは思ったことはないか?」
「都合が……良すぎる……?」
「ああ。思い当たらないか? 神々の迷宮のことや、直近で言えばアルト伯爵のことだ。あの女はどうやら気がついてしまったようだがな」
ユウリさんが……? だが、彼女は確かに言っていた。『何者かによって都合よく』と。
「分かったか? 全部、全部我がやってやったのだ。お前が神々の迷宮を順調に攻略できたのも、アルト伯爵の一件がこんなにも簡単に終わったのも。全部だ。お前たちが貴重な人材だからな。感謝してくれてもよい」
「は……?」
「まあ、神々の迷宮攻略についてはお前の実力が大きい。我が手を入れたのもエルドラを倒し、見込みがあると思ったからではあるわけだが」
確かにこれまでを振り返ってみると、少し都合が良すぎることが何度かあった。だが――それが全部エンドマークと名乗ったこいつがやったのか?
「一体どういう目的でそんなことをしたんだ……!」
叫ぶと、エンドマークは手を広げる。
「お主たちが選ばれた人間だからだ。我は探していた、神々を打ち倒すことができる人間を。我は望んでいた、そのような人間と共に新たな世界を見てみたいと」




