第8話 魂の系譜をたどると……
佳織たちはログアウトして、テストプレイルームで話し合った。
「これで解決するのかな」
「わからん」
「だいぶ落ち込んでいましたね」
「矢向さん、あの世界のアンネさんは本当に杏さんの育てた魂なんですか」
転生NPCの魂は一つの世界だけでなく、いろいろな異世界で転生している。そして転生される度に進化していく。何世代も転生すると元の魂とはかけ離れる。それによって魂の多様性を確保しているのだ。
矢向はテストプレイルームにある端末を操作して、『輪廻サーバー』にアクセスした。
しばらくして矢向が言った
「アンネさんの魂の系譜をたどって、いくつかの魂を探してみたのですが・・・ある魂の記憶の中にこんなのを見つけました」
それは杏らしき人物が微笑んでいる映像だった。赤ちゃん目線で母親を見つめている構図だった。
「杏だわ。あの子、こんな優しい目をして・・・」
「矢向さん、この魂は杏さんの子供といえますね」
「ということは宿川原会長のお孫さんか。矢向君、この魂は転生可能かな」
「origin01192ですね。やってみます」
「でも今から転生させても赤ちゃんから生まれますよね。会長には間に合いませんよ」
「大丈夫。メンテナンス用アバターの一つをつぶして魂の受け皿にするから」
「杏さんが育て始めたのは7年前か。7歳の設定で作ってみよう」
イーゼル砦の一室。魔王ラインハルトの私室。
ノックの音がした。
「入れ」
宿川原が魔法でドアを開けるとそこには桜子が立っていた。傍らには小さい女の子がいる。
「あなた、この子が杏が育てた魂を受け継いだ子よ」
「佳織さんたちが探し出してくれたの」
「おじいちゃんなの?」
はにかむその仕草は記憶の中の杏と全く同じだった。
宿川原は大きく目を見開いた。
「名前はなんというんだ」
「『あおい』よ。杏が名付けたの」
「あなた。いつものことだから、少しぐらいの浮気なら許します。アンネさんの思いも、しっかりと受け止めなさいね」
第二部 完




