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才媛伝  作者: わかめうどん
出会い
9/9

第2章「学問所編・護衛編」ep.3

夜が更け朝になり、授業が始まる。


「では皆さん、筆をとって。今日は書道をしていきますよ。かの有名な書家の文字に習って書いていただきます。」


そう告げるのは、先月、還暦を迎えたばかりの男性教員薛洋(シュエヤン)久習館(きゅうしゅうかん)では珍しく温厚で丁寧な指導をすることから、生徒からの信頼も厚い。そんな薛洋(シュエヤン)の言葉を聞き、生徒は早速書き始める。


「さあ皆さん、力を入れるところと抜くところをしっかりと捉え、のびのびと書いてください。このお題には華麗さが必要です。君たちの出来栄えに期待していますよ。」


薛洋(シュエヤン)は生徒たちの周囲を歩き回り、出来栄えを確認する。その合間に話す薛洋(シュエヤン)の話によると、この書家は宴の席でお酒に酔っている状態で、この書物を記したのだという。だから、ところどころ誤字脱字があるし、文字の大きさも均一ではない。それでも、後世で幅広く伝わっていくほど、価値のある書物とのことだった。


「ん?こちらに大変すばらしい出来栄えの生徒さんがおられますな。今日の授業も君が、先頭に立ってみんなを導いてくれるのかな?」

(シュエ)先生のお褒めにあずかり光栄です。」


薛洋(シュエヤン)に普段通り褒められた小楓(シャオフォン)を見て、徐熹(シューチー)は黙ってはいない。


「あ~ら、先生。私の字も見てくださる?この女よりもずっと上手に書けているはずですわ。」

「う、うん。見てみますよ。…………、うん、このまま練習を続けてみましょうか。」


徐熹(シューチー)の字は端的に言うとものすごく下品なつくりをしていた。自分を見て見て、というオーラがこれでもかというほど、字にまき散らされている。それでも、胸を張って上手に書けていると言うものだから、ほかの生徒たちはある意味感心していた。


「次の授業では、今日練習したお題の清書をしていただきますよ。ですから皆さん、一生懸命練習してくださいね。その清書は皆さんの成績に関係することになります。」


久習館(きゅうしゅうかん)の成績のつけ方は教科によって異なる。実技に重きを置く教科もあれば、座学つまり筆記に重きを置く教科もある。しかし、どの教科も決まって通知表というものが配られ、「秀・優・良・可・不可」で成績が出される。これで不可をとってしまえば、退学は決定事項でそれはどの教科も変わらない。だから、生徒たちは皆、成績が絡むと必死になる。


「あっ、そうだ。これを言わないと。」


薛洋(シュエヤン)は生徒たちに向かって笑顔で告げる。


「この清書で優秀だった二名は園遊会で飾られる書を書いていただきます。皇帝陛下もご覧になるかもしれないよ。」


かの有名な書家とは、王義之のことをイメージしています。ですが、この物語は架空の世界ですので、現実に存在した有名な人物名は入れないようにしています。また、書道をやっていた方ならご存じかもしれませんが、王義之という書家はとても有名で、特に「蘭亭序」がよく知られています。小楓シャオフォンたちはそれをお手本にして練習しているという風に考えていただけたら、世界観がイメージしやすいと思います。

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