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瑠美ちゃんは最強です。

「何それ。馬鹿なの!阿保なの!頓馬なの‼︎」


 私の、ここ2日あまりで起きた事を包み隠さず話すと、瑠美ちゃんの拳がクッションに叩きつけられた。


「瑠美ちゃん!下に響くから、ねっ!」


 興奮状態の瑠美ちゃんを諌め、まぁまぁまぁと、マグカップを手渡し落ち着かせる。


「転校生にコロッと行っちゃうって、何処の乙女ゲームよ!ふざけんなぁーーッ‼︎」


 瑠美ちゃんもそう思ったんだぁ。ちょっと嬉しいかも。


 ゼロゼロと肩を上下させ、渡したマグカップを煽って、ダン!と机に叩きつけるように置いた瑠美ちゃんの顔が、真っ赤な赤鬼になっていた。


「やられたらやり返す‼︎それが常識‼︎私と、かなは運命共同体だから、転校なんて粗末な問題よ。私達の友情は永遠なの。だからっ!」


 テーブルを回り込み、瑠美ちゃんが私に抱きついて来た。


「…だから、泣けないから、恋じゃ無い何て言うなっ!かなはちゃんと恋してた!橘先輩に、恋してた!涙が出ないのは、かなの気持ちが、今の状況を受け入れて無いからだよ。」


「……瑠美ちゃん、ありがとう。私、瑠美ちゃんに会えて良かったぁ。転校しても瑠美ちゃんとなら大丈夫だね。」


 私は瑠美ちゃんの背中を、ポンポンと叩き、さっきとは逆だなぁと、満面な笑みを浮かべる。


「あたり前でしょう。かなが転校しても、大学生になっても、社会に出ても、結婚して、子供が出来て、孫が出来て、80歳のおばぁちゃんになっても、ずっと変わらないから!私は、変わらないから!」


 80まで生きるの決定なんだ。そうか、頑張らなきゃぁ。


 瑠美ちゃんからの言葉は、私の心を熱く包み込んで、モヤモヤした物を消滅してくれた。だから、最後まで逃げきれるように思えた。


「瑠美ちゃん、あのね頼みたい事があるの。」


「何!何でもするよ。あっ、橘先輩シメとく?」


 ガバッと身体を離すと、さっき髪を拭いていたフェイスタオルを首に巻き、自分で自分の首をシメるポーズをする瑠美ちゃん。…白目むかないで…。


「違う。私が博武やはるくん、ゆうくん、たいちゃんに会わないようにサポートして欲しいの。私も教室からなるべく出ないようにして、終わったら速攻で帰るから、体育や移動教室の時に、会わないように助けて欲しいの。」


「そんな事、朝飯前よ。クラスのみんなを巻き込んで、全力で阻止して見せるは!」


 はち切れんばかりの笑顔で、私にサムズアップする瑠美ちゃんが可愛い。


「で、いつ向こうの学校に行くの?おばさん達は、ひと月後でしょ?」


「うん。お母さん達は一先ず身の回りの物だけで向こうへ行くんだって。私は寮に入るから……2週間後かな。月曜日にお母さん、学校に行くって言ってた。」


「そっかぁ…じゃぁ、濃密な2週間にしないとね。」


「後ね、私の転校の話は内緒にして欲しいの。何処の高校に行くのかも、言わないで欲しいの。ほら、それが分かっちゃったら、教室や家に押しかけて来そうだから。」


 みんなの知らない間に、フェードアウトするんだぁ。


ありがとうございました。

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