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もう、いろいろすみません。


 2日続けての衝撃に、寝落ちしてしまいました。


 部屋に差し込む陽光に、既に夕方なんだと思った途端、昨日の場面を思い出し、胸が酷く痛み出した。


 きっと…私はフラれるのだ。


 何時も穏やかに笑い、優しく名前を読んでくれる博武は、いなくなるんだ。


 黒よりは少し薄い髪色で、固めな髪を整髪料で立ち上げ、縁の無いメガネを掛けている。スラッとした体躯で立ち姿がとてもキレイで、物静かで、成績は常にトップ。何時も騒がしい私達を、優しく見守ってくれていた。


 いつ、博武から別れを切り出されるのか…明日?月曜日?それとも、1週間後?考えただけで、ゾッとしたーーー怖くて、怖くて、怖くて。



 と、その時、昼間聞いた母の衝撃的な言葉が頭を過ぎった。



『本当は1年前から転勤の話は出てたの。でも、お父さんが単身で行きたく無いって、断ってたんだけど…』


『体調を崩された方がいて、どうしてもって言われてね。』


『だから、急なんだけど、佳奈恵、全寮の高校に転校手続きしておいたから。』




 イヤイヤいやいや、急にも程があるし、過程が無いのもおかしいでしょ?既に決定事項?今の学校を転校するの?本当に?



 でも、上手くすれば有耶無耶のまま、逃げれる…のかなぁ。博武に言われることを回避出来たりする?学校や、マンションで会わずにいられる?



 枝豆の形の抱き枕を抱きしめ、ベッドの上をゴロゴロと転がる。と、足元にあった小山に足が当たった。


 今朝タオルケットです巻きしたカバンだ。


 のそのそと起き上がり、掛け布団の中から出すと、タオルケットを取り、カバンのファスナーを開けた。


 携帯を起動させ、朝よりも酷い事になっているのを無視して、電話をかけた。


『はい、ハァ〜い!』


「瑠美ちゃん!今日バイト?」


『うぇッ⁈いきなりどうした?』


「バイト、ある?」


『…ある。何?』


「お願い!バイト先迎えに行くから、今日泊まりに行って良い?」


『急に何?何かあったの?かなにしては珍しいじゃない。』


「瑠美ちゃんに協力してもらいたい事があるの。話も電話じゃなくて、ちゃんと聞いてもらいたいの。だからお願い。」


『…分かった。終わるの9時だから、気を付けておいでね。』


「有難う!9時頃に着くように行くね。」



 電話を切ると、ベッドから降り携帯を机の上に置いた。


 その足でリビングに向かう。


 リビングでは、両親がテーブルに書類を広げていた。きっと、転勤や引越しやらの書類だろう。急だからね。


「お父さん、お母さん。お願いがあるのだけど。」


 私の突然の言葉に、ふたりはキョトンとした視線を向けた。



 高校で一番の友達は、杉野 瑠美ちゃん。


 入学式に私が瑠美ちゃんにぶつかって、鼻血を出したのを、保健室に連れて行ってくれたのがきっかけだった。


 茶色のショートボブの髪に、健康的に焼けた肌。大きな瞳は何時もキラキラと輝いていて、ちゃんと自分の意見が言える子だ。面倒くさがりなのに、いろいろ巻き込まれてしまうちょっとかわいそうな子でもある。


 私達はなぜかとても気があった。


 クラスも部活も違うのに、度々お互いの家に泊まり、しゃべり倒した。


 そんな大事な友達とも離れてしまうんだぁ…。






有難うございました。

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