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恋って…何?  作者: み〜さん


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37/41

佐藤くんは超スペックでした。

バカップル……続いてごめんなさい。

 あの後ーーしばらく解放されず、キツイ態勢を強いられたため、強めに頭を叩かせて頂きました。


 最近、テニス部の朝練に出てたから、明日筋肉痛を起こすことは無いと思うけど…。まったくぅ。


 私と佐藤くんは海をほとんど見ることなく( ただ、バカップルを披露しただけ……。) ショッピングモールに戻って、お昼を食べて、ブラブラとお店を見て回った。


 もちろん、見て回ってる間は手を繋いだ状態だった……ああっ!恥ずかしい!


 ゲームセンターにも寄って、対戦ゲームで遊んだんだけど……実に大人気ない!私があまり得意では無いと言うと、何故かガンガン攻められて、佐藤くんの圧倒的勝利。本人は跳び上がって喜んでいたが、加減されず、やり方もイマイチ分かっていない私相手ではそれは勝つよっ!


 そう怒ったら、お詫びのしるしにと、大きなクレーンゲームで、真っ白なウサギの縫いぐるみを取ってくれた。それも、ワンコイン (500円) で。佐藤くんがこんなスペックを持っていたとは……。恐るベシ!


 ウサギの縫いぐるみは、私がひと抱えできるぐらいの大きさで、フサフサのフニフニでとっても可愛くて、店員の人が大きな袋を用意してくれたけど、私はそのまま持って帰ることに。


 もう!嬉しくて!嬉しくて!嬉しくて!


「佐藤くん!ありがとう!」


 はち切れんばかりの笑顔で、感謝の意を伝えた。


 すると!佐藤くんが、縫いぐるみごと抱き締めてきたっ‼︎ だからっ!公衆の面前での羞恥プレイはイヤだってばぁぁぁっ!


 私と佐藤くんの間にある縫いぐるみの分だけ手が届かないから、叩いて訴えることができない!


 周りの生暖かい視線がっ!背中に突き刺さるぅーーーッ!


 解放された後、酸素不足で肩で息をしてしまいました。


 アッ!ちゃんと、佐藤くんには腹パンをお見舞いしておきました。ハイ。


 何度か恥ずかしい思いをさせられたんだけど、16時を過ぎたので、帰りの電車に乗るため、私と佐藤くんは駅に向かった




 私も佐藤くんも行きと同じで、電車の中で喋ることは無かった。ただ、流れる景色をお互い見つめていた。





 駅に着いて、佐藤くんがマンションまで送ってくれることに。


 いつもよりゆっくりと進む。少しでも佐藤くんといられる時間が続くように。


 佐藤くんも私と同じ気持ちなのか、歩調はゆっくりだ。


「佐藤くん、今日はありがとう。恥ずかしったけど、楽しかった。とっても素敵な思い出になったよ。」


「俺もーー佳奈恵と一緒にいられて、スッゲー楽しかった。だから、またデートしよ?佳奈恵がコッチに戻ってきた時に。俺……、佳奈恵と一緒にいたいんだ。」


 緊張で強張った顔をして佐藤くんが言った。とても真剣な声で。


「でもーーー私、明日ーー」


「分かってる。だから…遠距離恋愛してくれないかな?」


「遠距離?」


「そう。俺、佳奈恵がイイって、今日本当に思ったんだ。このまま……他の奴にとられるなんて、考えただけで胸糞悪くなるんだ!」


「でも、私の行く学校は女子校だよ?」


 そう、百合の園です。それはそれで、ちょっとドキドキ?


「知ってる。でも、友達の紹介っていう荒技があるんだ。それを知らぬ間にやられて、もしも相手が佳奈恵に興味を持ったら?もうね、悪い事ばかりが頭をよぎって…電車からずっとモンモンしてんだ…。」


 う〜ん。いつもと違う佐藤くんが新鮮だ。あ、また頭をガリガリと…。


「だから!山田 佳奈恵さん!俺と遠距離恋愛、して下さい!お願いします!」


 身長190の佐藤くんがピシッと背を伸ばし、脚に付く勢いで頭を下げた⁈


 いやぁぁぁぁっ‼︎ ココ!道端だから!今日何度目の羞恥プレイなのーーーッ‼︎


 あうあうしていると、佐藤くんが首だけ上げて私を見てくる。それも、不安げに眉を下げて。


「ーーーーだめ、か?」


 ああっ!もう!だめなワケないじゃない!全力で頭を振って否定した。


 すると、身体にバネが仕込んであるのか?と、思うぐらいの勢いで上体を跳ね上げ、へにゃっと力無く笑う佐藤くん。


「良かったぁぁぁっ……。これでダメなんて言われたら、これからの人生、真っ黒だよ。」


 そんな大袈裟なーーー。


 私は、抱えたウサギの縫いぐるみで顔を隠して、佐藤くんに向かって右手をだした。


「うっっ………。あの、ヨロシク、オネガイシマス。」


 キャァーッ!キャァーッ!恥ずかしい!道端でこんなこと有り⁈ 最初っから最後まで、ムードもヘッタクレも無いじゃなのォォォォッ‼︎


 なんて、心の中で絶叫していると、佐藤くんに右手を掴まれて、コレも今日何度目かの抱き込みにあってしまいました!


「……嫌だって言われても、無理だから。」


「でも、先のことは分からないでしょ?」


 人間は、大人になれば考えが変わる。今の気持ちのままなんて難しいと思う。


「変わらない。少なくとも俺は、佳奈恵がいてくれるなら大丈夫だと思える。何で?なんて聞くなよ、自分でも分かんないんだから。ただ本当にそう思えるんだ。」


「佐藤くんには……私が必要?」


「絶っっ対に必要!」


 即答されて、縫いぐるみで塞いだ顔に締まりが無くなる。


「だから…ちゃんと俺の所に戻って来い。」


 そう言うと佐藤くんは、間にいたウサギの縫いぐるみを横にずらして、優しい触れるだけのキスをしてくれた。





何とか後ろが見えてきました。

読んで下さって本当に、ありがとうございました。

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