夢で会いましょう…?
ごめんなさい…。夢オチです。
「かぁ〜なぁ〜〜ッ!!」
マンションの道路を挟んだ目の前には、わりと広い公園があって、そこは近隣の老若男女の憩いの場で、集いの場だった。
「はるちゃん!たいちゃん!待って、待ってーッ!」
「かなちゃん!ボク、置いて行かないでッ!」
そして、私達小学生の遊び場で、社交の場でもあった。
約束なんて無くても、ここに来ればみんながいた。
そんなガキンチョのリーダーは、はるちゃんで私達以外の小学生もまとめて上げ、たいちゃんがその指揮の下突っ走り、ゆうくんがみんなの暴走を諌めると言う構造になっていた。
ちなみに私はその他大勢の……モブ?
3人共、小さい頃から容姿に優れていた。密かに母親族が親衛隊を結成させていた事を、私は知っている。何故なら、ウチの母がゆうくんの親衛隊に入っていたから。
はるくんは、真っ黒なくせっ毛で短く、長めの前髪から覗く少し細めの瞳は眦が下がっていて、笑うと一本線になってしまう。小さな顔と、健康的な肌、スラリと伸びた四肢。駆けっこが大好きで、音楽が苦手。特に歌が嫌いで、歌を歌う時は口パクすると聞いている。
たいちゃんは、真っ黒な髪で短く刈り上げ、チョット太めな眉毛と、茶色瞳はクリクリで、まつ毛も長い。ひょろっとした体躯で身長も同年代の子に比べると、頭1つ大きい。サッカーが大好きで、家庭科も大好き。なみ縫いとボタン付けは私よりも上手。
ゆうくんは、茶色い髪がサラサラで、肩まで伸ばしている。横分けした前髪で、大きな瞳は茶色にグリーンが混ざった不思議な色をしている。何でも、お母さんのお母さんのお父さんが外国の人で、ゆうくんはその人に似ているらしい。(親衛隊の母情報)
だからなのか、ゆうくんの肌は白い。そして小さな顔と、桜色の小さな口は、女の子に間違えられるくらい。でも意外にも、剣道を4歳から習っていて、この中では一番しっかりしている。
この、超スペックトリオの中では影に徹する私…山田 佳奈恵は、真っ黒な直毛をいつもポニーテールにして、眉毛よりも少し長めに切り揃えた前髪と、大きくも無く、小さくも無い瞳の色は茶色で、身長はどちらかと言えばチビ。勉強も頑張ってるからそこそこ。運動もそこそこ。
「かなはチビだから、足も遅いんだな。」
たいちゃんが腰に手をあてて言う。
その横に並んで立つはるくんが頭を横に振る。
「違うよ、チビだったら悠人もそうだけど、悠人は足、速いよ。」
「じゃぁ、チビは関係無いんだ。」
「多分、走るのが得意じゃ無いんだと思う。本人に自覚は無いみたいだけど。」
「そっかぁ…かな、人生損してるんだ。」
小学生3年生が言う事だろうか…。
本人目の前にして…人生って…。
「でも、かなちゃんは可愛いから大丈夫!」
私の隣に立つ美少女ゆうくんが、斜め上の言葉を発すると、たいちゃんもはるくんも、あらぬ方向を見つめる。
「…まぁ、いっかぁ…。」
「だね…。」
「そう!可愛いは正義って、ママ、言ってたッ!」
ゆうくんのママって、キャリアウーマン見たいな人だよね…。
「ヨシ!今日は何やる?」
「オレ、缶蹴りが良い!」
右手を勢いよく上げた、たいちゃんが言う。すると、ゆうくんが、小さな頭を大きく振った。
「ダメだよたいちゃん、この間、みきおのじぃちゃんに、危ないって怒られたじゃないかぁ。」
あぁでもない、こぉでもないと、3人が話す姿は今も変わらない。昔からずっと。
それは、博武がこのメンバーに加わっても同じで…この狭い世界が私にとっての全てだった。
ありがとうございます。