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恋って…何?  作者: み〜さん


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拉致?されました。

 すでに、授業は終わっていました。


 よく寝ていたとかで、そのまま放置されていたようです。あり得ません。


 何度も言いますが、私、今日が最後です。


 先生方はいいのでしょうか。転校する生徒はもう関係無いのでしょうか?


 私、まだ保健室におります。佐藤くんが鞄を持って来てくれるのを待ってます。


 保健の先生も姿がありません。大丈夫なのでしょうか?


 気になることはいっぱい有るのですが、今はそんなことよりも、幸せに浸っていたいのです。


 佐藤くんに “好きだ” と告白されて、頭と気持ちがフワフワです。今まで感じた事の無い高揚感です。この高揚感が毎日続くなんてことになったりしたら、恐ろしい…。きっと私、死んでしまう。


 頬を抑えて、キャァ〜〜〜ッと心で叫び頭をブンブン振って悶えている時だった。


「山田 佳奈恵って、キミ?」


 いつの間に入って来たのか、目の前に銀ブチ眼鏡男子が立っていた。


 誰ですか?あなた。


 頬を抑えたままポケッとしていると、銀ブチ眼鏡男子が見下すように腕を腰にあて、細い目を更に細くして見てくる。


「聞こえてる?君が山田 佳奈恵で間違いない?」


 低くした声に思わず頷いてしまった⁈


「そお。じゃぁ、今からちょっと付き合って。」


「エッ?」


 何言ってんの?この銀ブチ眼鏡男子。


「私、ここで人を待ってるから無理。」


「そっ、でもこっちにも予定があるから無理。」


 なになに!イキナリ現れて強引なッ!


「と言う事で、皆さん入って来て下さい。」


 銀ブチ眼鏡男子の一声で、保健室になだれ込んで来た男子達!


 何ごとぉーーーッ‼︎


 保健室に溢れる男子!男子!男子‼︎


「チョット怖いかもしれないけど、コレ頭から被って。」


 そう言って見せてきたのは、ジャージの上着。私からすればかなり大きな上着だ。それを被れ?とわ?


 なんて思っている間に頭から上着を被らされた!


「ナニ⁈のえーーッ‼︎ 」


 頭は出さずに、両袖を首辺りで軽く縛り上げられた。


 そして、誰かに腰を掴まれたと思ったら、その誰かの肩に担がれた!


 私は米俵じゃァ無いーーーッ!


「騒がないでね。面倒だから。」


 さっきの銀ブチ眼鏡男子の声がした。


 いったいナニ?何処連れてくのよ!さっきまで幸せにどっぷりだったのに!あったまきた!瑠美ちゃんから渡された奥の手を使ってやる!後で泣きを見るんだから‼︎ 女子高生を担ぐなんて!パンツが見えちゃうじゃないのッ!……まっ、中にちゃんと履いてるから問題無いけどね!





 沢山の足音と共に運ばれた私。いったい何処へ?


 とってもながく感じた。荷物状態で担がれて運ばれてるから、苦しいんですが。今日はお昼食べ損ねてるから、出る物無いけど。フッ、命拾いしたな。私を担ぐ男子。


 そんなことよりも、もぬけの殻になった保健室を見て、佐藤くんがどうするか。心配する。瑠美ちゃんに知らせる。学校中探し回っちゃう。あ〜〜ん!ごめんなさーーい!こんな事になってホントごめんなさーーい!


 すると、先ほどとは明らかに違う足音に、おや?と思った。建物の中を歩く時の音じゃなく、明らかに外を歩く土を蹴って発てる音に変わった。


 雨、止んでるんだ。良かった。この後、佐藤くんと放課後デートに行く事になっているんだぁ。


 あっ…でも、この状況をなんとかしないと、この先が無い。う〜〜ん、それは困る。なんとかしないと。


 などと思っていると、私を担いでいる男子が足を止めた。


「彼女を下ろして。」


 銀ブチ眼鏡男子の声が聞こえたところで、私の体がゆっくりと降ろされた。


 地面に足が着くと、膝がガクッと折れて倒れそうになったが、誰かが素早く支えてくれた。


 良かった。雨降ってたから、倒れたりしたら泥だらけで、放課後デートに行けなくなってしまう。それは避けたい。支えてくれた人、ありがとう!


 そして被せられていた大きなジャージが取り払われた。


 閉じていた目をゆっくりと開く。空はグレー色で、雨が上がったばかりなのだろう、まだどんよりとしている。


 私の周りには、沢山の男子達と銀ブチ眼鏡男子。


「ここは……?」


 沢山の壁に阻まれて何処なのか分からない。


「山田 佳奈恵。招待状を昨日届けておいただろう?」


「招待状?」


 そんな物貰ったかなぁ?


 思案顔でいると銀ブチ眼鏡男子が言った。


「ここは、園芸部の花壇がある裏庭だ。」


 その言葉で思い出す。今朝の手紙。


 でもあの手紙の差出人は、加賀さんだったはず。


「そう、君をここに呼び出したのは、僕…では無く、琴ちゃんだ。」


 モーゼの十戒のように目の前の人垣が綺麗に左右に分かれた。ひらけた先に立っていたのは、ニッコリと微笑む隣のクラスの転校生美少女、加賀 琴子だった。




ありがとうございました。

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