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恋って…何?  作者: み〜さん


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23/41

触手を拡げているようです。

 朝まだ早い駅のホーム。


 人もまばらで、聞こえるのはスズメの囀りだけ。辺りは閑散としていた。


 学校で絡む佐藤くんと何かが違う。ふと思う。


 並んで立つ佐藤くんを盗み見てみる。鞄んを肩に掛け、睨見付ける携帯の画面に、人差し指を滑らせている。前髪が目に掛かるぐらい長く、その髪質は柔らかそうで、チョット触って見たいなぁと思ってしまう。… アレ?もしかして佐藤くんはイケメン?さん?


「山田。髪、なんで切った?」


 おおっ⁈髪繋がりで考えてた事、一緒だった?


「あんだけ長かったんだ。切るの勇気いったろ。」


 携帯から顔を上げる事なく、佐藤くんが聞いてくる。


「……そんな事無かったよ。勢いで切ったから、勇気なんて大袈裟なモノはあの時は湧かなかったよ。切った後も、今まで経験した事のない頭の軽さにフワフワしてたしね。」


「確かに、髪短くして、頭の軽さが際立ってる感じだな。」


 ズボンの後ろポケットに携帯を入れると、私の頭をポンポンと叩く。


「ねぇ、それは癖?それとも私の背を更に低くしようとしてる?」


 ズバッと聞いてみた。私は後者と見ている。


「えっ?だって高さがちょうどイイし、山田の頭叩きやすい。」


「佐藤くん、私を小学生と勘違いしてない?扱いがお子ちゃまなんだけど。一応私、女子高生なの!」


 佐藤くんに向き、腰に手をあて怒ってますのポーズをとる。


 すると吹き出すように佐藤くんが笑い出す。


 なぜ‼︎どこに笑いの要素が⁈


「そんな事言ってる事がすでにガキなんだよ、山田。」


 お腹を抑えて笑う佐藤くんの脛に、怒りの蹴りをお見舞いする!


 でも、素早く躱されてしまった。しまった、反射神経を侮ってた。


「それっ‼︎脛攻撃は絶対にダメ!俺バスケ部!足は命だから!」


「失礼な事言うからだよ。あと笑い過ぎと私で遊び過ぎ!」


 などと騒いでいると、ホームに電車が滑り込んで来た。



 電車の中では2人共、流れる風景を見るだけで、喋る事も無かった。




「今日はバスケ部の朝練にご招待って事で。」


 そのまま体育館に連行されました。



 体育館内に響く沢山のバッシュの音と、重いボールのバウンドする音。


 今、私は体育館の舞台の上で、バスケ部の練習を見ている。ぶら下げた足をブラブラとさせて、右に走ったり、左に走ったりしているのを目で追っていた。


 これはコレで詰まらない。体力的にはキツイけど、テニス部の方が良いのかも。


 なんて考えてると、後ろから声を掛けられた。


「山田さん…ですよね。」


 振り向くと全体的に色素の薄い男の子がニコニコしながら、しゃがんでいた。


「そう…ですが?」


「僕、バスケ部1年の久保 真司って言います。どうぞよろしく。」


 ありゃ?何だか礼儀の良い子。


「ハイ。よろしく。」


 私も座ったままお辞儀する。


「今日は、拓真たくま先輩と一緒だったんですか?」


 ……拓真?……誰?


 私が首を傾げると、久保くんが目を剥く。


「エッ⁈拓真先輩……佐藤 拓真先輩ですよ。まさかそこから⁈マジかッ‼︎」


 自分の額をバシンと叩き天井を仰ぎ見る。


 うん?どうした?


「何だか前途多難な感じがする。大丈夫かなぁ。案外ヘタレなのかなぁ。」


 だから何が?心の声がダダ漏れですけど、あなたの方が大丈夫?


 不審者を見る目で久保くんを見る。


 その視線に気が付いて、久保くんが両手を目の前でブンブン振る。危ないよ!久保くん!


「あの!あのっ!山田 佳奈恵さんは、たく…佐藤先輩をどう思います?」


 うん?佐藤くんをどう思う?


「ふざけた巨人」


 私の言葉に顎が外れそうなぐらい口をパックリ開け、両目を見開く。どうした?大丈夫か?


「……なんか、勝てる気がしない。」


 何に勝つ気だ?久保くん。


「じゃぁ、久保くんから見た佐藤くんってどんな感じ?」


 逆に聞いて見た。私にしたら、ふざけたヤツなんだけど、他の人が見る佐藤くんはどんなだろうと思って。とくに久保くんは同じバスケ部で、後輩だから、違う目線だと思うしね。


「えっ?え〜〜っ、拓真先輩ですか。う〜〜ん、そうですねェ。とても、面倒見がイイです。どちらかと言えば、世話焼き?僕たち1年を構い倒してます。それに、周りを良く見てくれてます。バスケだって凄いんですよ!すでに声が掛かってますし、それに案外モテるんです。試合なんて他校の女の子の声が凄い凄い。出待ちは当たり前です。」


 久保くんはコートを走る佐藤くんを目で追いながら、憧れの眼差しを向けた。


「そんな凄い先輩に、僕も少しでも近付きたいです。」


 何だか癪に触る。なんだろう。なんかヤダ。


「そう言えば最近やたらと絡んでくる美少女がいるんです。拓真先輩も手こずってるみたいで。」


 美少女?このワードに浮かぶのはーーー


 体育館入り口に人影があった。


 私が今浮かべた人。隣のクラスの転校生美少女、加賀さんがそこにいた。


読んでいただき本当にありがとうございます。なかなか最後まで辿り着きませんが、よろしくお願いします。

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