炭水化物の食べ過ぎには注意です。
次の日曜日は宣言通り携帯を変えた。
もともと変えようと思っていたから、まぁ切っ掛けはどうであれ、ちょうどよかったかな。もちろん、幼馴染達のアドレスは躊躇いなく( 博武のアドレスはチョット躊躇ったけど )消去しました。
それとチョット買い物をして、この日は何事も無く過ぎた。
月曜日、今日は朝から雨が降っていて、でもやっぱり朝練はあって、早朝からの階段往復5回はやってはダメだと思いました。マジ魂抜けます。
そして午前中の授業は、全く頭に入ってきませんでした。本当にごめんなさい!
お昼、すでに理科準備室で食べるのも慣れ、佐藤くんには何がしらおかずを盗られるため、お弁当の品を一品増やしました。えぇ、死活問題です。
「なぁ、野下が羽黒に、山田の護衛の事を聞かれたって。」
黒井くんが、4個目のおにぎりを頬張りながら言う。
「あっ!田中も聞かれたって言ってたわ。」
佐藤くん、そのアイスどっから持って来たんですか?と言うよりも、それ新作?
「そんな事聞いてどうするの?防御は完璧なんだよ。」
瑠美ちゃんが胡乱な目を黒井くんに向けた。
野下くん、たしか吹奏楽部だったよね。言われた通りに羽黒くんに接近遭遇してたんだ。…やっぱり怖いから?瑠美ちゃん。
あっ、転校する前に楽器何やってるのか聞かなきゃ!
「そりゃ、あれだろ。隙間を探ってるんだろ。完璧って言ったところで所詮人間が考えた事だからな。」
そう言いながら、黒井くんが5個目のおにぎりに手を伸ばします。炭水化物ドンだけ摂取するんだ…。
「そこまで山田を貶めたいと?分かんないなぁ…何のメリットがあるって言うのかなぁ。直接関係ないでしょ、羽黒も転校生美少女も。」
だよね、私も思うよ。
「そうなんだけどねェ。でもあちらさんは、かなを悪役に仕立て上げないことには、自分の目指すモノが達成できないと思っている節があるから。厄介だよねぇ。」
瑠美ちゃんが腕を組み、天井を睨む。
メリットは幼馴染達からの好感度。その先のハーレムエンド。
「まぁ、今まで以上に警護すれば良いんだけどな。俺がいれば抱えて逃げるし。なっ、山田。じゃッこれはその対価と言うことで。」
待て!さっきすでに唐揚げを食べただろう!なぜミートボールまで持って行く!あぁッ‼︎その膨らんだ頬っぺを箸で突いてやるっ!
「学校にいる間は、人数がいるから大丈夫だろうけど、問題は来る時と帰りだな。」
除菌シートで、箸を拭きながら黒井くんを見ると、菓子パンの袋を開けるところだった。…更に炭水化物?
「そうだね、そこは強化した方がいいかもね。来る時は、朝練がある子に頼むとして、帰りだね。部活やってる子が多いから。」
「瑠美ちゃん、大丈夫。私、駅まで走るよ。」
自信満々で頷くと、三人同時に大きな溜息を吐かれた⁈ナゼ‼︎
「あ〜〜、山田には悪いが走るのそれほど速くないから。と言うか、遅いから。」
ショック‼︎私、遅いの⁈
「でも大丈夫だ。俺が抱えて走るから。速いぞ、俺。」
頭をポンポン叩く佐藤くん。ムムッ!何気にバカにされてる⁈
「俺が部活行く前に、山田を駅に送るメンバーに加わるから。いいよな、時期部長。」
ニンマリ笑う佐藤くんが怖いです。
そしてその日の帰りーー
「じゃぁ、ヨロシクね、夕実。何かあればすぐ連絡して。」
「任して、佳奈恵ちゃんには指一本触れさせないから!」
ニッと笑い、瑠美ちゃんに向かってサムズアップする青木さん。そんな姿もナゼかエロい…フェロモン出てます?
「俺、荷物置いて来るから、先行っててくれ。直ぐ追いつく。」
チャッと右手を上げ走り去る佐藤くん。
今日はこの二人と駅まで一緒です。
「分かった。行ってる。」
青木さんが頷き、瑠美ちゃんにバイバイと手を振り、下駄箱へと向かった。
まさか、そこでイベントが待っていたなんて、思っても見なかった。
ありがとうございました。




