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みんな楽しそうです。

読んで頂けきまして、本当に有難いです。話が滑ってる感はありますが、ご容赦下さい。

「あら、不思議‼︎この厳戒体制の中、なんと!山田 佳奈恵くんが隣の転校生美少女、加賀 琴子くんに嫌がらせを行なっていると言う、実しやかな噂が広まっているのです。イヤイヤ、此れ如何に。」


 新聞部の奇才と言われる田中 沙樹ちゃんが、メガネをクイッと押し上げて言った。キラ〜ンと光ったのは見なかった事にしよう。


「マジっ⁈」


 バスケ部次期部長の黒井くんが身を乗り出し、机を倒し掛けて大きな音を立てた。


「う〜〜ん。ヘンな話だねェ。山田には、学校出るまで、いや帰る駅まで、このクラスの誰かが張り付いてるから、そんなヒマ無いのは、同じクラスの奴等ならみんな知ってる。美少女転校生に接触なんてムリムリ!」


 なっ。と言いながら佐藤くんが私の頭に肘をつく。


 おっ、重い!背が縮む!くそぉ、背が高いと思って、やりたい放題だなっ!


 ギッと睨みつけるが、反対に両頬を引っ張られた‼︎


「そこなんだよ、佐藤くん!杉野 瑠美くんが立てた鉄壁の防御にネズミの入る隙間など無いんだよ‼︎だがしかし、このような噂はまさに今広がりを見せているのだ。全く解せん‼︎」


 腕を組み、唸る沙樹ちゃんの横で、瑠美ちゃんがボソッと呟いた。


「…ヤダよ、本当に乙女ゲームっぽくなって来た。」


 と、いきなり机を叩き沙樹ちゃんが叫ぶ。


「それよ!ソレなのよッ‼︎正しくソレ!だから私、情報網を駆使して噂の元を突き止めようとしたんです!そおしたら、なんと!私、突き止めました!褒めて下さい、杉野 瑠美くん!」


 凄い勢いで瑠美ちゃんに身体ごと向けた、沙樹ちゃん。


「あー、ハイハイ。流石、さすがだよ、田中。新聞部次期部長。」


 瑠美ちゃん、半ばヤケクソ?えっ?2人に何が⁈


「有難き幸せっっ‼︎私、本望です!」


 いや、なんでそこで陶酔するの?沙樹ちゃん!


「でっ、田中、分かったんか?」


 呆れ顔の黒井くんが、胸元で手を握りしめ、キラキラと瑠美ちゃんを見つめる沙樹ちゃんに、問い掛けた。


 聞かれた途端、黒井くんにいつものクールな表情を向ける沙樹ちゃん。プロ?


「勿論です。噂の元締めは、隣のクラスの男子、羽黒 直人です。」


「「「はぁ?」」」


 …誰ですか?


「羽黒って、理研の?」


 黒井くん、衝撃が強かったのか、口が開いたままです。ちなみに、理研とは理科研究部と言いまして、部員数は私の所属してますイラスト部と似たり寄ったりだったと思います。


「あの気の弱そうな秀才?」


 佐藤くんもよっぽど意外だったようです。


「ふ〜ん、全く予想外な所から出たねぇ。かな、羽黒知ってる?」


「全然、全く知りません。誰ですか、その人。」


 瑠美ちゃんが大きく頷きます。


「だよね、かなと羽黒なんて、全く接点がないもんねぇ。」


 すると、周りで静かに成り行きを見ていた、私のトイレ警護担当で女子リーダーの、林 美希ちゃんがソロっと右手を上げた。


「あのぉ、ちょっと良いかなぁ。」


 全員の視線が一気に美希ちゃんに向けられた。


「何?林。」


 言い方怖いよ瑠美ちゃん。もっと優しく言わないと。それに、眉間にシワ一本入ってるよ。


「私、羽黒が美少女転校生に纏わり付いてるの、見たことあるんだけど。」


 美希ちゃんが言うと、私も、私もとトイレ警護隊の他の女子達が言い出した。


「私も見たことあります。美少女転校生、すっごく嫌がってるみたいでした。」


「私も!図書室で2人がコソコソしているところ見ました。」


「私は渡り廊下で、羽黒くんが加賀さんにプロポーズしているところを見ました!他にも見てる人結構いたから、聞き込みすれば、証言取れると思います。」


 私も私もと、手が挙がりザワザワと教室中に広がった。


 瑠美ちゃんがう〜んと腕組みし、天井を見つめる。


 すると佐藤くんが米神を指で叩きながら、


「コレは、アレだな。スパイを送り込もう。」


 と、チラリと背後に目をやった。


「…宮野、お前理研だったよなぁ。」


「ひゃっっ⁈」


 突然呼ばれた宮野くんがヘンな声を上げた。


 …女子か。


「そっ、そうだけど僕、幽霊部員で羽黒君ともあんまり面識無いから……。」


 顔を真っ赤にして、身体をクネクネさせながら言う宮野君。…あんなキャラ?


「そいじゃ、今日から羽黒とお友達になってこい。」


 容赦無い黒井くん。


「そっ、そんなぁ…。」


「大丈夫だ。宮野だけとは言わない。加山と野下、お前らも羽黒に貼り付け。」


「「はぁーーっっ⁈」」


 言われた2人が同時に声を上げた。


「待て待て、俺、吹奏楽部!関係無いだろ!」


 野下くんは吹奏楽部なんだ、楽器は何だろう。


「俺も!俺、パソコン部!」


 加山くんはパソコン部なんだ。私、ブラインドタッチ?出来ないんだよね…。


「問題ない。みんな同じ西館の3階だ。」


「オイオイ、無茶だろうぉ!」


 野下くんが頭を抱えて悶絶する。そうだよね。無茶だよね。


 ギャーギャーと騒いでいると、それまで静かだった瑠美ちゃんが突然、パンパンパンと手を叩いた。すると、一瞬で教室が静寂に包まれた。凄いです…瑠美ちゃん。


「よし‼︎じゃぁ、こうしよう。まず、沙樹は手立てを使って加賀の行動を逐一報告。」


「了解でぇ有ります!」


 ビシッと敬礼する沙樹ちゃん。


「で、林と女子警護隊は女子力を使って、噂を流して。」


「噂?」


「羽黒と加賀は付き合ってる。羽黒のプロポーズを加賀が受けた。とね。」


「うわぁぁぁっっ‼︎」


 思わず心の叫びが出てしまい、慌てて口を塞いだ。瑠美ちゃん!怖い!美希ちゃんや他の女子の悪い表情も怖い!


「で、宮野、加山、野下は羽黒に擦り寄れ。」


「「「だからーーっ‼︎」」」


「以上!第3回招集会議終わりっ!解散!」


 えっ?1回目と2回目が有ったの?いつの間に⁈



ありがとうございました。

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