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第001話 プロローグ

わらわはジャポン皇国女皇、オイニなのじゃ。

現在、我が皇国が位置するコアラ大陸は、文字通り「滅び」の足音に包まれておる。


コアラ大陸の西半分を支配する魔族たち――彼らを束ねる魔王が唐突に復活を遂げたのは、今から三年前のことだ。

魔王軍の侵攻は凄惨を極めた。最初の標的となったのは、我ら人間と亜人圏で唯一魔族領と国境を接していた二つの国家。エルフとドワーフを主体とする北東の『ダージリン王国』と、獣人族を主体とする南東の『フリーダム都市国家』である。


当初、ダージリン王国は「レッドライン」、フリーダム都市国家は「マジノライン」と呼ばれる絶対防衛線を敷き、猛攻に耐えていた。

だが、事態は魔王直属の「四大魔人」――カスパー、メルキオール、バルタザール、セマ――の投入によって一変する。

彼らは絶大な魔力と、人間の十倍以上の膂力、そして剣や槍を容易く弾く強靭な肉体を併せ持つ、正真正銘の化け物だった。


唯一の対抗策は、フリーダム都市国家が誇る大砲であったが、機動力と防衛力に欠けるという致命的な弱点を突かれ、大規模侵攻の五日前にデーモンライダーの奇襲を受け完全に破壊されてしまった。


防衛線を突破された両国は、王都と首都の機能を大陸最東部の都市へと緊急移転し、後退しながらの防衛戦を余儀なくされた。

我がジャポン皇国は、コアラ大陸の東端に位置する島国である。フリーダム都市国家の東沿岸部と、まるで細い糸のような一本の陸橋で繋がっているに過ぎない。しかし、対岸の火事では済まされない。いずれ牙を剥くであろう魔族への牽制、そして同胞への救援として、私は五万の皇国軍を大陸へと派兵した。


ダージリン王国の残存兵と、フリーダム・皇国軍の連合部隊は、血を流しながらも二年近く戦線を維持した。だが、四大魔人が最前線に姿を現したことで、その均衡もついに崩壊した。


開戦から三年が経過した現在。

人類と亜人圏の生存領域は、ダージリン王国最東部の防衛基地『ランズ・エンド』と、大陸から我が皇国へと続く細い陸橋、そして我が皇国の本土のみとなってしまった。

現在、その陸橋に大陸側の残存兵力を一点集中させ、後詰として我が軍の五万を配置。残る二十個師団(約二十万)の兵力は、本土防衛の最終ラインとして展開している。

我がジャポン皇国は今や、人類圏最後の砦であり、対魔族の最前線なのだ。


現在、皇都オワリにそびえる『天守閣(テンシュカク)』の一角には、亡命してきた二カ国の政府機能が置かれている。

かつて大陸に栄華を誇った両国の行政府が、たった二つの小さな部屋に押し込められているという事実は、なんとも滑稽で、酷く胸を締め付ける。


ダージリン王国から逃れてきたのは、アールグレイ王女と、三十名ほどの生き残りの貴族やメイドたち。そのほとんどが十代半ばから後半の若者ばかりである。他の王侯貴族は、防衛戦の最中に全滅した。

フリーダム都市国家からは、行政長ジェンダーが亡命してきている。獣人族の各族長による民主制を敷いていた彼らは、魔族侵攻という未曾有の危機において意思統一を図れず、自業自得とも言える形で族長たちが全滅した。ジェンダーは、少数の勇気ある民間人に救き出され、這々の体で皇国へと逃げ延びたのだ。


もはや、人類圏は全滅の一歩手前である。

だが、我々には最後に残された「希望」がある。


――『勇者召喚』。


コアラ大陸の人類圏三カ国、その皇族・王族の血を引く若き女性たちによる儀式によって、異世界から勇者を喚び出す禁断の秘術だ。


過去二度、今回と同様の大規模侵攻が起きた際にも勇者が召喚され、魔族を撃退することに成功している。

しかし、二度目の召喚で現れた勇者は、魔族を滅ぼすために自爆魔法とも呼べる恐ろしい術を行使した。人類・魔族の区別なく、すべてを灰燼に帰す大規模戦略級魔法。


その名は――『トルーマンボンバーアタック』。


かつて我が皇国は、大陸の一部であった。文献や魔写(写真)にも、我々がスレイブ国(フリーダムの前身)やダージリン王国と陸続きであった記録が残っている。

だが、その大魔法の爆風によって大地は抉られ、皇国は大陸から二百キロも切り離された島国と化してしまったのだ。かろうじて一本の細い陸地が残ったのは、奇跡でしかない。

魔族は退けた。だが、人類が負った被害も甚大であり、元の生活水準を取り戻すまでに千年近い歳月を要した。元凶である勇者もまた、その爆風の中に消えた。


それほどの犠牲を払う可能性がある。再び、自国が引き裂かれるかもしれない。

それでもなお、我々は覚悟を決めたのだ。

滅びの運命を覆すため、我々は再び、未知なる異世界へと救いの手を伸ばす――。

お久しぶりです。

流行りの機能を借りて、再復帰したいと思います。

更新は不定期になります。

宜しくお願い致します。

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