第676話 スイカ侍のお礼品『催眠アプ……』
不完全燃焼な気もするが南の島も堪能した。
まっやる事やったしな。
具体的にいうと軽いスキンシップ程度。
いくら俺だって子供と来てるのにもっと踏み込んだ事をすることはない。
これが2人がまだ10歳未満だったらアレだけどこっちの年齢で15才?みたいだし。
どこかで年表でも作りたいな……ほら共通歴の関係もあるけど結構アバウトなんだよね。
時間の流れが緩やかと言うか、全員が義務教育受けてる世界でもないし。
大人でも文字を読めなかったりする人も多い。
「クロー兄さん、夕日に向かって黄昏てる所悪いけど、マグロ焼き出来たよ」
「ん」
釣り大会は、途中で参加したノラが優勝した。
無人島でマグロって釣れるの? って思うけどなぜか釣れた。
それをバーベーキューで焼いてのパーティーだ。
通称兜焼き。
マグロの頭をそのまま焼く方法で見た目はグロイ。
眼玉の部分から涙のように泡ふいたりするし、が! 美味いのだ。
女性や子供には普通は人気ないが、さすがはうちの家庭である、もりもり食っていく。
「パパ! お兄ちゃんが右目食べた!!」
「え、ダメなの!?」
「ノラお姉ちゃんのだよ! 釣った人が美味しい所を食べないと!」
「ボクは良いからサクラ食べな。スミレも吐き出さなくていいから……それに──」
ほじくったスプーンに眼玉を戻しているが汚い。
「──ボクはクロー兄さんの眼玉を食べるから大丈夫だよ」
「ひぃ!?」
何て事言うのこの子!?
思わず右目を押さえて反対側のアリシアのほうを見た。
「あっクロウ君私も食べてみたい」
こっちもか!?
「怖いよ!? もしやメルナも」
「再生者の悩みじゃろうな。安心するのじゃ……ワラワは食べないなのじゃ、冗談はその辺にしとくのじゃ。あまりロウをイジメてやるななのじゃ」
「はい、メル姉さん」
野菜やウインナーも焼かれて美味しい匂いがする。
ウインナーに棒を刺して口に入れる時に思いつく。
あっ。
「でも。俺のうい………………何でもない。ギリセーフ」
ウインナーなら食べてもいいよ。って思わず口に出しそうに。
「ギリも何も完全にアウトじゃろ。それにノラが眼を輝かせてるなのじゃ」
「え!? そ、そんな事ないよ。やだなークロー兄さん下品な冗談はだめだよ」
「サクラ。あっちいこうぜ……」
「え? スミレお兄ちゃん何で? 何で?」
行かなくていいから。
俺もこれ以上言わないし。
「所で学園はまだいくのか?」
「親父、凄い質問……行くに決まってるけど。卒業は18才だけど在籍出来るみたいだし19才からは年齢関係なしに7年間は在籍出来るって」
「大学システムだな。ソニア学園のほうはそれは無いはずだし……ただ欠点があってな」
「欠点?」
飲み物を飲みながらその欠点を伝える。
「こんな世界だから学園にいる時間が長いと外の世界とのギャップがな。魔法や勉強が出来ても人との連携が出来てなかったり……現場には年下の先輩とか。まぁクウガの事だから一応考えてるとは思うけど」
「親父、クウガおじさんの話では冒険者ギルドと提携しクエストもやってるよ。希望者には職人コースも」
なら平気そうだな。
ノラが心配するなら教師になればいいのに。と不満を言って来る。
他人の息子、娘まで面倒みきれません!
「実の子ですら放置してるのに」
「あっクロー兄さん。そこは自覚あるんだ」
「あるよ。ノラやメルナ、アリシアには感謝してるよ……さて湿っぽい話は置いて置いて食べて食べて食べつくすぞ。俺に出来るのは金を出す事だ!」
「あのクロー兄さん割とゲスな事言ってるけど。まぁ兄さんらしくていいか」
残してももったいないから。
マジックボックスで持って帰ればいいんだけど、そこまでして残った物を食べたくない。と言うか。
散々食べて後片付けをして帰るだけ。
メルナが『転移の門』の最終チェックをしてくれてOKのサインが出た。
こういう手間暇を考えると結構面倒だな。
「まっ大丈夫じゃろ……ロウよ。くれぐれも問題を起こすななのじゃぞ」
「なぜ俺を指定!?」
全員が俺を黙ってみて来た。
「じゃぁ俺から入ろうか?」
「いや、待つのじゃ……先に入って門が壊れても困るしの……ワラワの軽い冗談なのじゃ許せ」
許せ。と言われると許しちゃうのが俺である。
そうそう問題も起きないしな。
メルナが転移の門にの中に消え、スミレ。サクラ。魔力ポーションを飲んだノラにアリシアが入って俺だけだ。
入ろうとすると、俺の足にボーリング玉が……いやスイカ玉があたった。
天からのスイカ!?
「なわけないな。スイカ侍だろ」
「間に合ったでござるよ。某そのほうには世話になったでござる。是非とも礼をしたいでござるよ。教えた沈没船は沈み過ぎていた。と聞いたでござる」
「いやいいいよ。魔物から礼を貰っても嬉しくない」
「そうでござるか……では女神のような女性からもらった『催眠アプリ』と言うのはしまい込むでござる。では」
ゴロゴロと転がるスイカ侍を強引に捕まえる。
「な、何でござるか!? 某には足軽スイカ達の元に──」
「よく考えたら魔物でも助けたのなら礼は貰っておいたほうがいいかな。って」
「そ、そうでござるか? 悪い人間に囲まれたら使いなさい。と貰いはしたが某には使えなかった部品であるでござる。その方ならどうにかなるかと」
口の中から四角い板を取り出した。
どう見てもスマホ……に見えるけど画面は暗くボタンが1つしかない。
うろ覚えでスイッチみたいな部分を長押ししてみるも起動はしない。
「え、ゴミ?」
「酷いでござるよ!?」
そもそも催眠アプリは男の夢。
クウガと語った事がある……あったか? これは調査したい、本物だったら……いやまてよ。
本物だったらそれはそれで困る。
だってさ、メルナと付き合ってるしアリシアとも付き合ってる。
別に女遊びはしたいとは思わない。
え、返す? それもそれで困る。
今後このスイカ侍が誰かに渡す、もしくは倒されてドロップ品として盗られる。
その後にこのアプリを使ったやつがメルナやアリシアに狙いを定めてみろ……俺が反撃する前に俺の常識も変えられたらお終いだ。
「ロウよ……スイカ侍と何を」
「うひょおおおおおおおおおおおおっ!?」
「な、なんじゃ!?」
突然声をかけられたので驚いて声が裏返る。
振り返ったらメルナがこっち側に戻って来てた。
「メルナ何時から!?」
「何時からも何も『転移の門』は向こう側から見えているんじゃし……スイカ侍と話し込んでるロウが来ない事には帰れないなのじゃ。置いて行っても他の転移の門で迷うなのじゃ」
「そ、そうですね。はい」
スイカ侍の耳? がありそうな場所に『余計な事を言うとかち割る』と小声で話す。表情がないはずなのにスイカ侍が震えてるようだ。
「が。わざわざありがとうな。もし、その女神みたいな女性が島に戻って来たら会いたいって伝えてくれ。他の人間に捕まるなよ? 俺達みたいに優しく無いからな」
「某、肝に銘じるでござる」
肝あるんか?
まぁいいや、使えないスマホ……みたいな催眠アプリをポケットにいれて転移の門をくぐった。




