第441話 一応の決着……? 後編
傷が治ると、何かの研究所から立ち上がる。
「よいしょっと……って。誰かに頼まれて来たわけ?」
「まぁね。これだろ? 君が欲しがっていた毒薬は」
黄色い液体の入った小瓶と青い小瓶を2つを俺に投げてよこす。
「割れたらどうすんだこの馬鹿竜」
「それは君の責任だから、片方が記憶無くすほうで片方が戻すほうだね」
大事にマジックボックスに入れて一応は礼を言う。
何でここにあるのか、などは別に興味も無いので聞く事も無い。
「っと、どうも!」
「にしても、この研究所を作った人間は面白い趣味をしてる」
俺もぐるっと回って部屋を見る。
ガラスケースが沢山あり壊れた人にそっくりなマネキン人形が沢山見えた。
特に頭部に関してはほとんど未完成でホラーハウスの様に異様な感じだ。
その中で唯一完成された1個の前でナイは感心してる。
「残ったのはこの1体か。汚い布の服なんて着せられて……関節は球体かな。ちょっと降ろすのを手伝ってくれないかな? 自分がやると壊しそうで」
「…………いいけど、マジでお人形遊びするわけ?」
大人向け夜の男性が遊ぶ人形を連想させる。
ちなみにこの世界で俺は人類が納得するぐらいの人型人形は見た事ない。
「面白そうだろ? この目の部分なんて魔石を削った義眼だね。関節も良く動く……人の肌をはいでつけたのかな? と思ったけど何層にもよる人口の皮だ……」
あまりにも熱心に言うので俺も気になって来た。
指や腕などは少し硬い。
小ぶりな胸が付いていてメルナには程遠い。
「小ぶりな胸だね。君さ、あそこに転がってる大きな胸の奴あるだろ? あれってメルギナスぐらいあると思うんだけどどう思う?」
ナイの指さすほうには胸の部分だけ大きい胴体がある。
「……ちょっと小さいかな」
「よし」
ちょ! ナイは人形の首をもぎ取った。
「壊した!?」
「壊してない。首の後ろに出っぱりがあるだろ? ここを押すと交換できる仕組みだ。隣の部屋に別のボディが何個かあったから見て来てくれるかい?」
「…………やだよ?」
ナイは笑顔のまま俺を見てくる。
そんな事言ってもどうせ持ってくるんだろ? って言う顔だ。
「薬品のお礼として頼んでいるんだ。この竜神がだよ?」
持ってきますけど!!
言われるままに隣の部屋にいくとマネキンの体が沢山あった。
肌が黒いのから子供サイズのまで……かつらなども豊富だ。
一番メルナに似てるマネキンを触っては確かめる。
まだ小さいな。
隣のマネキンを触る。
先がちょっと違う。
こっちはどうだろう。
「おーい、まだかい?」
「ちょっと待ってくれ」
20分ぐらいかけてようやく妥協点の体をナイの所に持っていく。
ナイは受け取ると直ぐに頭をつけてみた。
顔や髪が違うのでただの胸のでかいマネキンだ。
「で。君が選んでいる時間で自分も髪を持って来たわけだ」
頭の部分を触ると坊主になりナイは銀色ロングのカツラをかぶせた。
「ちょ」
「君さ、驚いてるふりしてるけど、20分もかけて選んだって事は、自分がカツラぐらい探すのは解っていたよね?」
「…………まぁそんな気はしてた」
上半身しかない裸のメルナのマネキンが出来た。
手も足も腰から下も無い。
「動き出しそうだけど動かないよな?」
「動かないね。人形だし、それよりも裸じゃかわいそうだ。服を探してくるから君は足を探してくれないか?」
うい。
返事をすると再びパーツ部屋に入る。
元々あのはぐれ魔法使いが何のための研究したのかは知らないけど、ちょっとだけ面白い。
足なんてどれも同じじゃん。
と言うかもしれないが、全部違う。
例えばメルナの太ももはむちむちで筋肉が凄い。でも足の裏なんて柔らかいのだ。逆にアリシアは太ももはほっそりで、足の裏なんて少し硬い。
1個1個丁寧に確認し俺が足を持って行くとマネキンがスクール水着を着ている。
「ちょ! メルナはそんな服着ないから!」
「人形だよ? どんな服を着せてもいいだろ?」
「…………たしかに」
「こういう時って君は秒で折れるよね……まぁいいや足をつけて。後残念な事に下半身はツルツルだったよ。まぁ人形だからね」
「あまりにリアルでも嫌なんだけど」
後正直、使用品か未使用品かという問題もでてくるから。
そんなこんなで数時間かけてメルナが出来た。
もとい、メルナ人形が出来た。
「これだ……これが俺の求めていたものだ! メルナ……いや師匠おおおお!! うお!?」
目の前からメルナ人形が消えた。
ナイが持ち上げたのだ。
「何すんねん!」
「何って自分が拾ったやつだし……いや、この際だから上げてもいいよ」
「まじで!?」
「メルギナスやアリシア君に見つかってどう説明するのか後で聞いてみたいし」
………………うん。
「この鬼、魔族! 人でなし!」
「竜人だし」
「……諦めるわ。本物がいるのに人形を持って行っても」
「本音は?」
「メルナが怖い。というか見つかったら人形もろとも消し炭にするでしょ。なんせ勿体ない。これだけそっくりな人形なんてもう見る事ないだろ……」
あの人ならする。
はぐれ魔法使いが生涯をかけて研究した作品でも、容赦なくする。
「そうだね。これは興味深いよ、いいお土産が出来た。さて……どうせ君は帰りの手段ないんだろ?」
「もちろん無い! ナイ様助けて!!」
「はぁ……これがさっきまで殺しに来た男と思うと人間って愚かだよね」
それはそれ。これはこれだ。
ここでナイに乗ってかないと、俺は薬を持ったまま数年間かけて帰らないといけない。
あと、変な気の利くところも俺は嫌いである。
──
────
色々あったけど最終的にファーストの街にある学園に帰って来た。
あれから俺達が化物だ! という噂が広まったミゲールの村でなぜか温泉開通までする事になって数十日時間を食った。
本当になんで開通クエストをしたのか記憶にない。
まぁ簡単なクエストだから半日で終わったけど。
問題はそこからで俺とナイの株が一気に上がった事で大宴会が始まって、村の誰かが本当にナイは竜なのか? と質問し。気分をよくしたナイが竜の姿になると村が消滅した。
うん。消滅。
だってデカいから……。
建物は壊れ、家畜はしに、山は崩れ、すぐに他の街からの討伐隊。
それらを無事に収めるのに数十日だ。
新・ミゲールの村まで復興させてからの帰還。
その元凶であるナイに途中まで送ってもらい、そこからは徒歩での凱旋。
学園の正門を抜けると目の前からアリシアが走って来た。
「あっ転んだ」
転んだアリシアは立ち上がってまた走ってくる。
俺は抱きしめてくるアリシアを横に1回転して背後に投げた。
「ふえ!?」
そのまま坂道を転がっていくアリシアを眺める。
坂の途中で止まったアリシアは回復魔法をかけては戻って来た。
「クロウ君!?」
「いやごめん、ちょっと怖くて……ってかナイを寄越したのアリシアでしょ」
「ごめんね。ナイ君が様子見に気て……メル先生の所に顔を出す。って言っていたから。それにしても遅いよ!?」
「そこはごめん」
そこだけは謝る。
「クウガは生きてる?」
「生きてるよ!?」
一応聞いておかないと、クウガってすぐ死ぬからさ。
話飛んでいて申し訳ございません
(気づくの数日かかっていた……




