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【10万PV!!】 競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter4
37/364

稲妻-6

その練習用のゲートは俺が弁償しました…。


コナンのデビュー戦が決まった。この日の未勝利戦ダート1600mにドルフィンリングも出走予定だ。


12月四週に阪神競馬場に行くのは瑤子だ。

コナンの馬主は俺より瑤子みたいなもんだから。


俺と宝田はホースチャンネルでの観戦となる。


土曜日の深夜に放送されている

《馬サタデー》

なる競馬情報番組。

今週のゲストはダーリージャパン高橋代表。

アシスタントの外車ナナが鋭く切り込む対談コーナーが人気だ。



ナナ「先日のデビルカッターでの三冠本当におめでとうございます!」


高橋「ありがとうございます。」


ナナ「三冠をとっての率直な感想を聞かせていただけますか?」


高橋「それはもちろん嬉しいですよ。私だって日本人ですから。日本のクラシックには特別な気持をもっています」


ナナ「特別な気持ちというのは?」


高橋「本来、クラシックの意義というのは日本馬がこれまで継承してきた血統の争いが目的でした。だから外国産馬や血を継承できないセン馬には出走資格がなかったわけです。しかし輸入外国種牡馬の乱立でその意義は失われています。

外国産馬の開放にともない条件さえクリアすれば出走できる現在、日本には無い欧州独自の血統でクラシックすべてを勝てた事が私にとって意味があったのです。


みなさんは私が日本の血統を軽視したり、また日本競馬をダーリーグループが乗っとるようなニュアンスにとられている。

私は日本人です。日本の競馬を愛していますし、日本には素晴らしい血統もあります。」


ナナ「では先ほど言われた外国産馬で三冠をとる意味とは?」


高橋「半分は責任です。膨大な融資と有力な外国産馬を大量に委せていただいたオーナーへのね。もちろん今後のビジネスにも有利になるのは否定しません。

後の半分は日本の競馬ファンに世界のレベルをお見せできた事でしょうか?」


ナナ「先日の菊花賞で、デビルカッターのレース内容に一部のメディアが『馬を殺す』騎乗だったと報じられましたが?』


この質問に笑顔だった高橋氏の表情が突然曇った。

高橋「私もその記事は読みました。たしかペリア騎手が京都の下り坂で馬を加速をさせた件ですね?」


ナナ「はい。通常、あの地点では…」


高橋「わかっていますよ。それが日本でのセオリーであると。


しかしペリア騎手も欧州を代表する騎手です。日本にも何度もレースに来ています。

私は彼の判断に支持します。」


ナナ「高橋さんの指示であったとも言われていますが?」


高橋「実に日本人的な発想ですね。

なぜペリア騎手があそこで『行ける!』と判断したか?それは彼の主戦場が欧州であり、あの程度の坂はどこの競馬場にもあるわけです。そしてデビルカッターなら越えられると判断したからなんですよ。

日本競馬と世界競馬の距離を縮める事、それはけっして馬のレベルではない!

それに携わる人間の意識の低さが問題なのだ!」


ナナ「人間の意識の低さ?」


高橋「そう!過去にはディープインパクト、最近はナイトメア。彼らには充分勝つだけの実力はあったと私は思いますよ。

しかし、浅はかな関係者、騎手、調教師、馬主達の為に彼らは無惨に敗北してしまった。

本当に勝つ気があったとは思えない。


世界に挑む事は容易い事ではないのです。」



対談は中途半端にここで終了した。


俺は深く深呼吸した。


高橋氏がテレビで喋っているときはなんだか息が詰まりそうになる。


しかし日本の関係者が世界に挑む上での意識の低さとは…?



だいぶ後だが、俺は知る事となる。



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