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【ありがとう200万PV!!不定期連載再開】競馬小説ドリームメーカー  作者: 泉水遊馬
シーズン1 chapter4

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稲妻-7

ロンバルディアのデビューの日。

天皇賞(秋)と重なり大観衆の前でのお披露目となった。


パドックでは鹿毛の馬体に、ダーリージャパンのダークブルーの勝負服が妙な威圧感を発信している。鞍上は長部幸雄。年内引退を撤回して現役を続行。この馬に集大成をかける。



いつものように俺たちはテレビの前で観戦していた。

瑤子が「なんかかわいい馬」と言った。

「シャドウロール(馬の鼻梁に装着し、下方の視界を遮るために使用する矯正用の馬具。)してまんな~脚元が気になるんでしょうな~まぁまだ子供な印象でんな」

宝田が解説してみせた。


たしかに雰囲気はあるがパドックでのチャカつきぐあいを見るとまだまだ子供だ。



10億円の評価がされたこの馬のデビュー戦に注目した。




『一昨年のセレクトセールで10億円という史上最高額を叩きだしたロンバルディアがついに今日、そのベールを脱ぎます。』



冷静に考えると社来ファームの渾身の一頭が、ダーリージャパンの持ち馬になるとは皮肉な話だ。



『そしてもう一頭、このレースには、あのナイトメアの全弟フォークギアも出走いたします。』



時の最強馬ナイトメアの弟。まだまだ発展途上な馬だけにこれまで話題には登らなかったが、見る限り現時点ではロンバルディアより雰囲気はある。

藤岡伸一が手綱を握る。

『さぁ注目の一戦。東京新馬芝1800m…スタートしました!』



出遅れはない。綺麗なスタートだ。


『まずは一頭モロボシアタルが逃げる。そのすぐ後ろにロンバルディア。フォークギアは中団に待機…』


ロンバルディアは先行策。


『第3コーナーに差し掛かり…ロンバルディアが徐々に前との差を詰めてきた』


先行好位で抜け出す構えだ。シンボリルドルフやビワハヤヒデを栄光のゴールへと導いた長部が最も得意とする戦法。



『第4コーナーを通過!モロボシアタルをロンバルディアが早くも捕まえにかかる!』


ロンバルディアが後続を引き連れて直線に入る。


『フォークギアがロンバルディアのすぐ後ろに位置を上げてきた!モロボシアタルは一杯だ!』


長部の腕はまだ動かない。


『さぁ先頭はロンバルディアに替わった!


そのすぐ後方にフォークギアがついてくるぞ!


400を切ってロンバルディア先頭!

そのすぐ後方にフォークギア!』


藤岡のムチにフォークギアは応え加速していく…が、差はまったく縮まらない。一馬身の差を維持したままロンバルディアは走っていた。


『残り200!藤岡のムチがさらに入る!その差まだ一馬身!!』



必死に追う藤岡は、長部の手元を見た。


馬を抑えている!?



長部は追ってくるフォークギアとの差を一馬身に調整しながら馬を操っていた。


『さぁ残り100を切る!フォークギア差せるか!?』



(もういいかな…)

長部は手綱を緩め、ムチを一発打った。ロンバルディアの速度が一気に加速し、3馬身離してゴール。



『フォークギア届かず!ロンバルディア助かった!なんとかデビュー戦を勝利で飾りました!』


一見、フォークギアの方が伸びているように見えていた。ロンバルディアは辛くも勝利の印象を与えたが、藤岡にはわかっていた。あれはまだ幼く爆発的なスピードを制御できないロンバルディアに対する長部の新馬教育だと。あえて抑えて我慢を学ばしていたのだ。


次元が違う…馬も騎手も…。

「なんか普通の馬じゃない?」

俺が言った。


宝田が笑いながら作業に出た。

瑤子もそれに続くが

「凄い馬よ…」

と一言残していった。


長部騎手のコメント

『まだ馬が幼い。遊びながら走っている。まだまだ稽古が必要だ』


次走は中京2歳ステークスだ。


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