表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人外討魔伝記  作者: 一ノ瀬カイヒロ
第4章 徴血の行方
86/102

第85話 クラブ

お疲れ様ですよ〜∠(`・ω・´)


今回はセツの目線から、始めさせていただきます。

では、どうぞ!

〜セツSide〜


日付けか変わる30分前、アタシは指定されていたクラブの入場列に並んでいた。


列が出来る程に人気のあるクラブ、っという訳でない。


アタシが入ろうとしているクラブは、セキュリティ面が非常にしっかりとしているところだ。



「身分証明書の提示をお願いします」



アタシは在留ざいりゅうカードを取り出して、スタッフに見せた。



「ありがとうございます。では、2.800円お支払いは何でなさいますか?」

「現金で」



薄い折りたたみの財布から、3.000円を渡して、200円のお釣りを貰い、その200円は、震災義援金と書かれた貯金箱に入れる。



「では、こちらのゲートをお潜り下さい」



金属探知機のゲートを潜って、アタシは奥へと向かい、防音がシッカリした扉を開けた。


薄暗いクラブの店内は、体に振動が伝わるほどに大音量の音楽が流れて、赤と青、緑色のレーザー光り、時スモークが噴射して会場を盛り上げる。


会話するのにも、耳元で喋らなければ聞こえない。


タバコと酒の匂いが鼻につき、大画面の前でDJ達がクラブを盛り上げる為にディスクを回す。

来場した者達は、音楽とDJの掛け声に盛り上がり、小躍こおどりしたり、音楽に合わせてダンスを披露。


盛り上がりが高まった時、DJ達の前にあるお立ち台に、黒いセクシーな衣装を身に着けたダンサーが登って、艶めかしく腰をクネらせ、衣装をめくって観客のボルテージを上げ、おひねりが飛ぶ。



「一万円もらいましたー!!」



大画面には10.000と大々的に出されて、盛り上がりがさらに高調する。


ダンサーの胸元、網タイツ、衣装のスカートふちに一万円、五千円、千円札が挟まれて、気分を良くしたダンサーがさらに艶めかしいダンスを踊る。


約束の時間まで少し時間がある。


アタシは酒が提供されてるカウンターに行って、コロナビールを買って、瓶に口を付けて一気に飲み干した。


何人かの男達の視線が刺さる。


どうせ、「胸は無いけど、良い尻してる」とか言ってんだろうな。


飲み干した瓶をカウンターに返して、指定された場所で待とうとした時、正面から地雷系のファッションをした女の子が、アタシに声を掛けてきた。



「あの、セツさんで合ってますか?」

「……アンタは?」

「お迎えです♡」



なんだよあの野郎、既に来てたのか?



「VIP席で待ってますよ」



可愛く案内してくれる地雷系の女の子に連れられて、アタシは2階のVIP席へと足を運んぶ。


少し進むと、そこではソファの上でふんぞり返ってる男と、その両隣を清楚系とギャル系の女の子2人をはべらせていた。



「相変わらずの女好きだな?」

「イヤイヤ、ここはこうやって楽しむところでしょうがw」

「基本的にダメなんだよ」



VIP席は、プライベート空間に近い。


仲間の男達の隣にも、タイプの違う女の子が1人付いていて、コイツ等は女の子の胸や尻を揉んだり、対面座位で座り合って大人のキスをしたり、酒を回し飲みして楽しんでいた。


無論、本来ならそういう事はやっちゃダメだ。




「で? 依頼してた情報は仕入れられたのか?」

「もちろん、ちゃんと調べたけど………Yo, what the hell(オマエ、) exactly estás nach(いったい何を) was bist du(追ってるんだい?) chasin' za quoi tu poursuis, huh?」




女の子達にセクハラしながら、目の前の男"Grey Ghost(グレイゴースト)"は、アタシに問い掛けた。


英語に聴こえるが、コイツの扱う言語は独自のモノ。


英語をベースにしているが、イタリア語、ロシア語、ドイツ語、フランス語、日本語と5つの言葉を混ぜて創った造語ぞうご


たとえ翻訳しようにも、この言語を翻訳するなら10年くらい時間がかかるし、AIで翻訳しようにも、いずれかの言語に引っ張られておかしな文章になってしまう。


スラングも入ってるから、なおの事難しいだろう。



あの女(フレネ)、何をどうしても必ず尾行に気付かれた。部下も10人くらいは死んだと思う』

『思う?』

『死体どころか、遺留品すら見つからなかったからな』



思ってたよりも多く死んだか………。


アイツは自身の周りを、霊で監視してるからな。


情報を得ようとしても、即座にバレる。

事前に話しておいても、そのくらいの犠牲は出たか。



『事前に聴いてたとはいえ、まさかここまでの被害が出るなんて、夢にも思わなかったよ』

『そりゃ悪かったな』

『まぁ、事前に聞いていたから、死んでも問題無いクソを使った。コッチに実害はほとんど無いから、別に構わねえよ』



捨て駒にする奴は、ちゃんと選別していたらしいな。


そしてGrey Ghost(グレイゴースト)は、1枚の封筒とRain(レイン)でダウンロードデータのURLを送る。


アタシは封筒から1枚の紙を取り出して、URLをタップしてカメラモードを起動する。


そして封筒の紙を、ある手順にそって折っていき、折り紙のツルを作り上げた。

ソレをカメラに読み込ませると、"認証"の文字が出て、それをタップする。


すると、画面にバグり散らかしたような文字の羅列が出てきた。

一見いっけんすれば、スマホにウィルスが入り込んだと思うだろうが、画面の四隅よすみを指でなぞって、ZAYGとスマホ画面に書くと、バグってた文字が"報告書"になっていく。



「相変わらず、面倒くさい暗号の解き方だな」

「大切なメシのタネだからな」



情報漏洩じょうほうろうえいのリスクとはいえ、よくこんな面倒くさい事を考えるもんだよったく。


愚痴グチりながら、アタシは報告書を読み進める。



あの時、フレネの腕を治す為に"アソコ"って言ってた。

アイツ等の言う"アソコ"は何なのか、アタシはこのGrey Ghost(グレイゴースト)に依頼して情報を集めさせていた。


そしてフレネの情報を渡して、アイツと接触のあった人物が誰なのか探ってもらっていたが……



ほとんどパパ活オヤジじゃえねか……」



いつ、どこで、ナニをしてたのか、詳細に書かれててウンザリしたが、何人か気になる人物もいた。



1人は、大手の中古車販売修理会社の社長。



過去、修理費を水増し請求したり、修理箇所をスタッフが作って、無理矢理請求金額を上げたり、売りに来た車を安く買い叩いたりしてたことがスッパ抜かれてた。


今は社名を変更して、先代社長から今の社長になったと聞いていたが、社内体質は変わってなくて、今も同じような事を、隠蔽いんぺいしながら営業している。


そしてもう一人は………



「……官僚?」



そう、日本の庁舎に勤める"ある官僚"と書かれた一文だった。


コイツだけ名前が分からず、住んでる場所も分からない。



「コイツだけは、何をしても分からなかった。分かったことは、日本(この国)のどっかの官僚って事だけ」



政治家なら顔を公開しているから分かるのだが、官僚となれば別だ。


奴等は国家公務員のエリートで、国の中枢を担う連中。

そんな奴がフレネと接触してるんだ。


嫌な予感がする……。



この事はとりあえず、頭の中に入れて置いて、次の情報を見ていくと………



「!!」



ある部分が目に留まり、アタシの心臓が少し跳ね上がった。




「オイ」




Grey Ghost(グレイゴースト)に声を掛け、奴の眼と合わせる。




「コレは、間違いナイんだな…?」




射殺いころしそうな目つきで、Grey Ghost(グレイゴースト)に問いを投げる。


奴は少し間を置いてから「間違いないよ」と肯定した。



(ワォ、久しぶりだなぁ、あのブレッドウィッチが怒るなんて)



店内のボルテージが上がり、周りの人間が喜声きせいを上げて、盛り上がりを魅せる中で、アタシの周辺だけ、温度が5℃程下がっていた。



書いてあるものに、アタシをこの闇の世界へといざなった、元凶の名前がそこにあった。




2026年8月1日


グリムネスト(童話の巣窟)の幹部数名と接触。


ワゴンの中から、数名の幼い女の子を提供。




バキッ



怒りのあまりに、スマホを握り潰してしまう。




「………連中(グリムネスト)は、今どこだ?」

「悪いが日本にいないぜ」

「そうか、なら追加依頼だ」



アタシは殺気を込めた視線を、Grey Ghost(グレイゴースト)向けた。



「子供達が、どこに居るのか調べろ」

「りょーかい、前金よろしくね?」



やり取りを終えると、アタシは握り潰したスマホを床に放り投げて、きびすを返してクラブから出て行った。


ある程度、アタシの事情を知っているGrey Ghost(グレイゴースト)は、アタシが店から出て行ったのを見送ると、冷や汗をドッとかいた……。



「ハァ、ヤバすぎだろアレ?」



そう言うとコイツは、コロナビールを一気に飲み干してから、さっきの事を忘れる様にして、酒とタバコと女の子に興じていったが、


(コリャ適当な仕事は出来ないなぁ、下手すりゃオレの命が危ねえわ)


アタシのヤバさを身を持って再確認して、前金を確認次第、仕事に取り掛かろうと決めた。


================================


その帰り道、路地裏に入り込んで、アタシはタバコに火をつけてクールダウンしていた。

ガラムのキツい香りが広がり、パチパチ音を上げながら肺にガツンとくる。


が、全然怒りが収まらない。



「クソが……」



今だから、まだこの程度で済んでるが、あの変態(ペドフィリア)共が、この日本に来ていると知って、自分が奴等にされた事が、否応無しに蘇ってくる……。


アレからずっと、グリムネスト(童話の巣窟)の連中を殺してきて、数も減ってきた。

グリムネスト(童話の巣窟)以外にも、こういう組織はゴマンといるが、奴等だけはアタシが絶滅させると決めてる。


このまま帰ったら、部屋の中で暴れ回りそうになる。



(落ち着け……落ち着け……)



心の中で自分にそう言い聞かせて、タバコも5本くらい一気に吸って、ようやく落ち着いてきた。


そして、仕事をしてくれたGrey Ghost(グレイゴースト)に対して、殺気を向けてしまった事を後悔してた。


アイツは仕事をしてくれただけだ。


そんな奴に対して、殺気を向けるてしまったのは、ただの八つ当たりだ。

少しづつ、前に進んでるとはいえ、アタシもまだまだだな。


そうやって反省会をして、もう一本タバコを吸ってから帰ろうとした時だった…。



「よぉ、探したぜねぇちゃん?」



路地裏の影から、複数の半グレみたい男達がやって来る。

それもはさちで。



「なんかようか?」

「ねぇちゃんさ、あのクラブのVIP席から出て来てただろ?」

「なんかあったのかな〜って思って、心配して付いてきちまったんだ〜w」



どうやら、クラブの中にいた連中のようだな?



「…心配してくれるのはありがたいが、だったらこんな狭い所に、そんな人数で来なくてもよくないか?」

「え〜?だってさ〜、男1人じゃこのあとの展開がさ、盛り上がらねぇじゃん?」

「そうそうw このあと楽しむんだから、いっぱいいた方が良いでしょって話し♪」



そう言うと、男共はポケットやカバンから、ナイフや強化プラスチックの警棒を取り出してきた。


………あぁ、コイツらそういう連中か。


アタシがVIP席に行って、そこから出て行ったのを見て、尻軽とでも勘違いしたか。

しかも、良からぬことを考えてるみたいだな?



「そろそろ帰る所なんだ、退いてくれないか?」



優しく言ってる内に、引いた方が身のためなんだが、どうやらこの馬鹿には通じなかったみたいだな。



「ダ〜メ! ちょっと気持ちいい事と、お金になる動画を撮らせてくれたら、帰してあげるからさ!」



今までこうやって、脅してきたんだろうな。

手慣れた動きで、アタシの首にナイフを突き付けてきた。


気持ち悪いし、気分悪いし、今夜は踏んだり蹴ったりだな。


それに、ナイフや警棒(そんなもん)を出したんだから、ちょっとアタシの八つ当たりに付き合ってもらおうか?



手始めに、アタシは首にナイフを突き付けてる馬鹿の手首を掴むと、小手返しで一気に投げる。と同時に、馬鹿の後頭部がコンクリート当たる瞬間に、アタシの厚底で顔面を踏み抜く。



「ゴペッ!?」



そして一足飛びで2人目の眼前まで迫る!



「え、はや……グゲッ!」



あごを蹴り上げて脳を揺らした。

その拍子ひょうしに、男の前歯にヒビが入って、歯茎から血がしたたり落ちる。


一拍置いてから、残りの男共が激昂してアタシに襲いかかる。

けど、こんな狭い路地裏で道を塞ぐようにして襲い掛かったら……



「なっ、飛ん…ブッッ!?」

「ぐぎゃっ!?」



三角跳びの要領で、一気に背後を取ってかかとを落とす。

頭頂部にある"百会ひゃくえ"というツボににクリーンヒットしたら、男の耳から血と透明な液体が出てきた。


最後の1人は警棒を振り上げてきたから、振り切らせた直後、伸びきったひじを逆に折り曲げてから、流れるようにして鳩尾みぞおち猿臂えんぴ…まぁひじんだ。


アッという間に半グレどもを制圧して、多少はイライラも解消出来たな。



「ずいぶんと強い姉ちゃんだな?」



………今日はよく声を掛けられるな。


声のする方向を見ると、見るからにヤクザといった風貌の男共が、路地裏の影から沸いて出てきた。


今日は厄日かなんかか?



「おっと、警戒しなくていい。

俺達は壬生組みぶぐみもんで、俺は片山 旭(かたやま あきら)ってもんだ」



片山かたやまと名乗ったヤクザは、両手を上げて、アタシに害は及ぼさないとコミュニケーションを取ってきた。


まぁこの態度とか色々見る限り、確かにその気は無さそうだが……いったい何の用だ?


そう疑問に思っていると、片山かたやまというヤクザは、アタシが叩きのめした半グレを渡してくれと言ってきた。



「コイツ等、ここら辺で悪さをしてた連中でな、粛清しゅくせいする為に探してた所だったんだ」



どうやら、アタシにやったような手口で、女の子をおどして、その動画をネットで売りさばいてたらしい。

その中に、壬生組みぶぐみボスの娘までもが入ってたとか。


愁傷(しゅうしょう)さま、としか言いようがないな。



「偶然とはいえ、そこのクソ共をコッチに渡してくれたら、ありがたいんだが」



片山かたやまは眼光鋭く、アタシを睨みつける様に、だが口調は優しく言ってくる。


こっちとしては、このゴミを処分してくれるのならありがたいと、どうぞどうぞとアッサリ引き渡した。



「礼を言う」

「かまわねぇよ」



片山かたやまが指示すると、部下達はそそくさとゴミを担いで、路肩に停車しているバンに詰め込んでいく。


帰り際に片山かたやまが、私に名刺を渡して「もし何かあったら連絡をくれ」と言い残して去っていった。


とりあえず、今日知った事は龍太郎りょうたろう朱里しゅりと共有するか。


あと、壊しちまったスマホの再契約だな。


あのデータは、ベアードのクラウドに自動保存されてるから問題無い。

でも、スマホ一つで30万かぁ………。


金はあるとはいえ、痛い出費だ。

自業自得だけど…。


久しぶりのグリムネスト。


どう絡んでくるのか、お楽しみに∠(`・ω・´)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ