783 ゴブリンっておっきな穴も掘るんだね
ゴブリンたちが使ってたバリケードってやつ、思ったより頑丈だったみたい。
そのせいでほんとに困ってるんだよってルルモアさんは言うんだ。
「場所がもっと平坦な場所だったらよかったんですけどね」
「あそこだと、手段が限られるからなぁ」
僕たちが見つけたゴブリンの村、行くのがちょっと大変なところにあるでしょ。
だから頑丈なバリケードを壊すための道具が持ってけないんだって。
「それこそ、丸太か何かでぶち破るしかないんじゃないか?」
「そうなんですけど、そんなものを使ったことがある冒険者なんていないんですよね」
そりゃそうだよ。だって、冒険者は戦争に行かないもん。
おっきな丸太を持って壁にどーんってぶつかってくなんて、したことある人がいるはずないよね。
お話を聞きながらそんなこと考えてたらね、そこでお父さんがびっくりすることを言いだしたんだ。
「でも早く突破しないと、ゴブリンが別の出口を作ってしまうぞ」
「ええっ、ゴブリンって穴を掘るの!?」
「そりゃ掘るだろ。そうじゃなければなぜあんなところに、集落ができるほどの大きな洞穴があるんだ?」
お父さんはね、ゴブリンたちの村がある洞穴はゴブリンたちが一生懸命掘ったんじゃないかなって言うんだよ。
「武器や防具だけじゃなく、バリケードまで使う知恵があるんだぞ。穴くらい掘ってもおかしくはないだろう」
「そっかぁ。じゃあ早くしないと、別のところからみんな逃げちゃうかもしれないね」
お父さんやお兄ちゃんたちがいっぱいやっつけたから、ゴブリンたちはみんな村の中に逃げちゃったって言ってたでしょ。
だから、もう今の出口からは怖くてお外に出られないって思ってるはずだもん。
それらきっと今頃、一生懸命穴を掘って他の出口を作ってるんじゃないなって思うんだ。
「カールフェルトさん。バリケードを除去するいい考えはありませんか?」
「そう言われてもなぁ。俺だって城門をぶち壊すなんて経験はしたことないし」
「お父さん力持ちだけど、おっきな武器をふんぶん振り回すこともないもんね」
森の中だとおっきな剣は邪魔だから、お父さんは片手で持てる剣しか使わないんだ。
だから丸太の使い方を聞いたって、そんなの知ってるはず無いんだよね。
「そうですよね。でも、他の街から専門家を呼ぶ時間もないでしょうし」
「ただ丸太を大人数で担いで、思いっきりぶつかるだけじゃダメなのか?」
「それだとうまく力が伝わらないから、よほど大きなものを使わないとバリケードを突破できないんですよ。でも……」
ルルモアさんがそう言うと、ずっと黙ってたテオドル兄ちゃんがああそうかっておててをポンって叩いたんだ。
「あの周辺の木はそれほど太くなかったし、かと言って大きな丸太をあそこまで運ぶのも道中の木の混み具合からしてちょっと無理そうだったね」
「ええ、そうなんですよ。だからうちのギルマスも困ってしまって、ある方のところに相談しに出かけているんです」
ある方って誰? 僕がそう聞こうと思ったらね、
「ハンスたちが来ているというのは本当か?」
僕たちがいるお部屋のドアが急に開いて、筋肉の塊みたいなおっきなお爺さんが入って来たんだ。
「ギルドマスター。ノックも無しにいきなり接客中の部屋に入ってくるなんて、マナー違反ですよ」
「おお、すまんすまん。だが、わしも少々焦っておったのでな」
そう言ってルルモアさんにぺこぺこ謝ってるのは、冒険者ギルドのギルドマスターさん。
そのギルドマスターのお爺さんはね、ルルモアさんに何とか許してもらうと今度はお父さんの方を見てびっくりすることを言いだしたんだ。
「ハンス。本当に他の手が無いんだ。すまんがルディーン君の魔法の力を貸してはもらえんか?」




