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不運な少年は転生したら異世界初の人間でした  作者: 怪ジーン
第7章 金と銀と魔人族
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79 アリエルの趣味、変わらず

 アリエルは、ゆっくりと話を始めた。


「イズーリアの多くの事、アルメイダが関わってる。キンタロー、キミも」

「《不運》か……」

「それだけじゃない。考える。《不運》はいつから?」


 いつから……キンタローは、昔を振り返る。自分が八雲だった頃、施設に入る前、母が父を殺し自殺して自分は孤児になった。


「もしかして……オレが産まれた直後から……か」


 アリエルは、頷き肯定する。キンタローの手のひらは、汗でびっしょりになっていた。つまり八雲としての人生は、アルメイダの手のひらで踊らされていた人生だったのかと、そして転生してからも、もしかしたら……


 キンタローに最初に訪れたのは恐怖……しかし、キンタローを転生後育ててくれた両親や兄弟、そして夢の中とはいえ、この後起こる事態がアルメイダによるものかもしれないに、沸々と怒りが込み上げてきた。


「アリエル、アルメイダは何処に行ったらぶっ飛ばせる?」

「それは、向こうに任す」

「向こう?」


 アリエルの返事の意味を考えるが思い当たらない。キンタローも、アルメイダーをそう簡単にぶっ飛ばせるとは思っていないが、それがまた歯痒い。

 そんなキンタローを見たアリエルが、提案してきた。


「キンタローは、幸せな生活を送ればいい。アルメイダにとっての嫌がらせになる」

「い、嫌がらせ!?」

「そう。アルメイダは上手くいかないとこんな顔をする」


 そう言うと、アリエルは両方の人差し指で自分の目尻を引っ張って見せると、キンタロー達は突然の行動に思わず吹き出してしまう。


「この顔を見るのが、ワタシの趣味」

「い、嫌な趣味だな」


 アリエルは、とてもいい顔で親指を立てた。


「アルメイダ自身をどうにかは出来ない。だけど、キミが20年幸せに生活すれば、この顔にさせれる」

「20年?」


──20年は、頑張って生きてくださいね──


 転生直前、アルメイダに言われた言葉を思い出した。


「そう。20年。初めはわからなかったけど、おそらく20年経ったら何かしてくる。それを防げば……」

「この顔になるっていうわけか」


 キンタローも、両方の目尻を横に引っ張ってみせた。


◇◇◇


「キンタローさん! 緊急です!!」


 アリエル達と話をしている最中、突然ジャンが息を切らせて現れた。


 珍しく慌ている様子に、何事かと緊張感が漂う。


「はぁ……はぁ……ふ、フラムさんの陣痛が!!」

「!! 本当か!?」


 キンタローは、ジャンに駆け寄って行く。ジャンによると、陣痛が始まってすぐにノイルに頼みここまで来たと言う。

 キンタローはすぐにでも駆けつけたかった。


 しかし、今はアリエルの話を聞かないといけない。どうするか思い悩んでいると、アリエルは行ってくるように伝えた。


「話なら何時でも出来る。それにキンタローが動かないとアルメイダに嫌がらせにならない」


 フラムが子供を産めば魔人族の村へと向かわなければならず、その後は、夢を覆さなければならない。

 次はいつ来れるかわからないが、もたもたしているとアルメイダに先手を取られかねない。


「また、会いに来るよ」


 長老に向かってそう言うとキンタロー達は、この場をあとにした。


「また……か」


 アリエルは、長老の側にいき横にしてあげて、長老の手を握る。


「心配いらない。あなたはワタシだもの」


 長老は、それを聞いて一度大きく目を開くがすぐに目を瞑り眠りについた。


「おやすみなさい。サフィエルをよろしく」


 誰も居なくなったその場所で、1人アリエルは呟いた。



◇◇◇



「婿どの、遅いぞ!」


 待ちくたびれて愚痴を言うノイルに、キンタローは足を蹴った。


「こっちも色々ありすぎたんだよ。さっさと行くぞ! ミカンもいつまで寝てやがる!」


 軽く頭を揺すってやると、寝言を言い出す。


「う~ん、キンタロー止めるの~! 変な所触らないでなの~」


 思わぬ寝言にその場にいた全員が固まり、視線がキンタローに集まる。

 キンタローは、懐からミカンを起こさないように出すと、木の(つる)でぐるぐる巻きにして、もう片方をノイルの角にくくりつけた。


「親父さん、行こう。飛ばしてくれ」


 ノイルは羽を一回大きく羽ばたかせ、その後素早く動かし上昇していき、出発した。


「なんなの~! これ、なんなの~!! 怖いの~! 落ちるの~!!」


 まるで鯉のぼりのように、ノイルの角にミカンがぶら下がっていた。


◇◇◇


 ノイルは全力で飛ばし、あっという間にキタ村の上空に着く。


「このまま、家の方に行ってくれ」


 キンタローの指示に、家の上空へと来るとキンタローは1人飛び降りた。


「先に行ってくる!」


 地面へと落ちていく、キンタロー。足で着地する様に態勢を整えて両足で綺麗に庭へと着地した。


 スキルのお陰で痛みはあるものの、すぐに走り出し家に入る。物凄い音が外からした為、プギーが慌てた様子で出てきた。


「キンタロー様、二階のお部屋です。ブヒ」


 プギーは、一瞬で全てを理解しキンタローにフラムの居場所を伝えた。


 二階へと駆け上がり、自室の前に着く直前、思わず足を止めてしまった。




「おぎゃあーー! おぎゃぁーー!!」


 部屋の中から、元気な声が聞こえたからだった。

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