第二十五話 何でだろうね。
何で、あんなことを言われたんだろう。
少しだけ赤くなる頬を押さえながら、私はベッドに潜っていた。
押さえた頬は、しっとりと暖かくて、おでこには、しっとりと汗が滲んでいた。
さっき、悠矢が言っていた、あの言葉。
「姉ちゃんは、後悔しないように、頑張ってね?」
悠矢の、寂しそうな声が、まだ頭の中に残っている。
いつものぶっきらぼうな顔の中に、何かがあったような感じがする。
それにしても、弟から告白されるなんて、考えもしなかったなぁ。
冷静に考えてみれば、そんなことを思えてきちゃうわけで。
「悠矢、ごめんね」
ごめんねって言葉が、あの時は出すことにも苦労したのに、今じゃ、こんな簡単に口から出てしまうんだもん。
「好きな子、いるんだよね……」
ぼそり、と呟いた一言。
その声は、布団の中に溜まることなく、消えていく。
「ありがとう……」
独り言のはずなのに、何故か悠矢が頷いてくれているような感じがして、私はふふっ、と微笑んでしまう。
何でだろうな。
そんなことを考えていると、いつの間にか私は寝てしまっていた。
だから、今から起こる事件を、防ぎようもなかった。




