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パラレルフィスト~交差する拳~  作者: 黒主零
if集
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シュトラ・イアングリリー・ワールド

4章2話からのifと言うかシュトラルート。

・空はやや青が混じった茜色。


魔法格闘技パラレルカードの全国行きを賭けた地区大会を翌週に控え、それに向けた練習を残り数十分に消化した頃合だ。


「ふう、今日も疲れたわね」


シュトライクス@・イグレットワールドがタオルで汗をぬぐい、飲料水を口に含んでは喉を鳴らしながら飲む。


疲れ、火照った体に僅かながらの癒しが生まれて上がった肩が自然と下がる。


飲み終わり、ペットボトルをカバンに戻すと休憩用ベンチに座ってコートを見やった。


さっきまで自分と組手をしていたラットン・MK・Hル卍は今、赤羅門・ミドリュエスカラナイトと組手をしている。


ラットンは自分達とは違って機械の体だ。可能な限り人間 に近い姿になってはいるものの体力などはその数倍近くある。本人は嫌がっているがやろうと思えば飛行も可能だ。当然今更シュトラ達仲間が彼女の体についてどうこう言うつもりはない。喩え、公式戦で初めて勝てそうだった試合にいきなり乱入され一撃で倒されていたとしてもだ。まあ、仲間になってすぐに双頭ディルドを奢ってもらったが。


ともあれ、彼女と違い、自分とほぼ同じ実力を相手に連戦するだけの体力はないシュトラはこうして残った時間を適度な休憩とダウンに使おうとしていたのだ。そのついでに仲間達の練習風景を見やった。


ティライム・KYMとラモンのタッグは相変わらず息がバッチリ合っている。


ティラが強力な切り札を手に入れて以来あのタッグの勝率は大幅に 上がった。それにラモンの方も意識が変わったのか最近シングルでの実力も上がってきていた。このままでは自分も上回れるのは時間の問題かも知れない。


「……」


そのタッグと戦っているのは恐らくこの山TO氏高校最強のタッグだろう。


タイトルホルダー姉妹のユイム・M・X是無ハルトとキリエ・R・X是無ハルトだ。


「ラモンさんの動きに惑わされぬように。あなたなら問題なく勝てるでしょう」


「はい、分かりました!」


キリエのアドバイスを丁寧に聞くや否や迫ってきたラモンを相手に丁寧に格闘戦を行う。


しかし彼女は実は本物のユイムではないと言う事をシュトラ含めた高校生メンバーは知っている。


ブランチと言う存在に与えられた交換チェンジのカードによってユイムと体が入れ替わってしまったライランド・円cryンと言うのが今の彼女の正体だ。ライラの素性を最初に知ったのはキリエを除けば自分になる。


自分の恋人であるユイム。そのユイムの体を借りたライラもまた少女だったのを先週聞いた。


そしてシュトラもまたライラの事は嫌いじゃなかった。最初は共に本物のユイムを取り戻す同志として。


それを無事成し遂げられた次にはユイムを好きなもの同士として。この2つの共通点は他の誰にもないこの二人だけの共通点だ。だからかライラとはよく行動を共にしていた。


半年前の地区大会では一緒のペアでタッグ戦を担当していた。あの時はまだ自分が未熟だったせいでライラに無理をさせてしま った結果4回戦にも届かなかった。その時の後悔からシュトラはもっと強くなることを願った。


7月の臨海学校ではユイムの危篤に甘えてブランチの手先としてライラと命懸けの戦いをすることにもなってしまった。結果的にユイムは助かったもののその途中ではとんでもなく取り乱してしまった記憶も薄々ながらある。


無事ユイムも平和も取り戻した先月……10月にはライラと一緒に3Pをした。その時にはもう自分はユイムだけでなくライラの事も好きになっていたような気がする。だからか今では事後報告ではあるもののユイムに知らせつつも未だユイムの体のままのライラと一夜を共にすることが多々ある。


ライラを形容するならばとても真面目で真摯な少女だ。年下相手にだって敬 語を崩さず自分が強くなる為の努力を惜しむこともない。それに誠実だ。この前は自分に関する事情を隠し続けていた現状に我慢が出来ずに胃潰瘍になって入院してしまった。幸いすぐに退院出来たが。


魔力量は自分とそこまで差はないと思う。しかしパラレルに関する才能や技量は比べ物にならない。


その腕前はタイトルホルダーであるユイムを一騎打ちで数度破っているのをはじめとして人外の存在であるブランチや、そのブランチから力を与えられた自分、さらにはかつて戦争で使われていた最強の機械兵器・オメガでさえも破っている。伝説の聖騎士とされている風行剣人からも一目置かれているのだ。


本来の姿の彼女とも何回か会っている。彼女は人類の前に地球上を支配していた とされる人型猛禽類・天死と人間の間に生まれたハーフでありその特性によって両性具有となってしまっていた。だから中学の3年間を男子として過ごしていたらしい。自分達にも最初は男子と名乗っていた。


彼女は自分の生まれとユイムへの恋慕で常日頃から葛藤をしていたと言う。そのために一時期卑屈になったことさえある。あのライラがである。その結果吐血して入院したのだが。


隠し事の件はもう解決したがまだその葛藤に関しては決着がついていないのか、自分や彼女との情事の際にはもう数を重ねていると言うのに未だに躊躇しているのが表情で分かる。


それに対してシュトラとユイムで相談することはあっても積極的にライラ本人に指摘するのは流石に躊躇されていた。ライ ラがユイムはもちろんの事シュトラに対しても好意を寄せてくれているのは確かだと分かるのだが。


「……ふう、」


再び水を口に含む。時計を見れば残り5分になっていた。どうやら少し考え込んでいたようだ。


さっきからコートで檄を飛ばす顧問のミネルヴァの視線が痛い。……別にサボってるわけじゃないのに。






・シャワー室。高等部の7人と49人の中等部メンバーが同時に汗を流せる程に広いその場所。


「……あ、あううう……」


「ライラくん、もしかしてまだ緊張してるの?」


「だ、だって……その……」


「もう、私と一緒なら大丈夫でしょ?」


「あ……」


シュトラが慌てているライラを自分と同じ 個室に入れて一緒にシャワーを浴びる。


この腕で抱くライラのその体はユイムのものでありもう何度も2つの意味で抱いた体である。自分の体より詳しいかも知れない。


「い、いや、その……恥ずかしいですし……」


「じゃあまたこうしてあげようか?」


シュトラの指がライラの割れ目に添われた。


「ひゃ、」


「もう、可愛いなライラくんは」


もっと気持ちよくしてあげるために近付けば自分の胸が彼女の背中によって形を変える。


こうして見ると、ユイムの体は自分よりだいぶ小さい。本当に同い年の少女なのかと疑うほどだ。


そう言えばライラの体も小柄だった。下手するとユイムのこの体よりもだ。


どっちも自分と年齢も性別も 同じなのだからこうなるとおかしいのは自分の方ではないかと思ってしまう。


「もう、この体のどこにあんな力が入ってるのか。調べてみっちゃおっかな~?」


右手で彼女の股間を、左手で胸を弄れば彼女はビクッビクッと体を震わせて顔を赤らめる。


こう言ってしまうと悲しくなる時があるのだがレズ歴3年であるシュトラはもう女の子の体を知り尽くしている。


どこをどう触れば気持ちよくさせてあげられるのかが頭で考えるより先に指と舌が理解しているのだ。


だからあっという間に右手の指にはシャワーのお湯にそれ以外の液体が混じり始めていた。


彼女の尻に同じ状態となっていた自分のそれを押し付けながら耳タブを舌で弄る。


「しゅ、シュトラ さ……」


「出し入れだけがセックスじゃないんだよ?」


「うああ……ひゃっ……ああん……ああん!!」


ライラの喘ぎ声がシャワー室に伝播を始めた。その時だ。


「……あなた達」


個室のドアが開かれ腕を組んだキリエが姿を見せた。


「中学生もいるというのに……そういうのは二人きりの時になさい!」


下ろされていた彼女の金髪がひとりでにロールを巻き、やがてドリルのようにウィィィィィィンと回転を始めた。






・夕暮れよりは夜に近い頃合だ。


「あははは! 二人共すごいね。流石の僕も後輩がいる中ではやれなかったよ?」


P3での通信でユイム本人と会話をする。今はライラの体を使っている。画面に映っている自分の顔を見てやはりライラは違和感を覚える。そのライラにもシュトラにも頭にでっかいたんこぶが生まれていた。


「そう言えば二人共。今度の地区大会だけどうちも出ることになったみたいだから」


「へ? うちって……」


「チーム風ですか?」


「うん。この前は出られなかったメンバーもいるけどライラくんなら知ってるでしょ?」


「はい。……誰が出てくるんだろう……? ってちょっと待ってください!? もしかしてユイムさんも……!?」


「うん、そうだよ? 一応今の僕もチーム風の一員だからね。まあまだポジションは決まってないけど。……それに僕だけじゃないよ。あの時にはいたリイラちゃんの代わりにとっておきの切り札がいるんだよ。ケーラやライラくん、もしくはお姉ちゃんが相手でも勝てるかも知れないとっておきがね」


「……そんな人が……」


ライラが記憶を探る。が、チーム風にはもちろん萬屋高校にもそんな生徒がいるというのは聞いたことがなかった。況してやキリエにすら勝てるかも知れない高校生などこの世界にいるのだろうか?


「まあ、僕も山TO氏のメンバーと公式戦で戦う日が来るなんて思ってなかったからちょっと緊張してるかも。


でもライラくん、今度は負けないからね?」


「いや、あの、前回 はユイムさんが勝ったと思うんですけどアレ」


ライラがたんこぶではない頭の痛みを思い出す。


「シュトラもどこまで強くなったか僕に見せてね?」


「はい、ユイムさん」


シュトラが返事。と、


「ちょっとユイム。手伝いなさい。えっと一週間分くらいでいいのかな?」


リイラの声が聞こえてきた。


「2週間は必要じゃない? あ、じゃあ僕一度切るから。じゃあね!」


そう言ってユイムが連絡を切った。


「……リイラの奴、何をしてたんだろう? ユイムさんに迷惑かけてなきゃいいけど」


「……ライラくんってば時々お兄さんになるよね」


「一応兄ですから」


「……姉、じゃないの?」


「……僕があの子ときょうだいになった頃にはもう生えてましたから。それをあいつも知ってますし」


「……そっか」


「……シュトラさん、僕って女の子の方がいいんでしょうか? それとも……」


「ライラくん……」


「僕、前から考えていたんです。僕は人間ではないかもしれない。それはもう諦めらことですからとやかく言うつもりはありません。でも、男か女かはまだ決まったことじゃないと思うんです。……ただの未練かもしれませんけど」


「……ライラくんはどっちがいいの?」


「……分かりません。リイラは兄と読んでくれています。それも納得しています。でも、どこかまだ腑に落ちないんです」


「……急いで答えを出す必要もないんじゃないのかな?」


「……そうも言ってられませんよ。遅くとも7ヶ月後までには決めないといけません」


「へ?」


「だって僕、ユイムさんやシュトラさんとしてしまいました。受精 卵も試験管カプセルの中で順調に育っています。でもそのまま誕生してしまえば僕達は親になるんですよ? その時僕はどっちになったらいいんですか!?


……分からない。分からないよ……」


「……ライラくん……」


敬語を崩し俯いた彼女をシュトラは抱きしめてやることしか出来なかった。



・2週間が経過した。


地区大会で山TO氏高校は無事優勝した事で全国大会への出場が決まった。


ライラは迷いを持ったままでユイムとの戦いに臨んだ。


しかもその戦いの前には幼馴染である佐野升子が懐妊していた事実まで知らされた。


どうやらユイムがライラの体を使って升子と作ってしまったらしい。本人曰く脅されて仕方なくだそうだが。


その際に伝説の聖騎士である風行剣人にライラが天死であることが伝わってしまい、彼とも敵対することになってしまった。ばかりか升子との間に生まれた子供の来斗にも天死の血が流れていてその力を使ってしまえるらしい。


その事でライラはまた悩み込んでしまっている。想像以上に決断の時が 早くなってしまった事をシュトラは思い出し、苦笑すら出来ずにライラと同じように悩み込む。


実際ライラの状況は複雑で深淵すぎてまだ付き合いの短いシュトラには解決どころか助力することすら厳しい。


「だからってどうして私の所に来るのよゴリ女」


病室。まだ入院したままの升子を訪れた。本当はライラも同じ病室なのだが現在検査中で1,2時間は帰ってこないらしい。まあ、それはユイムに聞いた話なのだが。


「だってあんただってライラくんの事心配でしょ? 性別にも種族にも悩んでる。おまけにブランチなんて訳分からない怪物やら聖騎士やらに狙われている。あと、生き残りの天死だっけ? 今のライラくんはとても安息出来る状態じゃないのよ」


「……それくらいあのクソユイムから聴いてるわ」


「……ちょっとあんた、流石に今の失言を聞き逃すことは出来ないわよ」


「だったらもう一回やってみる? カード使えなくたってあんたに負けるつもりはないわよ」


「ふん、病人相手に本気でやったらかなわないからね。手加減してあげるわ」


にらみ合い、数分後。院内のリハビリアリーナにやってきた二人。


「エルブレイド・行使サブマリン!」


肘に刃を乗せてシュトラが走り、升子向けて刃を振り下ろす。が、升子は指2本で受け止める。


「嘘!?」


「あんた、非力すぎるわ。そんなんでライラの力になれるわけないじゃない」


「くっ!!」


エルブレイドを解除してバックステップで距離を取る。半年鍛えた足運びは升子から距離を取るのに十分だった。


「今度はこっちの番よ。頼むからこの部屋の目的程度の運動はさせてよね」


一 歩。地を蹴った升子は十分距離をとった筈のシュトラの懐まで一気に接近した。


「な!?」


シュトラが目視すると同時、升子は右ストレートを放った。それに当たったらライフの影響下にないこの状態だったら入院は確定だろう。その防衛本能が働いたのか銃弾のようなパンチを半身を反らすだけで回避し、一歩するだけで升子の側面に移動。そのままサイドステップで素早く升子の背後を奪いコブラツイスト。


「……ライラが教えたの?」


「そうよ! これが山TO氏の円cryン流なんだから!」


「山TO氏の? あんた頭まで残念なのね」


「何よ!?」


「ライラが中学までどこに住んでいたか分かってる? そしていつ頃からパラレルをやっているかを」


升子はシュトラの絞めに一切ダメージを受けていなかった。ばかりか簡単に片手でそれを解除してシュトラを正面20メートル離れた壁まで投げ飛ばす。


「旧帝都のチーム風こそ円cryン流発祥の地よ?」


「くっ!!」


壁の上に横向きに受け身を取るシュトラ。しかしその威力を殺し切るにはあまりに非力でそして強力だった。


激痛が背中と両腕を走り、着地の受身が取れないまま床に落ちる。


「いい? ライラはあんたに対して恩義を感じてるみたいだけどあんたの方はライラに応えられるの? あんたを慕うライラの想いに応えられるの? あんたは……本当にライラの事が好きなの? ユイムが、ライラの事を好きでライラもユイムが好きだから、ユイムが好きなあんたはただ流されるままにライラを好きでいようとしているだけじゃないの?」


「……升子ちゃん」


「何よ?」


「嫉妬もそこまで行くと逆恨みだよ?」


「……」


「ライラくんがあなたと一緒にいるのは幼馴染だから。親友とまでしか見られていない。なのにセックスまでした上ライラくんから慕われている私が気に入らないから話を逸らして私を暴力と論点のすり替えで妥協させようとしている。……いい? 私はユイムさんが好きだ! でもライラくんの事も同じかそれ以上に好きなのよ! いつだって真っ直ぐで誠実で真摯で、でも支えてあげなきゃ潰されてしまいそうなあの子の力になってあげたいのよ!


他の誰かならいざ知らず私達なら喩えライラくんとの間に生まれた子がどうであれ、どんな未来を招き寄せようとも絶対に見捨てたりはしない! ユイムさんがレズで友達も理解者もいなかった私を助けてくれたように、今度は私がライラくんを助けてみせるんだ! 喩えライラくんが二者択一で私じゃなくユイムさんを選ぼうとも構わない! 私は……私はライラくんが好きだから! 力になってあげたくなるしなって欲しくもなるあの子の事が好きだから! あんたのように妥協なんてしない! 絶対諦めてなるものか! 絶対……絶対ライラくんを救ってみせるんだから! それが出来るのはユイムさんでもあんたでもない、あの子が初めて真実を話して力を求めそして応じたこの私だけなんだ!! だから……負け犬は引っ込んでいなさい!!」


「……」


シュトラが吠え、升子は沈黙を作ってから彼女に歩み寄る。


「……ふん、人間死ぬ気になれば何でも出来るって言うけど振り分けが出来るものなのね」


やがて踵を返して部屋を去る。


「……」


シュトラは中腰に近い状態で静止していた。先程の一撃を受けて気絶寸前だったのだ。だが気力で自分の思いの丈を叫ぶとそのままの体勢で目も開けたまま気絶していた。升子が部屋を去ってドアを少々強めに閉めるとその衝撃でシュトラは倒れた。


「……う、」


そしてその衝撃で意識を取り戻したシュトラは自分が涙を流していることに気付く。


「……そっか。もう私止まれないんだ……」


涙は溢す。でもその言葉は零さなかった。






・翌日。ライラが退院のため荷物を片付けている。升子もまた今日退院だ。


シュトラとユイム、パラレル部のメンバーがその手伝いをしていた時だった。


「臨時ニュースです。病気のため政府議会の法務大臣であるアンカトゥス・ベルレセイヤ・J絵美ニさんが崩御されました」


「え?」


全員が手を止めてモニターを見やる。


「またこれにより後任の法務大臣はイザカムイ・六サム4スイ・アルグイズン・バランツィ亜さんに決まりました」


「え?」


ラットンが驚きの声を上げた。


「どうしたんですか?」


「……イザカムイって確かステメラ父さんのお爺さんよ」

「そ、それって……」


「ステメラの暗躍には関わっていなかったらしいけど……後暗いものを感じるわね」


ラットンが訝しむと、アナウンスは続く。


「なお、イザカムイさんが最初に提出した法案で重婚制度が撤回されました。これにより既に結婚している方を除いて重婚は法律で認められなくなりました」


「えぇえぇえぇえぇ~!?」


アナウンスに被さるほどの大声を出したのはユイムだ。


「また、それにより正式な結婚した一夫一妻の子供ではない子供は生命保険制度の対象外となることが確定しました」


「そ、そんな……同性婚が出来ないかどうかどころか……重婚が……そんな……そんな……」


「あ、ユイムさん!」


倒れたユイム を支えるシュトラ。しかしそのシュトラも唇を噛んで表情を変えていた。


重婚が出来ないと言う事はシュトラ、ユイム、ライラの3人の内二人しか選ばれないと言う事だ。


いや、場合によっては3人の間に生まれた二人の子供の内片方は正式な補助を得られないまである。


昨日シュトラは二者択一と言ったがまさかこんなに早くそれが実行される時が来てしまうとは思わなかった。


ある程度の準備を終えてから3人は病院の庭に集まった。


「……」


「……」


「……」


全員蒼白の表情で無言のまま俯いたり青空を見上げたり、目を閉じたりしてベンチに座っている。


何度目かに風が吹いて3人の髪を撫でた時だ。


「もう結婚とかどうでも いいよ!」


ユイムが立ち上がった。


「え?」


「誰も結婚しない! 今までどおり! 赤ちゃん産むけどでも、何も変わらない! 変えない! みんなでX是無ハルトの家で住む! これで万事解決だよ! 赤ちゃんが保証を受けられないとしてもX是無ハルトの権力と財力があれば何も心配いらない! 学校に行けなくても家庭教師を雇えばいい! 友達が欲しいならメイドさん達の子供を呼べばいい! 世界が僕達を拒絶するなら僕達は一生閉じこもるだけだよ!」


「……ユイムさん……」


二人はユイムの顔を見上げてもそれ以上は何も言えず、空虚なその願いに賛同するしかなかった。






・闇。イザカムイが議会の廊下を歩く。やがて室内から出て地上と地続きの渡り廊下に出る。


「……これでよろしいか?」


声を放つ。


「……ああ」


声が返ってきた。イザカムイが足を止めて右を見やれば庭石に座る一人の青年。


「権力嫌いで有名な伝説の聖騎士ともあろうお方が小娘共のために権力を使うとは」


「あいつらのためだ。籍を結べないと分かればこれ以上天死が増えることもない。ならばもうあいつらを襲ってやる必要 もなくなるというわけだ」


「ですが調べによりますと既に子供を二人作っておりますが」


「そっちはあんたらの方で対策を練ってあるんだろ? 視力と腕力を封じてるとかで」


「左様」


「なら問題はないだろう。そこまで弱体化した天死なら暴走してもあいつらだけで何とかなる。だが、問題はブランチの野郎だな」


「……ブランチならば我々の施しを覆せるとでも?」


「余裕だろうな。……結局二人に関してはどうしようもない。これ以上増えることだけ避けられた分マシってことか」


剣人が青空を見上げた。


「元々俺の住んでいた時代まで一夫一妻制度だったんだ。この400年が少しおかしかっただけ。それを戻すだけだ」






・夜。X是無ハルト邸。


ユイムの部屋にライラ、ユイム、シュトラの3人が集まって閉じこもっていた。


メイドやティラ達が声を掛け どもめぼしい反応は返ってこなかった。


「どうしようキリエさん」


「……希望を与えることなら簡単ですわ。でも、その希望の先にあるのは地獄ですもの」


「へ?」


「……何か策があるんですか?」


「……私では決めかねますわ。なのでティラさん、ラモンさん、ケーラさん。あなた方で決めてください。このまま廃退的な現状を選ぶのか、希望のために全てを敵に回すのかを」


「……それって……」


「後者に関してはあなた方に話すわけにはいきません。私の首が掛かっている事ですので」


「キリエさんの首……!?」


「……政府議会絡みですか」


「……」


キリエは目を伏せ、3人をリビングに置いて部屋を出た。


残 された3人がメイドもいないリビングで顔を見合わせる。


「どうする? キリエさんが言っていたのって多分かなりやばいことだよね?」


「政府議会に楯突こうって事かも知れない」


「……なるほど。そういう事ですか」


「何か分かったのケーラちゃん」


「憶測ですが……。イザカムイさんの台頭。あれはイレギュラーなものだったのでは?」


「裏金でも使ったってこと?」


「イザカムイさんはラットンさんやミネルヴァ姉様の話では権力に固執する方ではないそうです。もし、ステメラ父様との関係が逆で彼の方が孫で祖父の代わりに大臣を務めることになったと言うのなら分かるのですが」


「……なるほど。そもそもその時点でおかしいんだね」


「ティラ、それさっきから言ってる。……つまりだ。重婚制度を好ましく 思わない誰かの差金でイザカムイが大臣になって法律を改正した可能性があるって?」


「はい。そして、現状それが可能だと思われるのは……」


「……伝説の聖騎士・風行剣人……か」


「……え!? じゃあキリエさんは剣人さんに元に戻すことを言おうとしてるって事!?」


「恐らくそうなります。そしてそうなればキリエさんであれば不正があればそれを暴くことも出来るかもしれません。それを公表すれば再び重婚が可能になる上もしかしたら剣人さんまでをも封じ込めるかもしれません。ですが、失敗すればキリエさんは間違いなく処刑されるでしょう。そうなった場合政府議会からの援助が受けられず、場合によってはX是無ハルトの全資産まで没収されてしまいユイムさんの出した自堕落な案も成り立たなくなるでしょう」


「……どのみちもう元には戻れないって事?」


「……いや、確かライラは戸籍上では男性になったんだよね? だったらライラがユイムかシュトラのどっちかと結婚。そうしなかった方でも別れる必要性はないし、X是無ハルトの権力と財力ならその子供もある程度満足な生活を送れる。今みたいに引きこもる必要はなくなる。……この3つかな」


「……でもそれをあたし達が選んでいいのかな? 選べるのかな……?」


「……」


沈黙。やがて3人は顔を見合わせてリビングを去った。


「ユイムちゃん、ライラくん、シュトラちゃん。いいかな?」


3人がいる部屋の前。ティラがノックをした。


「……なに?」


「話があるんだけど……」


「……いいよ」


力ない返事。受け取った3人は部屋の中に入る。ライラ達3人は部屋の中にいた。


ユイムはベッドの上で横になり、顔も向けていない。


シュトラは椅子に座って机に突っ伏している。ライラは部屋の隅に体育座りで布団をかぶっている。


「……で、なに?」


ユイムがそのままの体勢で改めて言葉を放つ。ティラは尻込み、ラモンは唖然。ケーラは口を開いた。

「キリエさんがあなた方のために政府議会に楯突く考えを示しています」

「……お姉ちゃんが?」


「はい。今回の件、風行剣人さんが関わっている可能性が高いのです。本来イザカムイさんは大臣になるような人ではない、そこをあの人が手を加えてこのようなことにしたと思われます。キリエさんはそこを突いて不正を暴き、此度の決議を覆そうとしているのです」


「……そんなこと、政府議会に対する反逆行為なんじゃ……」


「はい。失敗すれば処刑になると思います。それ以外にもあなた方をそのままの状態で過ごさせる事やどちらか二人が結婚して現状維持をすると言う選択肢もあります。……どうなさいますか?」


「どうって……僕達に出来ることなんて……」

「……分かりました」


声。被さっていた布団を払い除けてライラが立ち上がる。


「僕が行きます。剣人さんの狙いは僕ですから。それに皆さんをこれ以上巻き込ませるわけにはいきません」


「待ちなさいよ」


しかしそれをシュトラが止めた。


「いい? 私達はそれをさせないためにここにいるのよ。ライラくんだけの問題じゃない。……私も行く」


「だ、だったら僕も行くよ!」


「……ユイムさん、ユイムさんはここにいてください」


「ライラくん……!? ど、どうして……」


「僕達二人はまだX是無ハルトじゃありません。だから僕達が先行して何か問題を起こしてもX是無ハルトは無関係でいられる。僕もシュトラさんもユイムさんとキリエさんを守りたいんです」


「……うん。分かった。でも絶対に帰ってきてね?」


「……はい。約束です」




・夜がまた生まれ変わるために茜色とせめぎ合う空。


詰碁か詰将棋のように一手違えば即死へと繋がる戦場の盤上。


「……」


シュトラはライラ達仲間を共にして政府議会へと臨んでいた。夜更けの前方はいつもは法を遵守し、新たな世界を守るための砦であるがしかし今は地獄を司る閻魔の居城にも相応しい。


「シュァァァァァ……」


そしてその居城の門を番えるように地から牙を見せ姿を見せるは地蟲ワームの大群。


「……愛を阻むために愛を誓ったお前の力を借りる事になるとはな。……羽咲はさ


剣人は最奥の夜にて無碍に言葉を捨てる。


眼前に置いた勾玉オーブが戦地の夜を映し出しそれを見やる。

「チャージ!」

「ウォール!!」


ティラがチャージし、ラモンが壁を呼び出して迫り来るワームの突撃を防ぐ。


レンゲル行使サブマリン


レンゲルを出したケーラが側面に打訥を打ち込み突進を逸らし、ワームを背後の大木に突っ込ませる。


「ライラさん、シュトラさん。先へ行ってください」


「ケーラさん……」


「……恩に着るわ」


「後で駅前のマンゴー大福ですよ?」


「……安いものよ、親友!」


シュトラがライラの手を引いてワームの大群が背後にした扉に向かって走る。


阻む為に牙を剥けるワーム。それを嵐のような杖術でなぎ払うケーラ。


そして拓いた道を二人が貫いた。


「んなろぉ ぉぉぉぉっ!!」


シュトラが飛び蹴りで鉄扉を粉砕して突破。政の道を走り抜けていく。


「しゅ、シュトラさん、漢過ぎます……」


「だってライラくんは女の子でしょ!?」


「え?」


「自分らしくでいいのよ、押し付けられた性別なんてこうやって踏みにじってやりなさいよ。私もユイムさんもライラくんが好きなのよ?」


「……シュトラさん」


照明のない暗い廊下を二人は走り抜ける。そしてその最奥だ。


「……来たか」


ステンドグラスが背景の一室に剣を携えて立つ男がいた。


「剣人さん、やっぱりあなたが……」


「……俺も焼きが回ったよな」


「え?」


「老婆心からお前達を助けようとしておいて結局話 はこうなった。慣れないことはするもんじゃないな」


「……」


「一応言っておくがお前達はもうお尋ね者だ。政府議会への反逆罪として全員が処刑になる。……証人であるこの俺を倒さない限りな」


「……剣人さん」


「見せてみろ。お前達が罰せられる値するか、それとも新時代の幕開けを担う存在なのかどうかを!」


剣人が抜刀。それを見てから二人は構える。


「エルブレイド!!」


シュトラが装備。


「ステップ!」


ライラが脚力を強化してそれぞれ剣人に向かっていく。


「剣人さん!! 今までの借りを果たさせていただきますからね!!」


「ならそれをその刃に懸けてみろ。相応しいなら届くかも知れないぞ!」


シュトラが地を蹴って跳躍。空中で独楽のように回転して剣人を肘の刃で狙う。が、剣人はそれを容易く切り払い、着地したばかりのシュトラの向こう脛を鞘で払う。


「剣人さん! もうやめてください! 僕ならここにいます!」


ライラが走り、剣人の正面に立つ。


「それで俺が首を跳ねれば何も面白くはないぞ!」


剣人は立ち上がったばかりのシュトラの頭上に剣を振るう。


「!」


それをライラの蹴上げが止めた。つま先で峰を打って斬撃を横にずらしつつシュトラを背に立つ。が、その肩をシュトラが掴んだ。


「シュトラさん、無茶は……」


「それはこっちのセリフよ! いい!? 私ライラくんが好きなの! なのに私の目の前で何勝手に死のうとしてるのよ! 私は……ユイムさんよりもライラくんが好きになっちゃったんだからぁぁぁぁっ!!」


ライラを後ろに引き、シュトラは剣人に走る。


「……」


シュトラの殴りかかるような斬撃を剣人は全て刃先で受け流して返しの刃でエルブレイドを破壊する。


「エレキ!!」


発動。剣の金属を通して電流が剣人の腕に走る。それにより剣人は一瞬動きを怯ませ、シュトラが飛びかかる。


「恋する乙女なめんなああああ!!」


「よく知ってるよ」


シュトラの右の飛び蹴り。それを首をずらすだけで回避。そして着地したシュトラの軸足の膝に下段前蹴り。


「アトム!!」


「何!?」


剣人の蹴りが命中する寸前にシュトラは硬質化のカードを発 動。鋼鉄以上の硬さに蹴りを見舞った剣人の足が痺れに襲われる。そして宙ぶらりんになったその足をシュトラが掴み、腕ひしぎ十字固めに移行する。


「ぐぐぐ……! 体術か!?」


「あら、剣人さんともあろうお方が円cryン流を知らないのかしら? いい? あなたが昔どれだけ正義してたかは知らないけどこれが現代! パラレルカードの力なんだから!!」


そしてついにそのまま関節を決めて剣人の左足をへし折った。


「ぐっ!!」


反射で剣人が剣を振るい、誰の目にも止まることなくシュトラの顔面が引っぱたかれた。


「シュトラさん!!」


ライラの脇を抜けてシュトラは赤を放ちながら吹っ飛び、背後の壁に叩きつけられた。


「……うう、」


どうやら峰打ちだったらしく鼻が折れただけで済んでいた。しかし頭を打ったからか気絶寸前の状態だった。


「……まさかこの俺が文字通り一本取られるとはな」


声。ライラが正面を見れば剣人は立っていた。手には回復のカード。


「そんな……!」


「知ってるぜ? パラレルでの回復系カードは医療機関しか所持保有を許されていないって。だからそれを考慮した戦いをすることはない。が、今は仇になったな。お前達が戦っているのは平行線パラレルじゃない。悪夢ナイトメアだ」


「……悪夢はいつか覚めるものですよ……!!」


ライラが2枚のカードを出した。


破滅スライト水難シプレック双行使ツインエミッション!!」


2枚のナイトメアカードによってライラはスク水&破滅の鎧姿になって水と銃を携える。


「ナイトメアで俺に勝てるものか! 煌牙キマイラ・サブマリン!!」


発動。すると剣人を黄金の鎧が包みその手に黄金の刃が携われる。背中からは翼も生えた。


「ライランド、お前は世界に災いをもたらすものだ!」


「それでも僕は生きてみせます! 愛した人と一緒に!!」


密室を飛び交う二人。30リットルの水球が放たれればそれを黄金の剣が粉砕し、ライラへの距離を一気に縮めればライラは銃口から破滅を込めた弾丸を散弾にして発射する。が、その銃弾は黄金の鎧に弾かれてしまった。


「え!?」


「このキマイラに単純な攻撃力以外の小細工は通用しない!!」


一閃。それは破滅の拳銃を破壊して爆発でライラを吹っ飛ばす。


「くっ!」


着地したライラは周囲にスライム状の水を無数に生成して一斉に剣人に放った。


「うおおおおおおおおおおおお!!」


黄金の剣が輝くとその光がビームのように走り、迫り来る全てのスライムを一撃で消し飛ばす。


それだけにとどまらずさらに突 き進んではライラを吹っ飛ばした。


「うあああああああ!!」


壁をぶち破ってライラが10メートル以上も吹っ飛んで地に転がる。破滅の鎧である程度軽減されてはいたもののそれでも右腕が折れていた。


「ううう……」


2枚のカードが中断され元の姿に戻ったライラが右腕をかばいながらも何とか立ち上がる。


「ライランド、お前達の負けだ。だが、今まで何度もブランチを倒してきたお前だ。せめてその功績で掴み取った生き地獄の中には置いてやろう」


剣人は1枚のカードを出した。


「これは幽閉エデンのカードだ。これを使えば特定少数の人物を特異空間に幽閉出来る。出すも出さぬも俺次第だ。この中にお前達を幽閉してやる。もう外の世界に 立ち向かう勇気を持つ必要はない。同時に5人までしか封じられないから残りの3人は自由に選ばせてやる」


剣人が言葉を終える。その時だ。


「じゃああんたが幽閉されてなさいよ!!」


そのカードを後ろからシュトラが奪った。


「何!?」


幽閉エデン行使サブマリン!!」


剣人が振り向く。そこに見えたのは赤だった。


「え……?」


シュトラの両腕が破裂していた。肉片や流血が周囲を汚していく。


「ど、どうして……」


「……ブランチが用意したのと違って純粋なナイトメアカードは現代の人間には使用できない。かつての戦争を繰り返さないためにDNAにプログラムされているからだ」


剣人が肉片の中に沈んで いたカードを拾いながら蹲るシュトラを見下ろす。


「シュトラさん……!! くっ、ううううううう!!!」


右腕を庇いながらライラがカードを握る。


テンペスト行使サブマリン!!」


「ぬ、」


暴風雨。それが剣人を襲い、巻き上げて天井に叩きつける。


サンダー行使サブマリン!!」


続いて1000万ボルトの電撃の塊を投げつけ、剣人が感電する。


ステップ行使サブマリン!」


足を強化して落ちてきた剣人に連続で回し蹴りを叩き込んでいき、壁に叩きつける。


グリップ行使サブマリン!!」


強化した握力で剣人から黄金の鎧を剥ぎ取る。


ガイザレス行使サブマリン!!」


そして鷲の爪のような形の魔力を発射して 剣人の無防備に叩き込む。


「ぐっ……!!」


「はあ……はあ……はあ……」


剣人が膝を崩すと同時にライラは手首から流血。脈が爆発寸前だった。


「シュトラさん……」


そして両腕が破裂して大量の流血の中に倒れるシュトラを見やる。


「……ごめんね……もう、届かない……」


「シュトラさん……! シュトラさん! しっかりしてください! まだ僕が剣人さんから回復のカードを奪って……」


「その必要はないな」


声。ライラの背後に剣人が立っていた。ライラが振り向くと同時にカードの輝きが目に入った。


回復ヒール・サブマリン」


カードの魔力がシュトラの両腕を瞬く間に修復し始めた。


「剣人さん……」


「もしだ。お前が生んだ天死が牙を剥いた時は今こうして俺にしてみせたように二人の力で止めてみせろ。いいな?」


「……はい。約束します」


「……なら、もういい」


シュトラの腕が完治するのを確認した剣人は解放トルードしたキマイラの背中に乗って外に飛び去っていった。


「……シュトラさん、」


「ライラくん、」


ステンドグラ スから差し込んだ光の下で二人は静かに唇を重ねた。






・翌日。剣人が提出した書類によりイザカムイの不正問題が発覚してイザカムイはスピード辞職となった上懲役100年の刑に処された。


「……あのクソ聖騎士め」


牢獄の中でイザカムイが呪怨の祝詞を無限に連ねる。


イザカムイの辞職により彼が定めた重婚禁止の法案が撤回されて晴れて重婚が可能な世界となった。


そして半年後。X是無ハルト邸でシュトラはライラと一緒に自分の娘シュトラインド・MY・X是無ハルトを抱いた。


「ライラくん、」


「はい?」


「この子が夢見た未来を光射すラインになってくれたら幸せだよね」


「……はい!」


二人は 笑顔で娘を見やった。

なおこのエンドではあるがあまり正史とは差異がなく、来夢も生まれているしユイムとも結婚している。

ただ、ライラとシュトラがお互いを1番にしただけである。

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