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アサガオ、咲く!

 体育館(たいいくかん)のステージ上(じょう)には、最初(さいしょ)から台(だい)が置(お)かれていた。


 その台(だい)の上(うえ)に、何(なに)かある。


 が、大(おお)きな布(ぬの)で覆(おお)われていた。中身(なかみ)はわからない。


 司会(しかい)の女性(じょせい)がさっと、その布(ぬの)を取(と)った。


 布(ぬの)の下(した)から現(あらわ)れたのは・・・・・・土(つち)の入(はい)った植木鉢(うえきばち)?


 どうも普通(ふつう)の植木鉢(うえきばち)ではないようだ。側面(そくめん)にいくつかのボタンがついている。


 小学生(しょうがくせい)の一人(ひとり)がステージ上(じょう)に呼(よ)ばれた。植木鉢(うえきばち)の赤(あか)いボタンを押(お)す。


 すると、さわやかな音楽(おんがく)が植木鉢(うえきばち)から流(なが)れ始(はじ)めて――


「おーっ!」


 子(こ)どもたちが目(め)を丸(まる)くする。


 植木鉢(うえきばち)の土(つち)から、芽(め)が出(で)てきたのだ。


 それが子葉(ふたば)になり、さらに成長(せいちょう)していく。


 そして、アサガオの花(はな)を咲(さ)かせた。


 体育館(たいいくかん)内(ない)で拍手(はくしゅ)が起(お)こる。


「これは本物(ほんもの)のアサガオではありません。それっぽく見(み)えますが、おもちゃのアサガオです」


と司会(しかい)の女性(じょせい)。


 要(よう)するに、アサガオの成長(せいちょう)を再現(さいげん)したおもちゃだ。


 植木鉢(うえきばち)の側面(そくめん)にあるボタンを押(お)すと、芽(め)から始(はじ)まり、ツルが出(で)て、花(はな)を咲(さ)かせる。一回(いっかい)あたりにかかる時間(じかん)は、およそ七分(ななふん)。スピード化(か)の時代(じだい)に適(てき)している。


 で、花(はな)が咲(さ)いてしばらくすると、土(つち)の上(うえ)に出(で)ていた部分(ぶぶん)は再(ふたた)び、植木鉢(うえきばち)の中(なか)へと収納(しゅうのう)されるのだ。


 そのプログラミングをするのに、非常(ひじょう)に苦労(くろう)していた。


 それを解決(かいけつ)してくれたのが、二子山(ふたごやま)大学(だいがく)の学生(がくせい)たちだ。まさかの強制(きょうせい)停電(ていでん)によって、自分(じぶん)たちのアサガオが全滅(ぜんめつ)。あの大学生(だいがくせい)たちが協力(きょうりょく)してくれたのだ。


「このおもちゃを使(つか)えば、酷暑(こくしょ)は関係(かんけい)ありません! 小学(しょうがく)一年生(いちねんせい)の手(て)に再(ふたた)び、アサガオの観察(かんさつ)日記(にっき)を取(と)り戻(もど)せます!」


 司会(しかい)の女性(じょせい)が力説(りきせつ)する。このおもちゃの耐用(たいよう)実験(じっけん)は、サハラ砂漠(さばく)でも行(おこな)った。暑(あつ)さには強(つよ)い。あと、湿気(しっけ)にも強(つよ)くしてある。


 なお、このおもちゃには他(ほか)の機能(きのう)もあった。


 別(べつ)のボタンを押(お)すことで、


「アサガオ以外(いがい)に、ヒマワリやヘチマも咲(さ)きますよ♪」


 同(おな)じ植木鉢(うえきばち)が十(じゅう)以上(いじょう)、体育館(たいいくかん)の中(なか)に運(はこ)ばれてきた。


 子(こ)どもたちが群(むら)がる。順番(じゅんばん)にボタンを押(お)して、次々(つぎつぎ)とアサガオを、ヒマワリを、ヘチマを咲(さ)かせ始(はじ)めた。


 その様子(ようす)を、ほほえましそうに見(み)る大人(おとな)たち。


 この日(ひ)、小学(しょうがく)一年生(いちねんせい)の手(て)に、アサガオが帰(かえ)ってきた!


ご愛読ありがとうございました。


「『モーニング・グローリー・ザ・ワールド』!」


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