夏の暑さが「Level up!」した(その一)
ちゃっちゃらー♪
女性がスマホで、誰かと話している。
苦悩に満ちた表情。
電話を切る。
スマホをテーブルの上に置いた。
ため息のあとで、女性は名簿を見る。
名簿には「一年一組」とある。
横書きの名前が、ずらりと並んでいた。
どの名前にも横線だ。名前の中央に、太い横線が引いてある。
まだ横線の引かれていない名前は、一つだけ。
しかし、それもここまでだ。
「私のクラスも全滅か」
女性は最後の名前に横線を引く。
今年も連日の酷暑が、日本列島を襲っていた。
四〇度超えは当たり前。
猛威をふるう暑さは、さまざまな方面に被害をもたらしていた。
そんな中、これまでにはなかった問題が、浮上してくる。
この日、テレビやインターネットに、次のニュースが流れた。
『アサガオの観察日記、小学一年生には難しすぎる!?』
文科省の会議室で、会議が行われていた。
参加者たちの表情は険しく、
「アサガオはもともと熱帯の植物で、暑さには強いはずだが・・・・・・」
「しかし、アサガオが全部枯れた、そんな報告が日本中から届いています」
「この暑さで、アサガオを枯らさずに育てるのは、小学一年生には難しすぎるかと」
「早急に何か手を打つ必要があるな」
そして、次のニュースが日本列島を駆け巡る。
『小学一年生、来年度以降はサボテンの観察日記に』
『アサガオの観察日記は、小学三年生の学習範囲に変更』




