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セイロンガー外伝2☆わたしのセイロンさん  作者: 月極典


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30/30

バンスって何だ


 真由美です!


 タコ怪人キューバンさん、顔から生えた足で掴まりながら、電柱の上からヌルヌル、ヌメヌメと降りてきます。あぁ、家の前の電柱がヌルヌルになって、すごく嫌。


「おい、タコ。久しぶりだな、散歩か?」


「んなわけあるか!」


「おっと、少し声が大きいな。さっき見ていたと思うが、うるさくすると怖い鬼が現れてその足を毟り取られるぞ」

 セイロンさん、怖い鬼って。たしかにさっきのお母さんは鬼の形相だったけど……。


「あのなぁセイロンガー、俺はお前を待っていたのだ……」

 あからさまな小声!


「ふむ、俺はお前に用はないが。例の支払いなら先日VVEIからちゃんと66000円の振り込みがあった。もちろん振込手数料は向こう持ちでな」

 

 ご存知ない方に説明すると、タコ怪人キューバンさんは前に毒墨攻撃をセイロンさんに繰り出して着ていたスーツと履いていた革靴を駄目にしたのです。それがオーダーメイドのスーツとイギリスの高級ブランドの革靴で、被害総額が80万でした。優しいセイロンさんはそれを12回の分割払いにしてあげたのです。


「俺様の今月の手取り、いくらかわかるか?」


「知らんが、15万くらいか?」


「2万円だ。怪人専用寮費に加えて、66000円天引きされたからな……」

 怪人さんって寮住まいなんですね。


「怪人のお前の稼ぎが悪いのを俺に嘆かれても困る。お前ら怪人は歩合なのだから自分で頑張って稼ぐしかあるまい? 次の給料日までその2万でなんとかやり繰りしろ」


「2万じゃ携帯代が払えないだろうが! あっ」


 ガラガラ……


 ……。


 ガラガラピシャッ


「鬼が現れずに助かったな、タコ。……おい、応援団、怪人が携帯代をせびってくるぞ。退治してくれ……ん?」


 東京武道大学応援団の皆さんが去っていく後ろ姿が見えました。


「あの応援団の輩を追い払ってくれたら少しバイト代でも払おうかと思ったが、残念だったな」

 セイロンさん、また怪人さんにお小遣いあげようとしてたんだ。


「お前、怪人を使って輩を追い払おうとするなよ」

 ぷぷっ、たしかに……。


「ではそろそろ行こうか、真由美さん」


「ちょっと待て、話は終わってないぞ」


「まったく五月蝿い奴だ。金がないなら会社に言ってバンスでも頼んだらどうだ?」


「バンス? バンスって何だ? おい、セイロンガー。バンスって何なんだーー!」

 あぁ、キューバンさん。そんな大声出したら……。


 ガラガラガラ……


 

⸻

 

*バンス

アドバンス=給料を前借りすることの隠語である。


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