五百旗頭夫妻の駆け引き
『ど正論ヒーロー セイロンガー』のスピンオフ作品。
真由美とセイロンガーの登下校を中心に日常を描きます。
セイロンガー本編はこちらから
ど正論ヒーロー セイロンガー
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おはようございます。真由美です!
今日も元気に学校に行ってきまーす。
玄関を開けるとスーツ姿のお父さんが腕を組んで立っています。
「ハッ、ハッ、フッ、そりゃ!」
バシッバシッ
ドンッドンッ
「いやん」
バッバッバッ
ドンッ
「あーん、また負けたわぁ! 悔しいもう一本!」
まーたやってるよ、お母さん……。
最近、私が外に出てくるまでの間、セイロンさんと『ケンケン相撲』をしているんです。わざわざ首から下だけハニービーのヒーロースーツを着て。
『ケンケン相撲』って知ってますか? 足を揃えて、手だけでやる手押し相撲の片足バージョンです。首から下だけ押すことができて、足が動いたら負けの簡単なルールです。お母さん曰く、バランス感覚と全身の筋肉を使う手軽な稽古だそうですが、はたから見ればただ戯れているようにしか見えません。
それはお父さんだって苦虫を噛み潰したような顔になるよ。
「真佐江ちゃん、真由美が出てきたよ……」
あーあ、お父さん不機嫌だ。可哀想なお父さん。お母さんのこと大好きだからなぁ。
「あら、真由美早いわね。それじゃセイロンさんまた明日勝負しましょう!」
「あ、はい。あの真佐江さん、勝負するのは良いのですが……何というか、言いづらいのですが、胸の辺りを押す度に出る『いやん』とか『あん』などの声、やめて頂けますか?」
セイロンさんには珍しく言い淀んでます。すいません、毎朝変な遊びに付き合わせて。
「あらやだ恥ずかしい、そんな声出てたかしら?」
このお母さんに恥ずかしいって感情あるのかな? 私は無いと思う。
「はい、声が出る度に壽翁さんの顔が歪んでいくのが見えて、朝からいたたまれない気持ちになるのです」
「えっ、もしかして壽翁さん。妬いてるのぉ?」
お父さんに振り向いて言うお母さん、めっちゃにやにやしてる!
「ほら、真由美学校に遅れるよ。早く行きなさい。セイロン君、頼むよ」
お父さん、そう言って家に入ってしまいました。それをお母さんが追いかけて行きます。
「壽翁さん! ねぇ、妬いてるんでしょ? ねぇ、ねぇ!」
全く、朝から何してるんだか、この両親は。
「すいません! セイロンさん。うちのお母さんが面倒かけて……」
「いや、明るくていいお母さんだと思うよ。だが、俺は結婚したことがないからよくわからんが、なんとなくあの夫婦間の駆け引きに利用されている気がするのだ……」
「駆け引き?」
「すまん、今の話は忘れてくれ。行こうか、真由美さん」
うーん、駆け引きかぁ。お互い想い合ってる夫婦でも、そんなのが必要なのかな? 学校に着いたらふっこに聞いてみよっと。
門を出て通りに出ます。今日は変な怪人さんが待ち伏せしてなければ良いけど……。
最初の頃は海産物の怪人さんが多かったけど、この前は虎の怪人さんだった。次は何かな? パンダだったらちょっと可愛いかもしれない……なんて言ったらセイロンさんに怒られちゃうかな?
あれ? 通りの向こうから黒い服の集団が歩いてきます。だけど、いつものイーイーうるさい人達じゃなさそう。
あれは……学ラン!?




