セイロン先生に相談
『ど正論ヒーロー セイロンガー』のスピンオフ作品。
真由美とセイロンガーの登下校を中心に日常を描きます。
セイロンガー本編はこちらから
ど正論ヒーロー セイロンガー
https://ncode.syosetu.com/n6961kj/
真由美です!
今日も元気にセイロンさんと登校しています。今日のセイロンさん、ライトグレーのスーツに黒いネクタイでシックに決めてカッコいいです。パンツの裾の丈が絶妙なんだよなぁ……。黒と焦茶のツートンカラーの革靴も素敵です。コツコツっていう靴音も大人の男性って感じで耳心地がよいです。
「セイロンさん、あの……」
「ん?」
「私が今書いている『パラハイ』なんですけど」
「あぁ、『パラレル大回転ハイスクール〜転校生は軍国主義者!?〜』だな?」
セイロンさんが題名をフルで覚えてくれていて嬉しい。
【第10話 私は文芸部】より引用
『パラレル大回転ハイスクール〜転校生は軍国主義者!?〜』
日本が戦争に負けず、軍国主義になったIF世界から逃げてきた転校生「勲男」と、主人公で金髪ハーフの「マリエ」が繰り広げるジュブナイルSFラブコメです。ライバルの男の子は、鎖国のまま江戸時代が続いた世界から来たちょんまげ武士男子「武蔵」を考えています。登校初日に真剣を差して来るタイプです。
「はい、その新作を書き始めているんですけど……」
どう説明したらいいんだろう。セイロンさん、別に小説を書いているわけでもないし、こんな相談されてもきっと困っちゃうよね。
「上手くキャラクターが動いてくれない。とかかな?」
「えっ、なんでわかるんですか?」
セイロンさんは辺りを警戒して歩きながら、ズバリ私の悩みを言い当ててくれました。
「小説執筆に関しては素人だが、設定を聞いた時に少しキャラクターの個性が渋滞している感じがあったからな。軍国主義の転校生だけでも個性があるが、たしか主人公のヒロインも金髪ハーフだ。現代とのギャップでコメディにするつもりだと思うが、基準となるヒロインが異文化をもつ金髪ハーフではギャップが二重構造になる」
「なるほどぉ、だからギャップを書いてもイマイチ面白味に欠けるのかぁ……」
「うむ、例えば……そうだな。軍国青年が昼食の時間、手を合わせて『父上、母上』と感謝を述べたとする。ハーフのヒロインはそれを見て時代錯誤とは感じず、日本の文化だと思うだろう。また、古新聞に包まれた弁当の中身が、梅干しにたくあん二切れだけの日の丸弁当だったとしても同様だ。弁当のおかずを分けてあげるエピソードを作るにしても、ハーフのヒロインの弁当はおそらくサンドイッチだ」
なんか、セイロンさんからどんどんアイデアが湧き出てきている……。た、楽しい。
「それに、キャラクターに少し出オチ感がある。軍国青年にしても武士の青年にしても、それぞれに事情があって現代へきたはずだろう?」
「そうなんです。次の世界大戦では欧米に敵わないと知った父親が最新技術を現代から盗もうとして、家族と一緒に連れてこられたんです」
廃神社を毎日掃除する勲男が、境内の奥で見つけた秘密のゲート。それが現代社会と繋がっているのです。
「そうか……結構、重い事情があるんだな? ジャンルはシリアスなSFだったかな?」
「いいえ、SFラブコメディです!」
私が、セイロンさんを真っ直ぐ見据えて言うと、少し考えて言ってくれました。
「チャップリンの映画のように、コメディに深く重いテーマを入れ込むことは可能だ。バランス次第で名作になるかもしれない。それに、書くためには平和について学ぶことになるだろう。そして、頑張って設定を深めれば、自然とキャラクターが動き出すのではないかな?」
コメディにならないとか、私には無理って言われるかと思ったけど、違いました。それにしてもセイロンさん、執筆しないのに、どうしてこんなに的確にアドバイスできるんだろう? やっぱり、分析力ってやつなのかな?
「はい、セイロン先生! なんちゃって、えへへ」
「ふっ、少し偉そうだったかな? ただ、金髪ハーフの設定だけは、変えた方がいいと思うぞ」
やっぱり金髪ハーフのマリエ、無理があったかな。よし、黒髪ロングの学級委員長、世話好きの女の子に変えよっと!




