表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灰色のバックソード  作者: Hegira
第六連
74/95

裂火サイクロシザーズ

もうお気づきかと思いますが、この章は特にサブタイトルをふざけています。

 夏休みのまた別の日の次の日。

 ……忙しいな、この日。

「う――らあっ!」

「はっ!」

 あらかじめ言っておくけど、ケンカしているわけではない。

 忘れられそうな設定だけど、僕は朱夏と特訓しているのだ。

 最近は、勝率も段々上がってきていて、相対的には強くなっていることを実感できる。

 かといって朱夏が弱いなんて事はまるでなくて、日増しに苛烈な攻撃が襲ってくるようになった(人型の炎の魔神が三体、とか)。

 対して僕はと言うと、マイナーチェンジ。

 速くなり、小細工が利くぐらいに器用になった。

 器用とは、僕の使える武器の扱いに関してである。

 四季崎記紀じゃないけれど、それっぽく言うならば、対刀(ついとう)・鋏とか剃刀(ていとう)・銜、削刀(さくとう)・鉛とかだろう(全くもって独自性がない)。

 例えば鋏だけど、これが結構面白いことになった。

 あくまで人として普通に、常識的に使おうとしていたからいけなかったのだ。

 凶器が鋏である事件を想像して、その想像に囚われていた。

 普通は刃物で殺傷力を出すためには刺突が一番効くのだけど(よい子は真似しないでネの知識)、僕にはそれが合わなかった。

 僕の性別……もとい、性質を考えれば、それが全力ではないのが明らかだった。


 専売特許は切る事だけだ。


 というわけで、それを最大限発揮しようと思い至ったのが、回転。

 そのときの状況を話そう。

 刃を開き、指を中心にくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくるくると回して……スパンッ。

 適当にブランコの支えになってる鉄棒を叩くつもりだったんだけど、鋏は全く止まらなかった。

 ……普通の市販のやつなんだけど。

「うわ……」

「鉄ってそんなので切れる物なの……?」

 呆然とそれを見ている内に自然に回転が収まる。

 僕はじっと手を見る。

 今のは何だ?

「……まあ、気を取り直して行こうかっ!」

「…………」

 うわぁー、朱夏が疑念をさらけ出してる。

 と思ったら眼前の空間でいきなり炎が猛った。

 ばちっ、と。

「わあああっ!?」

 当然びっくりしたし、わけも分からなかった。

 何だ? 僕が何かしたのか?

 それとも……。

「そんな所で油売ってたら、燃やす」

「この人はいきなり何を言ったんだろう!?」

「決め台詞」

「そんなことは考えなくてもいいから!」

 油売りを燃やすとか、おまえ人じゃねえよ!

 それと、キャラが弱いとかそれを補おうとか考えなくてもいいから!

「油断大敵と対比するといい感じになると思うんだけど」

「そこまで上手くない!」

 いや、そこそこはいけるのかもしれないけど、どのみち中途半端だ。

「じゃあ統那は何か決め台詞があるのかな?」

「やめときな、彼女に近づくと火傷するぜ?」

 キザったく決めた。

「…………」

 黙っちゃった。

 うーむ。やっぱり朱夏とふざけ合うのは限度があるのかな。

「ダメかあ。そうだなあ……あれでいいや。うん決定。はいこの話題終了」

「どれ!?」

「こういうのは本番で言ってこそだって。ほら気にせず特訓再開」

 納得行かない、という態度の朱夏をなんとかスルーし、僕は戦闘に頭を切り替える。

 実はまだ決まっていなかったけど、ごまかしたのだった。

 これが日本人……だと思うなよ!

 汚い大人の階段を上っているような気がしないでもない。

「――〝閃光離火(せんこうはなび)〟」

 どうやら僕の思考の虚を突くのが上手い朱夏サンはさっきと同じく僕の目の前で、何かを発光させた。

 それだけでなく、真っ白な世界の中で炎が顔に襲いかかってきた。

 叫んだらいけないと分かっていながら、僕は口を開いてしまい、そこに熱せられた空気が通る。

「油断しても、燃やす」

 恐い!

 今の状態の僕は喋るどころじゃないのに!

 僕は仰向けにのたうち回りながらなんとか右手を上にかざして、『放水』した。

 逆に言えば、放水ぐらいしか出来なかった。

 ばらばらに崩れ去った、今の状態では。

 とてもまともな機能は果たせない。

 全然、研ぎ澄まされない。

 そのまま軽くバケツ五杯は流しただろうか、その辺で中止して、ようやく、息を吸う。

「……死ぬ!」

「死ねばいいのに」

「ぐっ……生きる!」

「じゃあ生きれば?」

 ……あれ? なんかヒドくない?

「そう思うなら何か反撃してみれば?」

 ほらほら、と手をひらひらさせてみせる朱夏。

 …………。

 なんだろう、こう、血が煮え(たぎ)る感覚は。

 これが怒りっていうものなんだろうか。


****


 諸事情により(主人公がヒロインを傷つけるシーンである、など)カットさせていただきます。


****


「な……何? 今の」

「僕も、分からない……」

 結果的に傷跡は残らないからいいけど、今あったことについて、二人とも理解できていなかった。

「統那が、やったんだよね?」

「そのはず、だけど……」

「でも、今のは」

「あり得ない、だろ」

 燃え上がった。

 それが朱夏の仕業なら、理解できなくはない。

 だけど、さっきのは、どこから見ても、僕の引き起こした現象だった。


下手をすると人の命に関わるので、刃物の扱いは『常識』の範囲に収めて下さい。

まさか言葉・意思が通じない人はおられないと信じていますので、注意喚起はこれぐらいにしておきます。


さあ、次の戦いで久しぶりに勝つことは出来るのか!?


また明日!(無意味なハイテンション)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ