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 そのまま時間が流れてカップが空になった頃、カリスさんが立ち上がって紅茶のおかわりを注いでくれた。


「では、そろそろ獣人についてのお話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」


 俺はおかわりに対するお礼を述べてから快諾し、姿勢を正した。


「それでは始めさせていただきますが、獣人についての全てを説明しますと非常に長くなってしまいます。ですので、ひとまず知っておいていただきたい重要なもののみに絞らせていただきたいのですがよろしいでしょうか?」


「はい、それで大丈夫です。よろしくお願いします」


 俺は軽く頭を下げる。すると、いつの間にか食べ終わっていたククゥちゃんが不思議そうな顔で交互に俺とカリスさんを見ていた。


「ククゥも聞いておきなさい。後々の役に立ちますからね」


 ククゥちゃんが小さく頷くと、それに頷き返したカリスさんがゆっくりと話し出した。


「まず初めに人種ごとの名称について説明いたします。私共のように獣の耳や尻尾といった特徴を持つ者を『獣人』、そうでない者を『並人』と呼称します。また、ジン様のように超常的なお力に目覚められた方々を『アーク』とお呼びしております」


 並人という言葉に未だ違和感を感じるものの、こっちではこれが普通なんだと自分を納得させて話の腰を折らないように気を付ける。


「次に、獣人とは何かを説明いたします。獣人とは先ほども申し上げた通り、ヒトの身体に獣の耳や尻尾などの特徴を持つ者を指します。私やククゥのように耳と尻尾のみの小さな特徴を持つ者から手足などに豊かな体毛を持つといった大きな特徴を持つ者まで様々でございます。基本的にヒトよりも身体能力の面で優れており、獣の特徴を大きく持つ者ほどより優れた身体能力を持つ傾向がございます」


「獣人と普通の、じゃなくて並人だと身体能力にどれくらいの差が出るものなんですか?」


「およそ三十パーセントほどの差があると言われております。ちょうど並人でいうところの男女の身体能力の差くらいの違いがあると考えていたただきますと分かりやすいかと存じます。もちろん個人差がございますので全員がそうとは断言できないのですが、あらゆるスポーツにおいて獣人と並人で完全に分けられてしまうほどには差があるものとお考えください」


「それはすごいですね。海外の、じゃなくてこの国の並人でも歯が立たないなんて、どれくらいすごいのか想像できないですよ」


 個人的にスポーツで活躍する外国人選手となると長身で筋骨隆々というイメージがあるため、そういった人々を圧倒する存在なんて全く想像ができなかった。


 すると、俺の反応にカリスさんは複雑そうな表情を浮かべた。


「ですがこの身体能力の高さが仇となった時期もございました。スポーツで並人と獣人とで分けられる以前では、いくつものスポーツの人気を下火にしてしまい獣人全体が大バッシングを受けてしまったのでございます」


「それはどうしてですか? スポーツならとにかく強い方が人気になるんじゃないんですか?」


 俺の単純な考えにカリスさんは首を横に振る。


「並人同士であればそのような反応になったかと思われます。ですが、どのスポーツでも『獣人の人数が多い方が勝つ』という図式が確立してしまったのが問題となりました。知名度の全くない獣人の選手たちが高い身体能力にものを言わせ、並人のスター選手たちを一方的にねじ伏せてしまったのです。その結果、並人の観客たちが冷めてしまいスポーツ界に大打撃を与えてしまったのでございます。現在この問題は解消されていますが、今なお恨みを持っている方も少なくありません」


「なるほど……そういうことが起きたりもするんですね。ちなみにアークと獣人の身体能力を比べるとどうなるんですか?」


「アークの方々の方が上となります。アークの方々の正確な身体能力を存じておりませんので具体的な数値はお答えできないのですが、単純な力比べでしたら厳しい筋力トレーニングを積んだ獣人であっても勝つのは不可能、というのが定説となっております」


 改めてアークのぶっ壊れ具合を感じた俺は曖昧な言葉を返す。

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