第六話 野外学習の話
「野外実習・・・ですか?」
「ああ、希望する者だけだがな」
教室に入り、こちらも久しぶりなカストル殿下から野外学習について教えてもらった。
「しかし、野外学習を希望しない方は普段通りに授業を受けるのですか?」
「いや、そちらとは別で夜会がある」
「何故、野外学習がある時に夜会があるのですか?」
「野外学習は平民の子ばかりが希望するのだよ。だから残るのは貴族の子息令嬢が殆どだ。まぁ、この夜会も希望者のみだから、どちらも選ばなかった子は臨時の休みになるな」
俺は殿下の説明を聞き、「へぇ」と、呟いた。
「ん?でも、そしたら休みを取る為にどちらも選ばない子がいるんじゃ無いの?」
「いや、それは無い。野外学習を選ぶのは冒険者志望の平民だが、冒険者は実力があれば一攫千金の機会を得やすい。それに、夜会に出て、貴族の子供にうまく取り入れれば将来は安泰だ。それに貴族は横の繋がりや、将来の相手を探す為に出る者が多い。故にどちらにも出ずに休みを選ぶ者は少ない」
「成る程〜」
レイナの疑問にも、カストル殿下はわかりやすく説明してくれた。
「まぁ、私は野外学習を選ぶけどね!」
「・・・レイナは相変わらずだな」
レイナの言葉にカストル殿下は額を抑え、溜息を吐いた。
「エリシアは?」
「私も夜会は苦手なので、野外学習を選択しようと思います」
「・・・なら、夜会は私だけか」
俺とレイナの言葉を聞いたカストル殿下は寂しげにそう呟いた。・・・何だろう、少しだけ罪悪感が・・・。
「カストル殿下も野外学習を選べばいいのに」
「いや。実は今回の夜会に出ろと祖父に言われていてな」
「祖父?」
「ああ、現アストリア王国国王ウィルフレッド・フォン・アストリアが私の祖父だ」
「それでは、カストル殿下のお父君はアルフレイド様なのですか?」
「ん?そうだが?・・・私と父上の関係を何だと思っていたのだ?」
「えーっと・・・。年の離れた兄弟かと・・・」
「まぁ、確かに私には年の離れた兄がいるが・・・。それでも三つ程の差でしか無いぞ?」
「後、双子の弟もいるよねー」
「へぇ、そうなんですか?」
「まぁ、双子と言っても余り似てはいないがな」
俺はカストル殿下達と授業が始まるまで話し、笑い合うのだった。
因みに、リーナシアは少し遅れて登校しました。




