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魔法少女の奉仕活動  作者: シイバ
魔法少女の奉仕活動二
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魔法少女と企画

 この街の中央公園に着いた時、俺はある事態を想定していなかったことに戦慄していた。


「やべえ……ここに鈴白さんいなかったら、どこ行きゃいいんだ?」


 俺があの子と会ったことのある場所はここしかない。だからここに行けば会えるのだと勝手に思い込んでいた節がある。

 だが、もし真神店長のマジカルシェイクの移動販売車がなかったら? そもそも車があっても彼女がお店にいなかったら? どこに行けば鈴白さんに会えるというのだ?

 俺は頭を抱えながら、真神さんがいつもお店を開いている公園の広場に歩を進めた。

 広場を見るのが怖い。そこに車がなかったら、俺は途方に暮れてしまう。その時は音無先輩か四之宮先輩に連絡して、鈴白さんに連絡を取ってもらうべきか? でも意気揚々と飛び出した手前、それはかっこ悪い。やるとしても最後の手段だ。


「頼みますよ……いてくださいよっと……」


 祈るような思いで公園の広場に着くと、俺の表情はパッと明るくなった。

 そこにはスイーツショップマジカルシェイクの移動販売車があった。開店時間はまだだが車の前には数席の丸テーブルが広げられている。その内の一つに俺が探し求めていた少女が、そして別のテーブルには青い髪のポニーテールの女性が座っている。

 ここにいてくれて良かった。駆け足になりその少女……鈴白音央の元へと近づいたが、


「あの……鈴白さん?」


 近づくにつれてその場のどんよりとした空気に足は遅くなり、恐る恐るといった風に呼びかけた。


「あ……お兄さん。こんにちわ」


 顔を上げて笑いかけてくれる女の子。テーブルには勉強道具が広げてあるがまったく手についていないようである。


「こんにちは。……なんか、元気ない?」


 俺が声を掛ける直前まで、肩を落として落ち込んでいる様子が見て取れた。挨拶してくれた声にも張りがなかったし、笑顔にも元気がなかった。


「あ……うん。ちょっと……えへへ」


 ちょっと、何があったのだろう。制服姿だし中学校に行っていたのか、そこで元気のなくなることがあったのか。気になってしまうが笑って誤魔化そうとしている。


「今日はどうしたんですか? 店長にご用ですか?」


 尋ねられ、まずは自分の用件を彼女に伝えておこうと思った。思ったのだが、彼女が隣のテーブルにいる真神さんの方を見たので俺の視線も釣られた。


「……真神さん、どうかしたの?」


 なるべく見ないようにしたかったのだが、見てしまったからにはそう聞かざるを得ない。

 店前の空気が沈んでいたのは鈴白さんが落ち込んでいたのもあるが、それ以上にこの真神さんが原因だ。

 完全に机に突っ伏して脱力している。その様子のせいで近寄りがたかったのだ。


「えっと……さっき小声で飲み過ぎちゃったって言ってました」


 ああ……俺は小さく漏らした。つまりは二日酔いってことか。かなり気分が優れていないようだ。俺はまだアルコールを飲めないから理解できないが、きっと頭がガンガンしてるだろう。


「真神さん……? こんにちは」


 俺はそっと声を掛けた。かなり遅れて、ゆっくりとした動作で店長の首が微かに動き、俺に視線を向けてきた。その顔色は良くない。


「ああ……こんちわ」

「大丈夫っすか?」

「……んん。今朝より大分マシになったよ」


 そう言って体を起こすが、表情は辛そうだ。


「お店、休んだ方が良かったんじゃないですか?」

「勘弁してよ。店長が二日酔いで休みだなんて示しがつかないでしょ」


 笑って立ち上がり、ちょっと水飲んでくると言い残して移動販売車の中へと姿を消していった。

 真神さんも鈴白さんも、万全じゃなさそうなのに笑ってくれる。それが長年魔法少女をやっている人の強さなのかな、などと考えてみたりする。


「ってそうそう。用があるのは店長じゃなくって、鈴白さんになんだ」


 鈴白さんに向き直ると、首を傾げる彼女の隣に腰を下ろし、足元に鞄を置いた。


「わたしにですか?」

「うんうん」


 一体どんな用があるんだろうと疑問に思っているはずだ。訝しむ彼女に、俺はニコニコしながら話しかけた。


「五月五日なんだけどさ。鈴白さんは予定ある?」

「五日ですか? ううん、お休みですけど……なんなんですぅ?」


 イェス! 俺は拳を握りしめた。その様子を見て一層鈴白さんが怪しんでくる。ここは早く用件を伝えないと不審者扱いされてしまいそうだ。


「五日って音無先輩の誕生日だろ? だから、四之宮先輩と一緒にお祝いしようかと思ってるんだけど。鈴白さんが良ければ参加しないかなって、誘いに来たんだけど」


 鈴白さんに話しかけるけど、彼女からの反応が返ってこない。俺の顔を見つめたまま固まっているように微動だにしない。


「…………暇、じゃない? 都合悪かった? あの、鈴白さん……?」


 一体どうしたのか、そう思っていると見る見るうちに彼女の表情が変わっていく。ぱぁっと輝き出すっていうのは、こういうのを言うんだろうと思うくらい目を煌めかせて口を開いている。と、勢い良く腕の裾を掴まれた。


「い、行きます! 絶対行きます! 行きたいです!」


 ゆさゆさゆさ。彼女の小さな手が俺の腕を小刻みに揺すってくる。興奮を抑えられないといった雰囲気に気圧されそうになるけど、想像以上の喜びように俺も嬉しくなってきた。


「そ、そう! 参加してくれる!?」

「はい!」


 先程までの元気の無さが嘘のように明るく振る舞ってくれる。それでこそ誘った甲斐があるというものだ。両手の平を鈴白さんへと向けると、少し間があったものの、


「ハーイ!」


 手の平を合わせてくれた。景気のいい音が二人の間に響き渡る。俺に対する不審感はすっかり拭ってもらえたらしい。


「あの! 去年はお祝いできなかったから、今年もできないかと思ってたんですけど……ありがとうございます!」

「いやいや、お礼を言われるのはまだ早いって。取り敢えずお祝いしたいって考えたけど、まだどこでやるかとか、何をプレゼントするかとか、どういうパーティにするかとか……全然……考えてねえ……」


 頭を抱えたくなった。見切り発車で走りだした誕生日パーティ計画列車の車内は乗客ゼロのスッカスカ。プランも何もあったものじゃない。乗っているのは俺と鈴白さん、四之宮先輩と音無先輩の四人だけ。内装すら決まってない突貫工事で出来上がった新幹線。到着猶予は二日しかない。乗車率二〇〇%超えのゴールデンウィーク帰省ラッシュの新幹線が羨ましくなってきた。


「これから色々考えていくんですか?」

「まあ……そうなるね」

「だったら!」


 これからのことを考えてどんよりする俺に、鈴白さんが明るい顔を向けてくる。なんでそんなに明るいんですか。


「ここでやりましょう!」


 名案です! そう自信を溢れさせて鈴白さんが両手を広げた。


「ここって……この、公園?」

「はい! あの、お店を借りて!」


 そういえば、先輩たちが言っていたことを思い出す。以前はこの移動販売車で色んなパーティやイベントをしていたそうだ。そういう提案が浮かぶのは当然か。


「前はよくみんなで集まって色々やってたんですよ! 最近は、忙しいみたいで、あんまり集まったりしてないですけど……」

「うん……そっか」


 だから集まる口実が欲しいのかもしれない。その気持も理解できる。


「みんなであやめさんの誕生日をお祝い、したいです!」

「そうだね」


 大勢で先輩の誕生日をお祝いする光景を夢想する。それはとてもほのぼのとする素敵な光景だ。

 けど鈴白さんの言うみんなの中に、俺の知らない彼女の友達が含まれていたら大変だな。面識のない相手がほとんどになるはずだし、俺だけ萎縮してしまいそうだ。そうなると楽しめるか心配になってくる。


「折角楽しい企画をプレゼンしてるところ悪いんだけど、その日はここ貸せないんだよねぇ」


 俺の想像を打ち切ったのは、コップを片手に車から出てきた真神さんの言葉だった。水を飲んだおかげか、顔色は良くなっている。


「正確には私に予定があって、その日はお店出さないから貸せる場所がないんだよ」

「あらら。そうなんですね」

「かざりさん……あやめさんの誕生日なのに、他の用事ですか?」

「そうなんだよねぇ……ほんっとにごめんね!」


 非難する、とまではいかないが不服そうな鈴白さん。こんな彼女を見るのは初めてかもしれない。


「まあまあ。真神さんも都合があるだろうし……俺の持ってきた話の方がよっぽど突発的だから、仕方ないって」

「うん……」

「でもさ、アヤメちゃんの誕生日に何かするってんなら私も協力させてもらうよ!」

「何か……ですか」


 フッフッフ。その不敵な笑いには、調子の優れなかったあの姿は微塵も感じさせないものだった。滅茶苦茶元気になってる気がする。


「私はスイーツショップの店長だよ?」

「はい、知ってます」

「……」

「……知ってますけど? いや、なんですかその期待外れって表情は!?」


 すごくガッカリされた表情で嘆息された。だから何なのですかって。


「相沢くんって賢いし気も効くけど、抜けてるよね」

「いやいやいや!? どういう意味か説明してくださいよ!」

「だから、私はスイーツショップの店長だから、お誕生日に必要不可欠なモノを提供してあげようって言ってるの」

「言ってないですって!」

「分かりました! ケーキですね!」


 俺と真神店長の間に割って入った鈴白さんの答えに、真神さんはいい表情を浮かべた。


「正解! イェーイ!」

「いぇーい!」


 二人が手を合わせてハイタッチした。俺と鈴白さんのやっていたことなのに、取られてしまった。奪われてしまったようで少し悲しいです。


「つまり、明後日の誕生日にケーキを用意してくれるってことですよね?」


 俺は確認するために訊ねた。店長は俺がこの答えをさっさと出すことを期待していたみたいだが、そういうのは回りくどいことなく率直に言ってもらったほうが助かりますよ。


「半分正解」

「半分ですか!?」


 半分外れてしまった。もう僕には最初になんて言っていたら良かったのか分かりません。


「確かにケーキを用意するんだけど、それをするのは君たち二人なのだよ、分かったかな?」

「二人って……」

「……わたしと、お兄さん?」

「大正解」


 俺と鈴白さんは顔を見合わせ、二人揃って立ち上がり真神さんに詰め寄っていた。


「無理無理! 俺ケーキ作ったことなんてないですよ!」

「わた、わたしも! お店のお手伝いはいっぱいしましたけど、作ったことなんて……」

「平気平気。材料は用意してあげるし、ちょちょいっと作り方覚えれば誰だって普通に作れるようになるから」

「そうは言いますけど」


 狼狽する俺たちに対して気軽に言ってくれる。お店で売ってあるケーキを買う方が断然楽で美味しいはずだろうに。


「それに二人の手作りって方が、アヤメちゃんも喜んでくれるはずだよ」

「それは……一理ありますけど」

「美味しくできるか心配です……」

「大丈夫だって。明日、私のお店の優秀なスタッフに手伝わせてあげるから。二人はその人の言うこと聞いて、心を込めて作るだけでいいんだから」


 お手伝いしてくれる人をつけてくれると言われ、多少気が軽くなった。


「それなら、まあ」


 作ってもいいかな、という気になってくる。改めて鈴白さんの顔を見ると、彼女も同じような考えを抱いているようだ。不安そうな目をしているが、それは俺も同じだ。


「じゃあ決まり?」


 真神さんの問いかけに、俺と鈴白さんは自信なさげにゆっくりと頷いた。表情が晴れているのは店長だけだ。


「それじゃあちょっと明日の予定考えて本店に連絡つけるから! しばらく座って待っててね!」


 再び店長が車の中へ姿を消していく。明日もお店を開けているはずなのに、わざわざ俺と鈴白さんのために時間を取ってくれるのだろう。ありがたいことだが、手作りケーキなんてプランにしなければその手間もなかったのだ。

 どっと疲れを感じて椅子に腰掛けると、鈴白さんも同じように席についた。


「なんか……ごめんね。面倒なことになったみたいだ」

「ううん、そんなことないです。あやめさんに喜んでほしいですし……ケーキ作りだって、大変だけどお兄さんと一緒ならきっと楽しいです!」


 誕生日パーティを切っ掛けにケーキ作りに巻き込んだというのに、彼女は笑ってそう言ってくれる。何て優しい子なんだ。その気遣いにお兄さんは心がほんわかしてしまうよ。


「ありがとう。明日は頑張ろうね」

「はい!」


 こうしてケーキ準備の同士となり、少し絆が深まった気がする。あとは明日の何時からお店で指導してもらえるのかによって、誕生日前日の予定を構築しなければならない。

 だが、ここで一つ決まっていないことがある事実に思い至り、頭を抱えた。


「でもそっか……明後日はここを会場に使えないんだったよね」

「わぁ……そうでしたね。じゃあ、あやめさんのおうちでやるんですか?」

「そうなるかな。あとは、学校の部室も使っていいとは言っていたけど」


 部室を出てくる直前、四之宮先輩はそう言ってくれた。ボランティア倶楽部として集まれる場所はその二つくらいしかない。


「あ、あの」


 加えて鈴白さんも来てくれるとなると、高校には来にくいだろう。だったら、一番相応しい場所は音無先輩の自宅ということになるか。


「やっぱそこがいいかなぁ」

「あの……」

「先輩の家ならリビングも広いし、ご家族もいないし、集まりやすいもんね」

「うぅ……」

「鈴白さん、高校には来づらいよね? 先輩の自宅ってことで、二人にも連絡入れて」

「わたし!」


 突然、隣で少女が声を上げたことに驚いて言葉を切ってしまった。彼女を興奮させてしまう何かを口にしていただろうか。


「わたし、あやめちゃんたちの高校に行ってみたいです!」

「……あ? それって、部室で誕生日会をしたいってこと?」

「は、はい!」


 その提案に若干面食らっていた。人見知りで恥ずかしがり屋、そんな少女が休日とはいえ、年上の高校生がいる高校に踏み入ってみたいと言うなんて思ってなかった。


「君がいいんならそれでもいいけど……本当に?」


 と、念を押して確認する。


「はい! あの、二人が毎日通ってる場所、行ってみたい、です」


 少し緊張しているようだが、それでも行ってみたいと言葉にされた。

 中学生だから、一つ上の存在である高校生が通う場所が気になるのかもしれない。見聞を広める意味でも、彼女が高校を中から見ることはタメになるだろう。


「いいよ。先輩たちにも部室でやることに決めましたって連絡するね」

「ありがとうございます!」


 お礼まで言うなんて大袈裟だなあと思いつつ、スマートフォンを取り出すと四之宮先輩に連絡を取った。会の主役に直接会の詳細を連絡することは憚られる。だから連絡するのは四之宮先輩にした方がいいと考えたからだ。


『分かったわ。何時から始めるか、とかはまだ決めていないの?』

「そこまではまだ……すいません」

『いいのよ。ゆっくりしっかり、練ってくれれば』

「はい。ああ、それで、明日なんですけど……部室、入っても大丈夫ですか?」

『いいけれど。何か忘れ物?』

「そういうんじゃないです。誕生日会の飾り付けとか、なんとか……まあ、いろいろ」

『オッケー。詳細は聞かないわ。鍵は職員室に返しておくから。終わったらちゃんと戻しておいてね』

「了解です!」


 これで会場の確保はできた。電話を切ると、一息つきたくなるが落ち着いている暇はない。


「次は会場の飾り付けか……時間がないから凝ったのは無理だけど、ちょっとは洒落っ気を出さなきゃ締まらないよな」

「輪っか! 輪っか作りましょう!」

「紙で作った輪を繋げたやつ?」

「うん!」

「パーティの定番っていえば定番の飾りだね。それ作っとくよ」

「わたしもお手伝いします!」

「それは助かる……けどさ。明日材料買って、学校行って作るつもりなんだけど。それに明日はケーキ作りもあるし、多分丸一日潰れちゃうと思うよ?」

「大丈夫です。あんまりお役に立てないかもしれないですけど……二人でやったほうが、きっと早く終わります」


 明日の休日も付き合ってくれるだなんて。本当に健気で優しくていい子だ。妹にするなら鈴白さんみたいな子がいい。


「じゃあ明日も、よろしく」

「はい!」

「あとは黒板にメッセージ書いたりするくらい、かな。ああ、プレゼント用意しないとまずいよね」

「お誕生日プレゼント、大切です」

「先輩の好きなモノとか、欲しがってるモノとか……心当たりない?」

「むぅ……最近、お会いしてませんでしたから……」


 二人して、頭を捻る。これは大きな難問にぶち当たってしまった。きっと先輩なら、心を込めて用意したものなら大概のものは喜んで受け取ってくれるに違いない。けどそれに甘えて何も考えずに買ったものを手渡すわけにもいくまい。ここはしっかりと考えて答えを出さなければ。


「お待たせ。明日の時間だけど」


 二人してウンウン唸っていたところに真神さんがやってきた。片手には携帯電話を持っている。連絡を済ませたのだろうか。


「ちっと早いかもしれないけど、朝の八時に商店街の本店に来てくれる?」

「はい。けど、俺お店の場所知らなくって……」

「それじゃ、一緒に行きましょう」


 助け舟を出してくれたのは鈴白さんだ。それは願ったり叶ったりだ。


「ありがとう、助かるよ。待ち合わせ場所は……あとで決めよう」


 頷く彼女と共に、再び真神さんの話に耳を立てた。


「午前中にレクチャーつけて、そのまま本番のケーキ作ってもらって、それをうちで五日まで預かっておくから。本当なら作り立てが一番なんだけど、当日の朝じゃあ二人も落ち着かないだろうし、明日の夜中にお店に拘束するわけにもいかないからね。明日の朝で勘弁してもらえる?」

「全然問題無いですよ。ねえ?」

「はい、早起きして行きます」


 誕生日会についての骨子が少しずつではあるが出来上がるに連れ、俺と彼女のやる気も徐々に増している。さっきまで渋々といった様子でケーキ作りに賛同した俺たちがハキハキしているのを受けてか、真神さんも満足そうに頷いた。


「じゃあ明日はそういうことでお願いするとして、だ。今から開店するけど、お店手伝う?」

「俺はもうちょっと準備とか調達するものとか考えなきゃいけないから、申し訳ないですけど」


 それにお店の手伝いなんてやったことありませんし、足を引っ張るだけなのは目に見えてます。理由をつけて辞退した。


「わたしも……今日は誕生日会のお手伝い、してたいです」

「はいよ。そんじゃあその席使ってくれていいから、素敵な誕生日会にしてあげてね」

「いいんですか? 邪魔になるようなら、余所に行きますよ」

「遠慮しなさんなって。誕生日会に行けない私がしてあげれることなんてそれくらいしかないんだから、私にも手伝わせてよ」


 俺と鈴白さんは顔を見合わせ、店長の心遣いに多大な感謝の念を抱き、それを御礼の言葉で表すのだった。


「「ありがとうございます!」」

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