第7話:認めてないのに襲われるんだが?
だが、認めん。
俺はまだ、認めていない。
あれはスライムではない。
ただの……ヌメヌメした何かだ。
そう。
そういうことにしておこう。
──ぴちょ。
……え?
顔に、冷たいものが当たった。
ゆっくり視線を上げる。
──いた。
目の前に、ヌメヌメした球体。
それがなんか、にょんてしてる。
「ですよねーーー!!」
「……来るぞ」
言うの遅いわ!!
俺は、慌ててスライムと距離を取った。
いや、気持ち悪い!
さっきの感触が、まだ頬に残ってる。
「うう……くそ」
たぶん、ほぼダメージはない。
でもこれ、精神的にまぁまぁ来た。
「……相手をしっかり見ろ」
ひゃい。
相手はスライム。
目も何も無い。
動きの予測が……分からん。
──ぴちょ。
地面を跳ねるように、スライムが近づいてくる。
「っ、来た!」
慌ててナイフを構える。
でも──
どこを斬ればいい?
「……こういう時は、そうだ…」
ハンティングゲームの要領だ…!
ナイフを構えて待つ。
スライムが触手を伸ばしてきたタイミングで──
斬る!!
ザクッ
手のひらに伝わる感触。
切れたスライムの一部が、ぼとりと落ちた。
「……うぉ、やった……」
切れた。
ちゃんと、当たった。
俺、今……戦えてる。
「……核を狙え」
「……ひゃい」
うん、まだ全然生きてるもんね。
でもさー
初ダメ喰らわせたんだから、もうちょっと余韻に浸りたかっ──
「うわ……!」
また油断してた俺に、スライムがまた触手を伸ばしてきた。
慌ててナイフでガードする。
あの気持ち悪い感触を、味わいたくなかった。
「……核……!」
避けながら目を凝らす。
核っていうだけあって、体の中心に丸い塊があった。
「ナイフで届くのか……!?」
やってみるしかないか……!
いや、違う。
やるしかない。
ここで逃げたら、きっと──
次も、同じことを繰り返す。
「……っ!」
地面を蹴る。
スライムの触手をかいくぐり、一気に距離を詰めた。
「これでも喰らえ……!」
核に向かって、まっすぐナイフを突き出す。
──ぐにゃ。
「うわ、柔らかっ!?」
手応えが、妙に気持ち悪い。
「……そのまま押し切れ」
背後からレオンの声。
無茶言うな!?
「……でも、やるしかない……!」
俺は覚悟を決めると、そのままさらに押し込んだ。
ずぷり
俺の手首までスライムの中に埋まる。
それでやっと、核にたどり着いた。
「……これが、核……!」
硬い。
さっきまでとは違う、確かな手応え。
「……いける!」
俺は、そのままナイフを押し込んだ。
──パキッ
何かが砕ける音。
次の瞬間、スライムの動きが止まる。
そのまま、ぺしゃりと崩れ落ちた。
「……はぁ……はぁ……」
……勝った。
初めて、自分の力で。
「とったどーーー!!」
「……よくやった」
レオンの声が静かに響く。
俺はその場に座り込んだ。
……手、まだスライムの中なんだけど。
──次は、剣買おうかな。
続く




