第10話:聖女の魔力は万華鏡
さて…この時期に東方列島に行くには空を行くしかない。海は海竜の繁殖期が始まって出港禁止だからね。
「聖女の魔力は万華鏡、姿をとどめず、姿を変えず、時は揺蕩い止めず流れ」
「白のイェッタは赤く染まり、赤のオーハイネは黒きに流れ、黒のエストは白く輝く」
「白は聖女、赤は精霊、黒は魔導師、三位一体で守り守られる」
これがポンシューハさんの残した言葉で、聖女様を助けるのが依頼と言われたけど…手がかりが意味不明だよねぇ?
そもそも何をするのかさえ聞いていないし。あの人の悪い癖だよねぇ…裏で仕込みをして操るのがデフォールトっていったい何者なんでしょう?
手持ちのお金と、時間を考慮した結果快適な飛空船は使えずトンボフェリーでの移動になりそう。真夏に防寒着を売っている店がどこにあるんだろう?トンボフェリーでレンタルしているのかな?
トンボがつかんだ籠に乗って飛行するから風がきついはずだよね。おトイレも上が丸明きの囲いがあるだけで女性には不人気な構造だしね。立っている人から中が丸見えになる。
座ってもへその上あたりから上は剥き出しだし。女性が利用しないことで有名になるわけだ。
無事、東方列島に到着したけど…会いに行くべき人がどこにいるんだろう?そもそも僕は何をすればいいのかな?
簡単に教えてもらえた、町はずれの神殿に聖女と精霊師と魔導師が住んでいるんだって。今からだと夜になるから宿に泊まろう。
朝ごはんの後で、さっそく神殿に向かう。神殿では聖女っぽい白衣の女性と魔導師っぽい黒衣の女性、そして真っ赤な服を着た女性がいた。
「聖女に用があるなら聖女と思うものに声をかけよ」
もちろん白衣!って言うのが罠なんだな。ポンシューハさんの言葉が真実なら白の聖女は赤く染まっている。つまり赤き衣をまとってる女性が聖女のイェッタさん!