36話
それから数週間、ついに連休が取れた!!!
これからプリム領へ出発するところだ・・といっても、移動ポータルを借りてきたからな。
移動ポータル・・王宮で申請すれば借りられるが、値段がそこそこするため、もっぱら裕福な貴族か商人くらいしか借りることはない。
王都からプリム領までは普通に馬車移動すると何日もかかってしまう・・連休といえど4日だ。
1秒たりとも無駄にはしないため・・普段からそこまで出費がないため、お金なら腐るほど余っているんだ・・
よし、荷物も持ったし行くぞ~
・・・・
1分で到着。
その1分すらも・・いや、言うまい。
領の入り口近くで馬を借りて、領主館への行き方を聞いておく。
田舎の領地にしては、道もしっかりレンガが敷かれていて歩きやすいし、区画整理もしっかりされている。
王都と違うのは、街の広さ、人口、店の数、建物の高さ くらいではないだろうか??
むしろ、老齢の人々や子供たちはこちらのほうが住みやすいだろうと感じる。
空気も澄んでいるし、街の外は果樹園や農園も割と近いから収穫後の対応も楽そうだ。
建物も高くないから、圧迫感がなくて空がとても広い。
住居や店舗も、まるでメルヘンのような可愛らしくて落ち着いた外観ばかりだ。
いいなぁ・・
俺の大好きな要素が集まってるってどういうことだ・・
初めて来たのが今日で良かったな・・
もっと前に来ていたら、騎士団やめてたかも。
いまは王都のマイホームを自分の好きなように作り変えたからな。
ゆっくり見ている場合じゃないので、ある程度見てそのまま領主館へ真っすぐ馬を走らせた。
10分ほど走っていると、ひと際メルヘン感が強い大き目の建物が見えてきた。
庭も花々が咲き乱れ・・てないな。
まるで森。
屋敷の塀は低めのレンガに上部分は木で出来た白い柵が建てられたもので囲われている。
守りは大丈夫か??と思ったが、良く見ているとわかるが・・
その塀と柵の向こう側は森なんだよな・・
人が迷いそうだな・・と思った。
さて・・屋敷の入り口門はどこなんだ。
パカパカと馬をゆっくり歩かせて探していると、やっと騎士らしき人が立っているのを見つけた。
ここかな?っと、思いながら馬から降りる。
「すみません、プリム子爵家でよろしかったですか?」
チラリと俺へ視線をよこしてくる。
「はい、プリム家はこちらです。失礼ですがどちら様でしょうか?うかかがっても?」
割と丁寧で安心した。
「えぇ、私は王都のリドール伯爵家から参りました、エリッシュ・リドールと申します。
プリム子爵様へお目通り願いたいのですが、ご在宅でしょうか?」
「いらっしゃると思います。確認して参りますので、申し訳ありませんが少々お待ちしいただいても?」
「もちろんです。よろしくお願いします。」
では。 と言い屋敷側へ駆けていった。
待っている間暇だったので、馬の手入れをすることにする。
ん~なかなか良い毛並みだなぁ・・色も綺麗な栗色だ。
性格もすごく穏やかなんだよなぁ。
領地の雰囲気も関係してるのかな??
騎士団の馬は荒くれてるのが多いんだよなぁ・・と借りた馬の手入れをしながら色々と考えていると・・
「エリくーーーーん!!おーーーーーい!」
凄い勢いで走ってきた・・義父と執事のミッチェルさん。
息も絶え絶えに・・
「はーーーはーーーーっ!!ごめんよ~門兵にまで話が行ってなくて・・申し訳ないっ」
「お義父様、落ち着いて下さい。はい、息を吸って~~吐いて~~~・・」
ちょっと落ち着いたかな??
「旦那様、ささ水をどうぞ」
「あ?あぁ・・ありがとう・・ふぅ~~」
「大丈夫ですか??」
「う”・・なんとかな(苦笑)ちょっと休めば収まるさ。」
「ふふっご無事で良かったです(ニコ)貴方に何かあったら、リリが悲しみますからね?くれぐれもお気をつけてください。」
「ははは!そうだな! いや、ほんとにすまない。使用人たちには今日来ることを伝えていたんだが・・」
「いえいえ、大丈夫ですからね。お気になさらず、お義父様もそちらの騎士さんたちもね。」
「申し訳ありませんでした。ご無礼をお許しください・・」
「もちろん、許すよ! でも、今後も来るからしっかり覚えて欲しいな♪よろしくね?」
「はっ!!今後はこのようなことが無いようにプリム領騎士一同に徹底致します。」
姿勢を正して、深々と謝罪をされた。
「ありがとう!俺も王都では騎士団にいるからね、騎士の大変さはわかってるつもりだよ~」
同志だよ、と伝えたかったのだ。
「なるほど・・あの、よろしければお時間のある時に手合わせや訓練を見ていただくことは出来ませんか?」
「うーん、お義父様いかがでしょうか?」
「ほぉ・・エリくんが負担にならないのならいいと思うが・・ベルとの時間も減るのではないか?」
「リリにも、騎士の時の俺を見てもらいたいのです。」
「そうか、そういう手もあるな。 いや、いい考えだと思う。」
「ってことで、お許しが出たので是非声をかけさせてもらうね! 」
「「ありがとうございます!!」」
黙って聞いていた片方の騎士も、目を輝かせていた。
滞在中は退屈するような暇はなさそうだな(苦笑)
大好きな愛らしい地に来られて、心躍る。
だけど、それ以上に愛しい人に会いたいと心が逸る。
リリまであと何歩・・
エリッシュ初のプリム領。
可愛いんですよ・・メルヘンですよ。
女子が一度は憧れる世界。
次回はリリとの再会。




