25話
一方、タウンハウスへ帰宅したリリベル。
ケイに付き添われて、家族の元へ連れられた時には沈んでいて、何があったんだ!?と家族、姉の婚約者たちまでも彼女を心配して問い詰めていた。
幸い、奥様が皆を制止して代表してケイから事の顛末を聞き、まぁ怒り心頭でしたが。
その後奥様が付き添い、リリベルお嬢様とお帰りになられた。
帰宅後は、お嬢様のことを考えて奥様は早く寝るように伝えていた。
「今日はゆっくり休んで、明日またお話しましょう、大丈夫よ、ベル、大丈夫。」とまるで幼子を慰めるようにお嬢様を抱きしめておられました。
その場にいた使用人たちも何かあったことは察しているが、いまは聞いてはいけないといつも通りに振る舞っていた。
さすがだ・・
・・大丈夫ですよ、きっとあの方が・・過剰な期待はしてはいけないとわかっている。
でも、この状態のお嬢様をどうにかできるのはあの方以外には居ないと思う。
エリッシュ殿・・
王都に来てから数日なのに、ケイの中ではエリッシュという男を信用しきってしまっている。
根拠がないわけではない。
何よりあの方が、お嬢様へ向ける気持ちは本物だ。
見てればわかる。
いまはもうそんな気持ちはないが、昔が私にもそんな気持ちがあったからわかる・・あの目が。
だからこそ、信用している。
「今日は早いけど、寝るわね」
「はい、お嬢様ごゆっくりお休みください。また明日」
「えぇ、 ケイ、ありがとう」
「私は貴女の執事で護衛ですから」
「また明日ね。おやすみなさい」
部屋の扉の前でケイを見送ったあと、懐中時計のネックレスをいじる。
そっと首から外して、オルゴールのジュエリーボックスに仕舞った。
待たせていたサナに湯あみと着替えだけ手伝ってもらい、のそのそとベッドへ潜り込む。
それを見届けてサナも下がっていった。
「ふぅ・・疲れたわ ・・怖かった。」
あんな誰とも知らない人にいきなり・・エリさんが来るのが遅かったら、連れ去られていたかもしれない。
家族の元に戻してもらえるかもわからない状況だった。
命があっても、あんな人へお嫁に行くのは絶対に嫌だ。
わたしの家族はみんな好きな人と結婚している・・お姉さまたちはお見合いだったけど、お互い好きになって婚約した。
お兄さまだって、小さい頃からラナお義姉さまのこと大好きで、ずっと想ってらしたんだから。
わたしも・・結婚するなら大好きな人とって決めてるのだ。
だからどこの誰かもわからない相手から釣り書が来なくて良かった・・
今朝はちょっと年齢のこともあって、焦って出会った人と!!って思ってたけど・・いざその状況になったら怖くて仕方なかった。
馬鹿だったわ・・
「・・エリさん・・・」
助けてくれた。
誰でもないエリさんが。
会いたかった・・昨日の今日だけど・・会いたかったの。
あんな状況なのに、エリさんに会えて嬉しかった。
わたし変かな?
友人が居てくれて、来てくれて、本当に助かったと思った・・
でも、友人て??友達にこんな感情持つのが普通なのかな?
それがわからない。
明日、お姉さまたちもいらっしゃる時に相談してみようかな。
ふとベッドのサイドテーブルに目を向ける。
黄色のバラ5本とピンクのネリネの花束。
個性的だけど、とても可愛らしいの。
エリさんに言われたことを思い出して、昨日帰宅後に花言葉を調べてみた。
黄色いバラ5本は、あなたに会えて心から嬉しい。 ネリネは、また会う日を楽しみに。
・・・・
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何これ何これぇぇぇって悶えたことを覚えてる。
ベッドの上でゴロゴロ悶えて危うく床に落ちるところだった・・恥ずかしい。
エリさんの気持ちということかな?友人として・・だよね。
だって女性だもの、友人にしかなれない。
それ以上はないのだ。
わかっている。
わたしだって、女性と添い遂げられないことくらいちゃんと理解している。
無理だと・・
もしかしてエリさんのこと好きなのかもしれないと思っていた、微かに・・だけどしっかりと。
認めてはいけないと思っていたけど、これはもう認めないって言えなくなっちゃったかなぁ・・
睡魔が襲ってきて感情が緩くなってきた、思考もまとまらない。
好きな人・・・そっか・・わたしの・・エリさ・・
ふわっっとなって一気に眠りの渦に飲み込まれた。
リリベルの頬に一筋の雫が流れた・・
静寂に包まれた部屋の中、サナだけが見た・・それは誰にも言ってはいけない。
お嬢様・・泣かないで・・
侍女はそう呟き、リリベルの頬にハンカチを当てて部屋を去っていった。
ほんのりとサイドテーブルの灯りが揺らめいて消えた。
王宮の夜会から帰宅したあとにリリベルの様子でした。
ふぅ恋は難しいですよね。
色んなことがあって、いろんなパターンがあって十人十色どころじゃなくて、、
びっくりするくらい同じ経験してる人なんて居ない。
てことで、二人の行く末応援していきます。




