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24話

王都リドール邸にて。



「坊ちゃまお帰りなさいませ!!」


使用人たちが挨拶をしてくる。


「え・・もう坊ちゃまはやめてよね・・20歳にもなってそれは・・」


思わず顔を引き攣らせる。


「私どもにとってはいつまでも坊ちゃまでございます!」


と・・笑顔で返してくるから止める気が失せる。


もう放っておこう。


「父上たちはどこに?話があるんだけど」


「旦那様たちでしたら、ちょうど昼食中かと」


「良かった、俺も一緒に食べるよ」


「ではそのように料理長に伝えてまいります」


「すまない、助かるよ」


礼をして厨房へと去っていった。


早速食堂へ向かう。


ここは変わらないなぁ・・


確かそろそろ兄上が婚姻するとか聞いたな。


今度婚姻祝いに何か贈ろうかな~


と、考えながら食堂へ移動した。



コンコン

「ただいま戻りました~昼食俺もご一緒していいですか?」


と実家なのにちょっと他人行儀になってしまった。


久しぶりだから仕方ないな・・そこは(笑)


「エリッシュ!!どうしたんだ~早く座れよ!まだ途中だからな。」


と、久しぶりの兄弟の再会に嬉しさを隠さない兄。


「エリ・・久しぶりじゃないか!元気にしていたのか??」


何歳になっても心配してくれる父。


「まったく・・同じ王都に住んでいるのだから、せめて1カ月に1回くらいは顔を見せに来てちょうだい」


と怒りながら泣きそうになっている母。


「「「寂しいでしょ」」」


う”・・・なんでみんな同じこと言うんだよ・・


「わかったよ~わかったって!落ち着いて、ほら昼食先に済ませないと、メイドたちが困るだろう」


周りを見ていると、ずっと待っているメイドたちはニコニコしているが・・


「そ・・そうだな」


「わかった・・昼食後にまだ居られるんだね?」


「今日はそもそも、話したいことがあったから来たんだよ」


「あら?話がないと実家には寄りたくないみたいな言い方ね?」


「やめてよ母上~ちゃんと今度からは1カ月に1度は帰ってくるから~ね?」


「みんないまの言葉聞いたわよね??言質はとったわ!!」


「いや、どんなだよ・・(汗」


嬉々として訴える母にタジタジである。


父は母のそんな様子を嬉しそうに眺めているし、兄は・・なぜニヤついているんだ・・



昼食後、話しをしようとサロンへ移動すると食後のお茶と少しつまめるお茶菓子を出してくれていた。


それぞれ腰を下ろしたのを見て、少しお茶を飲んでほっと一息つく。



「ふむ、それで話とはなんだい??」


「それそれ、俺も気になっていたよ」


母は黙って聞いている。


「んんっ・・実は・・・」


少し緊張して沈黙してしまう。


はぁ~・・・


「いや、なんだよ? 早く言ってくれ気になる。」


急かす兄を軽く睨んでおく・・


「実は・・婚約したい相手がいて、父上たちにも認めてもらってから婚約の申し込みをしたいと思っているんだ」


ブホッ!!!


う・・ごっほ・・


・・・・


「はい!!?? 急に真剣な顔して何言うかと思ったら・・婚約したい!?」


飲んでた紅茶を盛大に吹き出してから聞き返してきた兄。


「あなた・・大丈夫ですか??」


飲んでたのを途中で詰まらせて蒸せている父・・と背中をさする母。


隣では慌てるメイドたち。


「げほっ・・はぁ、はぁ。 

エ・・エリ、お前いままで婚姻に興味ないみたいに釣り書にも目を通さなかったじゃないか。それなのに急に婚約したとは・・どうなってそうなったんだ?」


「そ・・そうよ、エリ。ちゃんと説明してくださいね」


「エリッシュ・・まじか・・唐突すぎ・・いやいつもだけど」


「もう・・ちゃんと説明するし、どこの誰ともまだ言ってないよ、慌てすぎ~」


「「「慌てるに決まってる!!」」」


ひっ・・・こっわ~


まぁ、俺が悪いんだけどねぇ・・わかってるんだよ・・


「ふぅ・・やっと落ち着いた。とりあえず、詳しい話を聞こうか。まず相手は誰なんだ?」


蒸せていた父がやっと復活したらしい。


「相手はね、プリム子爵家の三女、リリベル嬢だよ。」


???

「は?プリム家?お前接点などないだろう?夢でも見たか?」


兄が失礼な突っ込みを入れてくる。


「現実だから・・俺はリリベル嬢じゃないと婚約しないよ」


「そんなにか?何があったんだ?」


「エリがそこまでなんて、いままで女性に執着したことなんて無いのに・・」


「あなた、まずは話を聞きましょう?」


「そうだな・・」




やっと黙って聞く気になってくれたようなので、話し出すことにする。


「実は、時祭りの初日の前日に初めて会ったんだ。


ちょっと俺のミスというか、恥ずかしいんだけど噴水に突っ込んじゃって(笑) 


怪我はしなかったけど、ずぶ濡れになってしまって・・


その時に近くにリリベル嬢が居てね、ハンカチを貸してくれたんだ。」


と、お守りのように持っていたハンカチを家族に見せる。



「え?これ手作りなの?売り物じゃない!?職人レベルなんだけど・・刺繍やばいな」


「えええ、この刺繍・・

私知ってるわ!夫人の中で密かに人気なのよ~どこで売ってるかわからなかったのよ、私も欲しいわぁ」


「これは・・見事だなぁ、とても器用なお嬢さんなんだな・・」


と三者三様に驚き感心している。


そうだろう、そうだろう と自分のことのように満足気になってしまう。


「まぁ、そのハンカチのお礼したり、交流したんだけど・・


趣味とか好きなものが似てて、何より一緒に居て話してて楽しくて、気負いしなくて・・一緒に居られるならこの子


がいいなって思ったんだよね。」


「なるほどな・・相手には気持ちは伝えているのか?」


う”・・痛いところを・・


「それが・・実は、彼女は俺が男ってこと知らないの。

そもそもの出会いが仕事中だったから騎士団の服だけど女装中。

それで・・たぶんデカイだけの女性だと思ってる・・と思う。」


気まずくて早口になる。


「はぁ??おま・・おまえなぁ・・肝心なところが・・」


兄も父も額に手を当てて呆れている。


母だけは真剣に話を聞いて、考えているようだ。


「男だってはっきり言って、アプローチしたらいいじゃない?


それだけの話よ~でも隠してたわけじゃないけど、女装してた理由を伝えて謝ることはしたほうがいいわね」


なんて心強い味方・・母親とは強いな。


「母さんの言うとおりだな、何にせよ身元もしっかりしたお嬢さんだし、お前がやっと好いた女性に出会えたんだ、こんなに喜ばしいことはないよ。私達は婚約することを認めるよ。」


「そうだな、義兄としても受け入れるよ、俺の婚約者とも仲良くしてくれるといいな♪」



「うん、そうするよ。婚約のこと認めてくれてありがとう。まだこれから申し入れをするから、返事はわからないけど、何度断られても諦めないよ、それだけ好きなんだ・・彼女が。


あと、、それとは別なんだけど聞いてほしいことがあって。」


「どうしたんだ?」


「実は昨日の夜会でのことなんだ。」


「何かあったのか?」


「聞かせてちょうだい」


「実は・・ 


というわけで、シアン国のジオラント卿については陛下とも処遇の話は纏まりました。


プリム子爵もそれでいいと。」


「なんてことだ・・あのような場でそんなことがあったなんて・・」


「なぁ・・リリベル嬢はその・・大丈夫なのか?」


「そうよ・・女性にそんな無理やりなんて・・しかも断っているのに・・何様かしらっ」


「彼女は早々に子爵婦人に付き添われて、タウンハウスへ帰宅させたとのことだったよ、

ただ・・やっぱり衝撃的だし精神的にきついだろうから、3日後に見舞わせて欲しいと子爵へ頼んだんだ。」


「そうか・・子爵は、その・・婚約のこと話してあるのか?」


「はい、幸い子爵からは俺は気に入られたようで、是非とも娶ってくれと言われました。

あちらの家族や使用人にも伝えて、助力は惜しまないと。」


「なるほどな・・そこまで言ってもらえていれば、あとはリリベル嬢の気持ち次第だろう。

しっかり振り向いてもらえるように努力せんと・・   頑張れよ。」


「私達だって、もちろん貴方のためにいつでも手を差し伸べるわ、愛しい人を離さないよにうにね」


「兄ちゃんにだっていつでも相談していいんだぞ?」


「みんな・・ありがとう。俺・・頑張るよ、明後日に子爵にお茶会に招待されてるから。

それまではリリベル嬢に手紙と花と贈り物を送ることにしたよ。 

とりあえずは、その手紙で男だということも伝えるつもり。

お茶会にはしっかり、男性の姿で行くよ。 進展あったらちゃんと伝えるからね。見守っていて・・」


「「「頑張って」」」


家族に励まされて、俺は頑張るしかないと気合を入れた。


いつもは面倒くさがって帰ってこない実家だけど・・やっぱり家族っていいものだとしみじみ思った。



そうこうして、夕食まで食べてから家へ帰ることにする。


帰りに花屋へ寄り、朝に伝えていた贈り物と朝忘れていた手紙を預けてから帰路に着く。



もう8時かぁ・・空はすっかりミットナイトブルーに染まっていた。


リドール子爵家


父、母、兄 でした。 父は普段は物静か、母は元気はつらつタイプ、兄は弟を可愛がる典型なお兄ちゃん


次回はリリベルの帰宅後の様子など。




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