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18話

今日はとうとう『時祭り』最終日・・長かった。


割とバタバタしてたけど、充実はしていた。


朝食時に家族で時間配分を確認し、

各自部屋へ戻って衣装や小物の確認、湯あみ~身支度への時間へ移る。



リリベルの装いは、

メドウグリーンを基調に、

ミルクコーヒー色のレースと細いリボンをポイントとして、

ゆったりとした長袖でひざ下丈のワンピースドレス。

靴はプレーンな踵が高すぎないチョコレートカラーのパンプス。

秋らしく落ち着いた印象に纏まった。

外で冷えないよう、ミルキーホワイトとベージュローゼの配色のポンチョも用意。



昔のように、コルセットで締めたりパニエやクリノリンといったものでスカートを膨らませる慣習も無くなって久しく、現在では自由な形でドレスが作られている。

上下別のセパレートドレスもあって、様々な組み合わせを見られるのはとても楽しい。



アクセサリーだけは自分で選んだ。


ウィスタリアブルーに似た、ブルーラベンダーの小ぶりな石が付いたネックレスとイヤリング。


お友達だから、いいよね・・女性同士だもん。


また会えるといいな  願掛けのようなものにした。



確認も終わったことだし・・少し休もうかな。


昨日エリさんから貰ったオルゴールボックス・・何度も開いてオルゴールを聴いている。


静かな自室に美しい旋律が流れる。


楽しそうにクルクル踊る猫と少女。


猫・・・・わたしも猫ちゃん飼おうかなぁ・・


お世話出来るかしら・・家族にも相談してみなきゃ。



ボックス部分には、エリさんの住所のメモを折りたたんで入れてある。

絶対に失くさないように。


この箱だけは、侍女にも触らないように伝えてある。





早めに身支度を終わらせて大人しく待つ。


あと1時間後には王宮へ出発する。


お姉さまたちが衣裳に合わせる小物を決めかねているらしく、侍女と騒いでいる。


お父さまとお母さまは準備万端みたい。


二人とも、いくつになっても若々しくて素敵。


お兄様とお義姉様も想いあって、お互いを支え合っていて良い夫婦だと思う。


お姉さまたちも、それぞれ婚約者と仲良しだ。


あれ?家族で残ってるの・・わたしだけね?

わたし人気ないのねぇ・・釣り書なんて見せてもらったこともないし。

ちょっと悲しい(苦笑)



実のところ・・釣り書が来ないというより、

ほぼ領地から出ないから存在を知られていないというのが大きい。

家族みんなで隠してるし・・



家族が幸せなら嬉しい。


でも、わたしだって幸せになりたい・・好きな人だって出来たらいいなって思うし、

素敵な旦那様と家庭を築きたい。でも現実はそんなに甘くない。


皆さん・・出会いってどうやって出会うの??なんで皆さん素敵なお相手がいるのかしら?


わたし・・行き遅れになるのでは(汗


まだ14歳、もう14歳。 来年には婚約だって出来る。


この先独り身だと、実家の厄介者になってしまう。


それだけは避けたいけど、独りで生きたいわけでもない。


「今夜王宮でご縁があれば飛びついてみようかな??」


家族が隠しすぎて、一人であらぬ思考を抱きだしたリリベルの独り言に気づくものは・・

ケイだけが聞いていた。


・・・お嬢様の思考がおかしなことになっている・・

これは、、早急に旦那様と奥様にお伝えしておかなければ。



「お嬢様、少し席を外します。すぐに戻りますので、一旦サナに代わります。」


「?えぇ、いってらっしゃい」


パタン


やばいやばいやばい・・・


嫌でも速足になる・・


お?あれは執事長!


「ミッチェルさん!!」


「おや?ケイじゃないか、お嬢様の護衛は大丈夫なのか?」


「いえ、サナに代わってもらってます。旦那様と奥様に至急お話しておきたいことがあって、どちらにいらっしゃいますか?」


「なんと、よっぽどみたいだね。執務室におられるよ。」


「ありがとうございます!」


1分1秒でも惜しい・・




コンコン!!

「どうぞ」


「旦那様!奥様!至急お話したいことがございます。」


「ケイ?どうした?そんなに慌てて。まぁそこに座って、聞こうじゃないか」


「失礼いたします」


「大丈夫??息があがっているわ」


「奥様、ご心配にはおよびません。私のことは・・」


「ふむ、では話とは?」


「旦那様、奥様、危険です。お嬢様の思考がおかしな方向へいっております。」


「んん??どういうことだい?説明してくれ」


「はい、、先ほどまでお嬢様のお部屋にて護衛をしておりまして、

お嬢様は早々に準備を終わられたのでのんびり過ごされていました。

そのうち何やら考え事をしていたようで、独り言を申しておいででした。

その・・最後の言葉だけで充分だと思うのですが、


「今夜王宮でご縁があれば飛びついてみようかな??」


とおっしゃっていました。

どうやらいままで家族で隠してきたことで、釣り書も来ませんでしょう?

来年は婚約も出来る年齢なのに、自分は行き遅れるかもしれないと危惧しておられました。」



リリベルの状態をわかりやすく伝える。


「なんだと・・」


「そんな、ベル・・」


「そんなポッと出のやつに大事なベルを渡せるわけがないだろう・・」


「そうよ・・アナタ、ちゃんとベルと話さないと。あの子ならやるわよ」


「そうだな、もう時間がないから王宮へ行く馬車の中で話すとしよう」


「えぇ、それがいいと思うわ。直前に話すことで防止にもなると思うわ」


「私も、王宮ではお嬢様の側についております」


「あぁ、任せたよ。」


「お任せください。ただ、一人だけはお嬢様に近づくことをお許し願いたい人物が・・」


「ん?誰だい?」


「アナタ・・・あの人のことでは?」


「奥様のおっしゃる通りでございます。リドール伯爵子息様です。

昨日お会いした際に、明日の王宮での警備に就いているからどこかで会うかもしれない とおっしゃってました」


「なるほど・・」


旦那様は少し考えるようにして・・


「ケイから見たリドール子息はどうだった?」


チラリと意味深な目を向けられる。


俺としては、あの人は信頼に値すると思っている。

お嬢様を傷つけたりはしないと。


「私個人の見解ですが、彼はとても信頼出来る人物だと思いました。」


私は昨日、彼の家でのことを旦那様に話した。


「ほぉ・・なるほどな。やるではないか。そうか・・」


「ケイ、ベルの様子はどうだったのかしら?」


「そうだな、彼が良くてもベルの気持ちにもよるし・・何より二人の気持ちも今の時点ではわからんからな」


「それは・・あくまでも私から見た様子ですが、お嬢様はあの方をとても好ましく思っておいでです。

帰り際に離れがたそうにしておりました。」


「それは・・慕っているということか?」


「それが・・お嬢様は恋を知らずに今日まできているため、自分の感情が良くわかっておられない様子でした。

離れたくない思いと、自分の感情がわからなくて板挟みで苦しかったのだと思います。・・昨夜帰宅する際には私にわからないように泣いておられたみたいです。」


「なんと・・」


「あぁ・・ベル・・そんなに苦しませてしまうなんて・・もっと人と関わらせるべきだったわ・・」


「んむ・・いまそれを後悔しても遅いが・・私達家族がベルを隠してきてしまったんだ・・それに対する償い・・にはならんが、ベルの気持ちを尊重して助力を惜しまず見守ってやろうじゃないか」


「アナタ・・えぇ、承知してますわ、可愛い娘ですもの。みんなと同じように幸せになって欲しいですもの」


「そうだな・・」


「ケイ、話してもらえて助かったよ。本当にありがとう。

危うくこちらでも婚約者候補を探そうとしていたところだ・・

みんなには話しておくよ。そろそろ出発の時間だ、ベルのところへ戻ってやってくれ。」


「はっ・・お時間ありがとうございました。私にも出来ることがあればいつでもお呼びください、失礼いたします」


ほんの10分ほどだがしっかりとお嬢様のことを伝えられて安心した。



お嬢様・・早まらないで下さい、絶対に。



従者のそんな心も知らず、ベルはちょっと勇気を出そうと意気込んでいた。


まぁ、馬車の中でお父さまに止められて、お母さまにもプチお説教されました。


「はぁ・・せっかく頑張ろうかなと思ったんだけどなぁ・・」


「何か言ったかしら?」


「ひゃっ・・お母さま、何も言ってません!!あ、お城見えてきました!きれーい・・」


家族で一番怖いのは母である。

言っちゃいけない一言なので言わないけど。


そんなこんなで王宮へ到着しましたよ。


お嬢様、準備はよろしいですか?? 私がきっちり側についておりますからね。


なんて頼もしい従者。


ほわんほわんな主人を持つと、従者がしっかりしちゃうんですよねぇ・・知ってる!!




秋のミッドナイトブルーに染まる中、王宮の灯りはまるでマリーゴールドが咲いてるようだ。



ふと、ネックレスをいじり、「エリさん・・」と呟いた声は、王宮に訪れる人々の喧騒に溶けた。


家族の元へ駆け寄り前を向く。



少し離れた場所で、騎士服に身を包んだ大きな影が揺らめいた。


お願い想像してください・・気分はフランスのランジェ城。

あーっ!私も行きたい・・


次回はどんな展開に・・



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