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戦国転生物語  作者: 高野康木
激突!治安部隊編
27/27

最終話 君と生涯を……。

「ずいぶんと、能力圧があがってるな……」


秀吉が、睨み付けていってくる。

おそらく、今までにないほどの、戦闘になるだろうな。


「思えば、俺とお前は違う道を歩んでいるのだな」

「どうゆうことだ?」

「俺は、仲間などいない。そんな物など、足枷になるからな」

「何いってやがる。政宗や、ダーバン女がいるだろ?」


俺がそう言うと、苦笑いした秀吉がーー。


「仲間などではない。こまだ」

「駒?」

「使えなくなれば、捨てるまでのこと。それが、頭を使うということだ」


自分のこめかみを、人差し指で、突っついて言う秀吉。

ようするに、捨て駒と同じくらいの価値しかないとゆうことか。


「クズだな。血が繋がってるとは思いたくもねー」

「フッ……、そうだろうな。だがな、俺にも目的とゆう物もあるんだ」

「どうせ、世界征服だろ?」

「違うな……。世界崩壊だ」


スケールがでかすぎる。

崩壊かよ……。


「なんで、そんなことをしたいんだよ?」

「決まっているだろ。俺らのような奴らが、二度と産まれないためだ」


俺が不思議そうな顔をしていると、空を見上げながら、秀吉が語り始めた。


「俺も、お前と同じように上で育ったが、お前と違う所があった。それは、産まれた時から覚醒していたことだ」


産まれた時から、覚醒していた?

そんなこと、ヤバイだろ。

だって、普通の人間とは違うんだから……。


「俺は、頑張って生きようとした。しかし、世間がそれを許さないのだ!だから、俺は世界を崩壊させる!!」


秀吉の声と同時に、地震がおきた。

この世界を揺らすほどの、でかい地震。


「なんだ!?」

「上を見てみろ。あれが、世界の崩壊だ」


空から、水が溢れでてきた。

とてつもない量だ。


「まさか!海水か!?」

「そのとうりだ!これで、世界は崩壊する!!」


まずい!

あの量じゃ、俺でも止められねー。


「させません!!」


その時、俺と秀吉の頭上に、火の玉が現れた。

二十歳くらいの女性が、炎を拡大させていく。

炎は、海水と接触すると同時に、蒸発させていく。


「帝!アマテラスか!!」

「私の使命は、世界を守ることです!」

「理事長!?」


まじかよ。

理事長って、あんなにすげーの?

空が、炎1色に染まっていく。


「フッ。いくらアマテラスといえども、限界があるはずだ」

「武尊さん。秀吉を倒せば、この海水も止まるはずです!倒してください!!」


理事長からのお願いかーー。


「お前を倒すぜ……。秀吉」 

「産まれた時から、お前とはこうなると思っていたぞ」


秀吉が、刀を召喚した。

真っ黒で、いびつな刃。

秀吉の心のようだ。


「秀吉ー!!」

「武尊ー!!」


聖なる炎を帯びた剣と、全てを飲み込もうとする、暗黒の刀が、ぶつかり、火花が散る。


「天地破滅!」


秀吉が、左手で俺の腹に技を放つ。


「かっ!?」


肺から空気が押し出されて、後方に吹っ飛ばされる。

このままでは、ビルに突っ込んでしまうだろう。

なので、地面を蹴りつけて、上空にどぶ。


「無駄だ武尊!俺の技は、衝撃波。どこでも届く!!」


秀吉は、右手から衝撃波を繰り出してきた。

だが、俺はその技の弱点を知ってるぜ!


「そこだ!」


上空から、秀吉にむかって落下していく。

狙いは、衝撃波の中心ーー。


鳳凰聖炎ほうおうせいえん!」


目の前につき出した草薙剣から、炎が放射され、俺の体を包み込む。

すると、俺の姿が鳳凰にかわる。

衝撃波を簡単に貫くと、秀吉にそのまま突っ込む。


「バカな!」


そのまま、秀吉に鳳凰の形の炎をぶつけて、後方に吹っ飛ばす。


「甘いわ!」


秀吉の大声が、響く。

すると、俺の炎が消えてしまった。

正確にいえば、暗黒の龍に飲み込まれたのだ。


「なんだ?その技わ!」

『技ではない。俺の、本体だ』


秀吉の声ではなかった。

まるで、違う人物の声。


『大和武尊とはな。俺的には、スサノオを殺したかったんだがな』

「誰だお前は!秀吉じゃないな!?」

『俺の名は、ヤマタノオロチだ』


ヤマタノオロチ!?

こいつも、神かよ……。


「秀吉から出ていけ。まだ、決着がついてないんでな」

『残念だが、それはできない。秀吉は、私の転生した姿だからな』

「何!?」

『天下を取ったときは、充実していたものだ。女を、たくさん食らうことができた』

「くそ外道が!」 

『案ずるな。楽に、死なせてやる』


片手を前にだすオロチ。

瞬間、奴の手から黒い龍が現れた。


「ヤタノカガ」

『よせ武尊!それを、吸い込んではいけない!』


大和が、俺の体を真横に動かす。

てか、強制的に動かされた。


「おい!なんのつもりだこの野郎!!」

『あれは、莫大な負のオーラだ。あんなのを、一時的にでも吸収すれば、武尊の身体は、悪に染まるぞ!』


まじかよ。

じゃ、どうすればーー。


『避けるのが上手いじゃないか。だが、これは避けられないぞ?』


その言葉と同時に、オロチの足元から、8つの暗黒龍が、現れる。


「冗談だろ!?」

『かつて、スサノオはこれを避けきったあげく、全て切り落とされたものだ……。さて、大和武尊よ。お前は、どう対処する?』

「俺は、木下武尊だ!!」


そう叫びながら、暗黒の龍を避ける。

ビルの後ろに隠れたが、どうやら、風化能力があるらしく、紙のように貫いてきた。


「うお!?」


上空に逃げようとすると、上からも同時にきている。

退路は、後ろしかない。

思いっきり空気を踏み、後方に飛び退く。

至近距離で見ると、ものすごく気分が悪くなる。

これが、負のオーラか……。


『やれやれ。そんな避けかたでは、無駄な体力を使うだけだぞ?』


その言葉と同時に、斜め後ろから、暗黒の龍が現れる。

どうやら、地面から現れたらしい。


「やばっ……」


絶望的な状況になってしまった……。

上下左右前後を、暗黒の龍に囲まれてしまった。

覚悟を決めて、強く目をつぶる。

もしかしたら、負のオーラに飲み込まれても、生きていられるかもしれないとゆう、わずかな期待を込めてーー。

すると、聞き慣れた声が聞こえた。


六天結晶ろくてんけっしょう!」


その言葉と同時に、俺は、真っ黒な炎で作られたクリスタルの中に、閉じ込められた。

あれ?死ぬのこれ?

しかし、熱さは感じない。

むしろ、クリスタルに触れた暗黒の龍が、燃えて消えていく。


「どうなってんだ?」

「無事ですか?武尊君」


クリスタルの中に、いつの間にか信長ちゃんがいた。


「信長ちゃんーー。だよね?」


俺がそう確認しないとわからないほど、変わっていた。

左目が、青く光っており、制服の上には、不思議なマントをしている。

しかし、顔は信長ちゃんだ。

なので、信長ちゃんなのだろう。


「クスッ。おかしなことを言いますね。私ですよ、武尊君」

「雰囲気も、変わってない?」

「いろいろありましたから。ですけど、もう大丈夫です」


クリスタルが消える。

オロチも、信長ちゃんに気づいたようだ。


『バカな。私の8つオロチを、消すなど……』

「負のオーラは、私にはききません」


堂々と、宣言する信長ちゃん。

その宣言をきいたオロチが、暗黒の龍を繰り出してくる。

しかし、信長ちゃんがマントを盾にすると、龍は壁にぶつかったトマトのように、消し飛んでしまう。


『まさかとは思っていたが……。そのマント、地獄の糸でできているな?』

「そうだったら、なんですか?」

『どこで手に入れた?一度地獄に落ちなければ、手に入れられないはずだ』

「落ちましたよ。私ではないですけど」

『フッ。なるほど、過去の織田信長か』


なんか、おいてかれてる。

てか、話についていけねー。


「武尊君。お願いがあります」

「うん?なんだい」

「言いにくいんですが……」

「俺にできることなら、するさ。さぁ、いってごらん!」

「それでは……」


赤面した信長ちゃんは、咳払いするとーー。


「わ、私に口づけしてくれませんか?」

「…………」


思考が、5秒ほど止まった。

く、口づけ!?

それはつまりーー。


「き、キスしてください!!」

「りりり、理由をきいてもいいかい?」

「そそそ、それは、ですね!その、私の力と武尊君の力が、交わるというか、そのーー」

「よ、よくわからないけど。とりあえず、強くなるんだね?」

「はい……」


顔が熱い!!

や、やるしかないのか。

てか、さんざんしてるのに、何を今さら恥ずかしがってんだよ俺!

あれ?

よくよく考えたら、意識してやんの初めてか?

信玄の時は、あいつが死にそうだったしーー。


「もう!武尊君!!」

「っ!?」


信長ちゃんに、キスされた……。

結局、女の子に奪われんのかよ。

男として、どうなのやら。

そんなことを考えていたら、信長ちゃんの唇が離れてく。

それと同時に、力が溢れてくる。

信長ちゃんの両目が、青色と赤色になっているので、俺もそうなっているんだろう。


「信長ちゃんーー」

「行きましょう、武尊君ーー」


頷きあい、オロチを見る。

あいつを倒せば、全てが終わる。


『人間の分際で、神に逆らうなど。愚かだな』

「愚かなのは、あなたの方です」

「人間様をなめんなよ」


俺と信長ちゃん、そしてオロチの能力圧があがる。

世界が、微振動びしんどうするほどにーー。


『ヤマタノオロチ!!』


オロチから、8つの龍と、8つの尻尾が現れる。


「信長ちゃん!これを!!」


俺は、懐に持っていた刀を信長ちゃんに渡す。

その刀は、畳み刀。

市くんの思いが入っている、最強の刀だ。


「市……。私と共に行きましょう!!」


左右に別れて、攻撃を避ける。


「うおおおおお!」

「はあああああ!」


聖なる炎をまとう草薙剣と、地獄の業火をまとう畳み刀が、ワルツする。

少しずつ、少しずつ、オロチに近づいていく。


『暗黒、オロチ!!』


オロチの両手から、ばかでかい暗黒の龍が現れる。


六天獄炎波ろくてんごくえんは!」

天上一掃てんじょういっそう!」


俺と信長ちゃんの技が、オロチの技を弾き飛ばす。


『なめるな!!』


オロチの右手が、暗黒の渦になる。

まるで、ブラックホールのようだ。


「そこだ!」

「やぁ!」


俺らの刃の先端が、ブラックホールとぶつかる。


『死ねーー!』

「この世界は、私達の世界です!」

「壊させるもんかー!」


スパークが、ほとばしり、オロチの立っていた地面が、放射状にひび割れる。

そして、俺らは光に包まれた。





「…………」


視界が開けると、真っ白な空間に立っていた。

草薙剣はなく、戦国学園の制服姿だ。

死んだのか?

まさか、俺は死んだのか?


「武尊君!?」

「信長ちゃん!」


背中から声をかけられたので、振り返ると、信長ちゃんがいた。

信長ちゃんも刀を持ってなく、制服姿だ。


「どこかわかりますか?」

「いや、わからない。死んだのかな?」

『心配ないよ。僕らは死んでいない』


その言葉と同時に、目の前にあいつが現れた。

大和武尊。


「なら、ここはどこだよ?」

『天界との狭間かな?』

「て、天界ですか?」

『そうだよ。下界と繋ぐ、柱のようなところだね』

「意味わかんねー。さっきまで、戦ってたろ?」

『そうだね。君達のおかげで、奴の力が弱まった……。だから、天界から干渉ができたんだ』


あれ?

なんだ、あの黒い犬。


『オロチだよ』

「えぇ!?」

「ちっさ!子犬じゃんか!!」

『さっきも言ったけど、君達のおかげで、オロチの力が弱まったんだよ』

「あれ?てことは、秀吉わ!?」


苦笑いした大和武尊は、俺の後ろに視線をおくる。

振り返ると、目を見開いて唖然としている秀吉がいた。


「秀吉!」

「ど、どうなってんだ。オロチわーー」

『オロチは、僕が天界に連れていく。元々、こいつは天界から逃げ出したアホだからね~』


オロチを抱き上げると、俺を見つめる大和武尊。


『君は……。僕が転生した中でも、素晴らしい人物だった。礼を言わせておくれ、ありがとう』


頭を下げて、そういってきた。

急になんだよ……。まるで、二度と会えないような台詞を言いやがって。


『そして、織田信長……。転生しても、君の燃える炎は変わらなかったね。僕を、頼んだよ』

「え~と、わかりました?」


信長ちゃんも、今の台詞に違和感があるようだ。

最後に、大和武尊は、秀吉を見つめる。

俺らにくれた、優しい視線ではなく、少しきつめの視線だ。


『豊臣秀吉……。君のしでかした事は、許されることじゃない。だから、反省するんだね』

「…………」


うつむいて、反応しないが、反省してる顔をしている秀吉。

そうか。

秀吉は、愛とか友情が欲しかったのか……。

あいつが、産まれたときから、一度も味わったことのない感情ーー。


『さて、そろそろ終わりにしようか。僕は、こいつをイザナギと、イザナミに会わせないといけないからね』

「どこかに、行くのか?」

『そんな、寂しそうな顔をしないでくれよ。僕の仕事は、これで終わったんだから』 


何だかんだ言っても、こいつとは、長い付き合いだった……。

初めて会った時は、くそ気に入らなかったけど、俺をいろいろ助けてくれたし、そのお陰で、大切な人を死なせずにすんだ。


『そうだ。いい忘れるところだった』


思い出したように、大和武尊が、手を叩いた。

すると、俺の足元だけに魔方陣のようなものが、現れる。


『僕の仕事は、転生したヤマタノオロチを捕まえることだったんだよ。だから、僕とアマテラスは、この世界を作り上げた……』

「はぁ!?今、爆弾発言したろ!?」

『だから、もう一度世界を作り直す。そうすると、君達の記憶はなくなる。でも、それじゃ君が可哀想だからね。君の記憶だけは、消さないでおくよ……罪滅ぼしとして』

「待て!なんで、俺だけーー」


光が、だんだん強くなってきて、声が出なくなる。


『これで、本当のお別れだよ僕。君と過ごした時間は、なかなか面白かった……』


足元から光の粒子になっていき、今は首から上しかない。

聞き取れなかったが、口の動きで分かった。


『さようなら。そして、ありがとう……』


ばか野郎ーー。

それは、俺の台詞だろが……。






あれから、五年後ーー。

気がついたら、俺はベッドの上にいた。

勾玉も、草薙剣もなく、ただの高校生として。

そして、どうやら一月寝ていたらしい。

世界が変わったせいだろう。

驚いたことに、姉が、普通の姉に戻っていた。

優しかったあの時の姉の姿には、ギクシャクしたものだが、時間が解決してくれたな。

ばあちゃんは、すでに他界していた。

その辺を親にきくと、寿命だったそうだ。

百歳まで生きたのだから、充分だろうと、親は言っていた。

そういえば、幼馴染みがいるらしく、隣の家に会いに行ってみたら、幸村ちゃんに似た人だったのには、驚きだった。

まぁ、身長が小さいねと言ったら、蹴り殺されたけどね。

そうそう、親戚として、秀吉が来たときはびっくりしたぜ。

どうやら、あいつも親の愛を貰い、友達もできたそうだ。

今では、バイクでいろいろ田舎で遊んでいるらしい。

よかったなと、俺が言ったらーー。


「お前のお陰だ。ありがとう、武尊……」


泣きながら、そう言ってきた。

まさか、記憶があるのかと思って、きいてみたが、自然と口にから出たようだ。

少し、ガッカリしたけど、身体は覚えてるのかもしれないな。

後輩として、俺の家に遊びにきたのは、竹中さん。

言わずとも、あの人に似ていた。

学校は、俺が思ってた以上に難しく、この人に1年の問題から教えてもらった。

なんか、変な感じがしたがーー。

学校の先生は、光秀ちゃんに似ていた。

がちで似ていたので、親しみやすい。

これは、大和武尊の仕業なのだろうか?

でも、あの人とは、今だに会えていない。


「木下!そろそろ行くぞ!」

「うす!」


突然先輩から呼ばれたので、俺はコーヒーの缶をゴミ箱に捨てて、目的の家の前につく。


「頑張れよ木下。俺らの仕事は、ここから始まる!」

「うす!」

「行ってこい!」


豪華な門を開けて、庭に入る。

俺の職業は、秘書だ。

政治家にはなれないけど、誰かの手助けをして、この世界をもっとよくしようと考えた結果だ。

そう言えば、同期には謙信さん似の人がいたな。

結婚していて、夫は信玄似だった。

意味もなく拍手すると、?という顔をしてたな。


「しかし、綺麗なバラだな」


庭にたくさん咲いているバラをみて、独り言を言うとーー。


「花言葉は、親愛なるあなたへー。ですよ」


声のした方を見ると、俺はバックを落としていた。

真っ赤な髪が、風で揺れていて、真っ白なワンピース……。

そして、俺の一番好きだった笑顔を浮かべているその人わーー。

信長ちゃんに、とても似ていたーー。

今まで、お読みいただき、ありがとうございました!

これからも、違う物語でよろしくお願いします。

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