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Legendiaより愛をこめて〜ホルムズ危機、そして私たちは恋を知る   作者: おーがすてぃーぬ


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42/80

北太平洋テトリス事件— フランカーと子グマ —

引き続き、小さなバルカー「リトルベア」の天然ぶりと、


スホイのおじさんとの面白すぎるやり取りをご覧ください。


霧の北太平洋は、今日も平和です。


たぶん。


ツポレフが去って、しばらく。


霧の海は再び静かになった。


だがその静けさの中に、別の音が混じり始める。


風を切り裂くような、甲高いジェット音。


エディの表情が変わった。


「……フランカー。」


振り向く。


「スホイが来た。」


船長が目を見開く。


「スホイだと!?」


思わず声が上がる。


「なんてこった……目をつけられたぞ。」


だが船長の不安をよそに、


その戦闘機はレジェンディアにまったく興味を示さなかった。


機体は一直線に通り過ぎる。


レジェンディアの真上を抜け、


まっすぐ後方へ向かう。


ミカエラがレーダーを見て言う。


「……スルーしてったけど。」


アレックスが肩をすくめる。


「どんな趣味してんの?」


リサはレーダーを見ながら笑う。


「子犬でも見つけたみたいじゃん。」


「クマだけど。」


ブリッジの視線がモニターに向く。


スホイは、ある船へ一直線に向かっていた。


リトルベアだ。


無線が入った。


陽気な声だった。


“Hey kid! Want to play Tetris with me?”


(やぁ坊や!おじさんとテトリスしようぜ!)


レジェンディアのブリッジで誰かが吹き出す。


リトルベアの無線が元気に返る。


“I like Mario!”


(ぼくマリオが好き!!)


数秒。


沈黙。


そして次の瞬間——


レジェンディアのブリッジは完全に崩壊した。


「マリオ!!」


「テトリス拒否!!」


「Nintendo!!」


ミカエラが机を叩く。


アレックスは椅子からずり落ちる。


エディでさえ肩を震わせている。


スホイは楽しそうに翼を揺らした。


まるで笑っているようだった。


無線は続く。


“Kid, Santa Claus says he’s making borscht for you.”


(坊や、サンタクロースのおじさんがボルシチ作って待ってるって言ってたぞ。)


リトルベアは目を輝かせる。


そして真面目に言った。


“I hate carrots!!”


(ぼく、にんじん嫌いだよ!!)


レジェンディアのブリッジは完全に崩壊した。


ある者は机に突っ伏し、


ある者は椅子から転げ落ち、


ある者は壁を叩いて笑っている。


「だめだ……」


「航行不能だ……」


「さっきの爆撃機、ボルシチ作んの!?」


「完全に気に入られたじゃん!」


「好き嫌いダメだよ!!」


スホイは軽く翼を振る。


そして空中でくるりとロールを一つ。


霧の空へ消えていった。


その頃。


リトルベアのブリッジでは怒号が響いていた。


シルバーウルフの声が無線で炸裂する。


“You idiot!What kind of bulk carrier gets borscht cooked by a Tupolev?!”


(バカやろう!どこの港にツポレフにボルシチ作ってもらうバルカーがいるんだ!)


リトルベアはむくれる。


そして小さな声で言った。


“But…I don’t like carrots…”


(だって……ぼく、にんじん嫌いだもん……)

作中では、船同士や航空機との無線会話がよく登場します。


実際の海では、船舶無線(VHF)はおおよそ 数十キロ程度の範囲で受信されることが多いです。


海上は障害物が少いため、条件が良いとかなり遠くの船の通信が聞こえることもあります。


そのため、船団航行などでは別の船のやり取りがブリッジで聞こえてくることも珍しくありません。


ただし、航空機との通信の場合は通常は専用の周波数が使われるため、民間船と直接会話するケースは多くありません。


このエピソードは、そんな現実の海を少しだけ緩めて、


「もし海がこんな会話であふれていたら楽しいのに」


という気持ちを込めて書いています。

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