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Legendiaより愛をこめて〜ホルムズ危機、そして私たちは恋を知る   作者: おーがすてぃーぬ


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14/37

女王たちの決断 ―空母は東へ―

バルセロナ寄港の夜。


レジェンディアの船内では、まだパーティーの余韻が残っています。

けれど港の外では、別の動きが始まっていました。


恋の物語が静かに進む一方で、

世界の海もまた、大きく動き始めています。


女王船の航海は、次の局面へ向かいます。


バルセロナの夜は静かだった。


レジェンディアの船内では、まだパーティーの余韻が残っている。


その一方で、港の外では別の動きが始まっていた。


 


リヴァイアサンの黒い船体が、港の灯りの中に浮かんでいる。


エディ――

エイドリアン・ヴェイルは、桟橋をゆったりと歩いていた。


隣にはジェームズ大佐。


長い付き合いのある上官だった。


 


駆逐艦リヴァイアサンのタラップの前で、

ジェームズ大佐が足を止める。


「ヴェイル。」


低い声だった。


「君たちはニューヨークに着いたら、すぐ日本へ帰ることになるだろう。」


エディは眉を上げる。


「理由をお聞きしても?」


大佐は港の闇を見つめた。


そして、わずかに笑う。


 


「アメリカの女王たちが、ドバイへ観光に行くらしい。」


 


エディはすぐ理解した。


アメリカの女王。


つまり――


空母打撃群。


 


中東へ向かうという意味だ。


それだけの火力を動かすほど、

本格的な戦いが始まろうとしている。


 


「……なるほど。」


エディは静かに頷いた。


「ありがとうございます、大佐。」


 


ジェームズ大佐は軽く肩をすくめる。


「気をつけろよ、ヴェイル。」


 


そう言うと、タラップを上がっていく。


リヴァイアサンの甲板から敬礼が返る。


 


軍艦の灯りがゆっくり港の闇へ溶けていくのを見届けて、

エディはレジェンディアへ戻った。


 


船内はすでに静まり返っている。


エディはVIPラウンジへ向かった。


レイコはまだ株主たちと談笑しているはずだった。


 


だが――


そこに彼女の姿はなかった。


 


給仕のクルーに尋ねる。


「オーガスティア様は?」


 


クルーは少し笑った。


「ヴァルナー航海士がお部屋にお連れしました。」


 


エディは片眉を上げる。


「だいぶ酔っておられましたので。」


 


「……そうですか。」


エディは小さく息をついた。


 


スイートのドアを開ける。


室内は静かだった。


 


ベッドの上で、レイコが眠っている。


バスローブ姿。


髪はまだ濡れていた。


 


飲み続けたシャンパンの余韻が残っているのだろう。


ほのかに甘い香りが漂っていた。


 


エディは苦笑しながら、

レイコが外したアクセサリーを丁寧に片付ける。


 


「……あの航海士。」


小さく呟く。


 


「相当な荒波と戦ったに違いない。」


 


レイコは小さな寝息を立てている。


エディは毛布をそっと整えた。


 


だが――


今夜はゆっくり眠れる夜ではない。


 


エディは静かに立ち上がる。


朝が来れば、レジェンディアはすぐ出港することになる。


 


机の上に資料を広げた。


為替。


燃料。


寄港計画。


 


そして航路。


 


すべてを整理していく。


 


その頃――


レジェンディアのブリッジでは通信士が声を上げた。


 


「キャプテン。本社から緊急通信です。」


 


船長が振り向く。


「つなげ。」


 


通信が入る。


内容は短かった。


 


ニューヨーク到着後、補給を実施。


 


その後――


北大西洋航路を取り、直ちに帰港せよ。


 


さらに続く。


 


【自社船舶と協調航行。基準船はレジェンディア】


 


ブリッジの空気が変わる。


 


副長の一人が低く呟いた。


「……ただ事ではありませんね。」


 


船長は静かに頷く。


 


遠くで波が船体を叩く。


 


地中海は、まだ穏やかだった。


 


だがその先の海は――


穏やかではない。


 


ブリッジには、はっきりとした緊張が走っていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


クルーズ船の航海は優雅に見えますが、

世界情勢の影響を受けることも少なくありません。


今回の回では、海のもう一つの顔――

軍艦と商船、そして航路を巡る緊張が少しだけ描かれました。


それぞれの「女王」が動き始める夜です。


次の航路で、レジェンディアはどんな決断を下すのか。

物語はさらに海の奥へ進んでいきます。


次話もお付き合いいただければ嬉しいです。

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