青年の家
英雄様はご自身の死を望まない
英雄様は人々を笑顔にしなかればいけないのだから
そう
だから英雄様と呼ばれるのだ
英雄様は笑わなければならない
ただの神像であってはならない
皆に知られなきゃいけない
英雄でならなければならない
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あなたに 何が あろうとも
あなたは英雄様でいなければいけない
森の奥にある古びた家
銀髪の青年が家の扉を破壊しその扉を踏みつけ
青年は家の中に入っていく
その家に一人で住んでいるのだろうか?
疑問は浮かんで消える
「そこに突っ立っていると扉を直せないのでとっとと入ってくれませんか」
青年の不機嫌そうな声に促され、僕らはその家の中に足を踏み入れた。
家の中は外見とは違い
四角い何かに溢れていた これはなんだろう
触れようとしたら
「そこにあるのは高価な本なので、お手を触れないていただけますか?」
と青年の不機嫌そうな声が聞こえ、慌てて手を引っ込めた。
高価なものだったら触ってはいけない 本ってなんだろう
パンッ
音に驚き肩が上がったが青年が指を交差させ鳴らしたのだと気づく
よかった 違う
背後からパキパキと
また違う音が聞こえ、そちらを振り返った
壊れて倒れていた扉が、音を立てながら元の場所にすっぽりと収まっていく
「あ、」
その光景に僕らは絶句したが
青年は「何突っ立ってるんですか?」と不機嫌そうに座っており、指で机を二度叩く
僕は青年から見えないようにサナラを背後に隠した
青年はその様子を見て「はぁ」と残念そうにため息を吐き
僕を睨む
「あなたたちのご出身そして名前は?」
そう聞かれ唾を飲んだ
青年は椅子から立ち上がり僕の前にくる
銀髪がさらりと揺れ翡翠の瞳がこちらを見る
「私の名前はサリソン・キューラです」
サリソンとお呼びください
と青年 いや サリソンはニコリと僕らに品のいい笑みを向けるがその翡翠の瞳の奥は笑っていない
トンッ サリソンは立ったまま机を叩いてこちらを見る
「もう一度聞きます、あなたたちの名前そして出身地は?」
さっきより低い声 銀髪がふわりと揺れ 翡翠の瞳がこちらをじっと見る
僕の背筋が伸び、背中に冷や汗が流れる
「僕は、」
意を決して名乗りをあげようとしたところだったのに
青年が
「ああ、立ったまま喋らせるつもりはございませんので」
パンッ
また指を鳴らすと何処からか椅子が
ガタガタと音を立て、大きな机がある部屋に2脚 椅子が移動してきた
椅子が移動してくる様子にサナラと二人揃って固まった
青年の方を見ると嫌そうに眉間に眉を寄せて
彼はまた 指を鳴らしながら椅子に座った
今度は椅子ではなく何処からか水がプカプカ浮かんで
青年の目の前にある3つのコップの中に収まった
その光景にまた唖然としていると
「とっとと座ってください」
僕だけが座っているのは嫌ですので
青年の圧に負けて
僕とサナラは共に椅子に座った
青年 いや、サリソンはニコリと微笑んだ
「サンボルデ」
突如サナラと僕の首元に雷で出来た矢が突きつけられた
青年は翡翠の瞳に憎悪を隠さず
にこやかに微笑む
「お前らは一体何処から来た?」
誰かが息を呑む音が聞こえた




