55話 討伐祭から離脱した後の日常
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リュート達が街に戻り宿屋で生活が6日経った日の昼過ぎに、ランオン学園の討伐祭のことなど忘れていたミウがレナと街で日用品の買い物をしている途中に少し先の広場が騒がしいことが気になりレナの手を引っ張り向かった。
「レナ、行ってみよう!」
「ミウ殿・・」
レナは興味が無いものに関しては、微塵も関心を持つことがない性格のためミウと違い自ら行く気はなかったが、ミウに逆らうことなくついていくことに決めたようだ。
2人は同じ方向を歩く人々のをぶつからないようにすり抜けて広場へとたどり着くと、人だかりがあってそれ以上前に進むことは困難だった。
「レナ、これ以上進めないみたい」
「ミウ殿、ならば斬り伏せますか?」
「イヤイヤイヤ、それだけはダメだよ、レナ」
「ならば、ここで我慢して見ましょう、ミウ殿」
「うんうんそうしようね、レナ」
背の低いミウは、前の列の人の隙間から覗くように広場の様子を窺っている。ルカより僅かに背が低いレナは、ミウを抱き抱えた。
「ミウ殿、これならちゃんと見えますよ」
「あ、ありがとう・・レナ」
レナに子供扱いされてしまったミウは、恥ずかしい気持ちもあったが、広場で何が始まるかの方が気になりそのままレナに甘えることにした。
ミウの視線の先では、複数の馬車の隊列が前を横切って行く・・。その中の1台に見覚えのある横顔をミウは見つけた。
「・・ミーシャ・・さん」
彼女の小さな呟きが聞こえたのかは、わからないがミーシャは偶然にもミウがいる方に顔を向けて、少しの間を置いてからミウと視線が重なった。
ミーシャは僅かに目を見開き口元が動くものの、ミウの耳にはミーシャの声は届かない。
そのまま馬車は走り去って行き、ミーシャの姿も見えなくなった・・。
「レナ、もういいよ。ありがとう」
レナがミウを下ろすと、何も言わない彼女は広場から離れ歩き出したためそのまま後を歩く。
そのままミウとレナは言葉を交わすことなく宿屋へと戻りリュートとミウがいる部屋のドアを開けて中へと入る。
「おかえりミウ、レナ」
2人が部屋に入ると、ベッドで横になっているリュートから出迎えてくれる。
「ただいまです」
「戻りました、主様」
ミウは、そのままリュートがいるベッドへと腰かけ、レナはソファに座るルカの隣りに座り今日の出来事を伝えていた。
「それとなんだけどさ・・」
ミウと話をしていたリュートは、話題を変えるようにミウを見る。
「急にどうしたのですか?リュートさん」
ミウの桜色の瞳を見ていたリュートは、青紫色の瞳をルカを見るとルカはレナとの話しを終わらせて立ち上がりミウの隣りに立つ。
「レナもこっちに来て」
「はい、ルカお姉様」
ルカに呼ばれたレナも立ち上がり、ルカの隣りへと立った。
「それじゃ・・長いごと宿屋暮らしも続けてしまったし。俺達の今後について話そうと思う」
リュートの言葉にミウは、緊張した面持ちでリュートを見つめる。
「ミウ、ちょっとベッドから立ってくれるかな?」
「は、はいです!」
ミウは慌ててベッドから立ち上がり、リュートを見下ろした。
「それじゃ、みんなに報告します」
リュートが顎下まで掛け布団をかけていて、顔しか出していなかったことをミウとレナは無意識的にリュートの身体見ないようにしていたため気付いていなかった。
2人の後ろに立つルカは、これからリュートが何をするか知っているため笑顔を見せ、レナは何が始まるか分からずリュートをジッと見つめミウは勝手に涙目になっている。
ガバッ!
掛け布団が勢いよく捲られて、そこにあったのは寝間着姿のリュートの四肢がある姿だった。
「リュートさん!・・足が・・手が・・」
「あるじ・・様・・」
「心配かけさせたね・・ミウ、レナ」
リュートの身体が元に戻った姿を見たミウは、涙を流しながらリュートに抱きつき普段は冷淡な性格のレナも主人の姿を見て涙を流し、姉のルカにソッと寄り添った。
「リュートさん、でもどうした治ったのですか?」
落ち着きを取り戻したミウは、1つの疑問を口にする。
「それなんだけどな、ルカの治癒魔法の肉体再生効果は即効性の性質を持ってなくてね・・時間が経って行くと治って来たんだよ・・」
「主様・・どうして、治りはじめたことを私達に教えてもらえなかったのでしょうか?」
「さすがにね・・再生途中は見た目がね・・ルカと話し合って完治してから教えようと決めたんだ」
「リュートさん、本当に良かったです・・」
あの日からリュートの欠損は治るのだろうかと不安になっていたミウは、レナとルカとの買い物で紛らわせていたが、今目の前で見せられた姿に安堵していたのだった。
「だからさ、明日から行商人を再開するからね・・」
最後に伝えられたリュートの言葉に、3人は頷いてリュートを立たせると宿屋の早めに始まる夕食を食べに部屋を出たのだった・・・・。




