95話 順調な滑り出しとリュートの暴走
アクセスありがとうございます。
あらすじを少し修正しました。
変だと指摘を受けていましたので(笑)
リュートの思いつきで開店した商店リューノスは営業2日目を迎えた。店主の意向によりルカとレナは、朝から通りを歩く冒険者達に新しく開店した店の紹介と主力商品のポーションを笑顔で勧めている。
美少女2人の勧誘もあって、鼻の下を伸ばした若い男冒険者達はパーティーメンバーの女冒険者の冷たい視線を無視して窓を開けて外をみているリュートの方へと足を進めた。
「いらしゃいませ・・当店自慢のポーションいかがでしょうか?」
「ちっ・・売るのは男かよ・・」
「女の子の方が良かったですか?」
客から見えない場所で、リュートは拳を握り締めながら笑顔で告げる。
「当然だろ?あの美少女に誘われて来た店での販売が男だと、なんか騙された気がするぜ・・」
「す、すいません・・少しだけお待ちください」
今すぐにでも、ぶん殴りたい気持ちを抑え込むことが成功したリュートは、後ろの長机のところで寛いでいるミウを呼び売り子として代わりに座らせる。
「えっ?・・なんですかいきなり?・・リュートさん??」
リュートは、ミウにどれでも1本で銀貨1枚で10本なら金貨1枚で売ることと告げて売り場から姿を消す。そして、男から少女が座り視線を重ねた男冒険者は、ミウの容姿を見て口を開く。
「いるんじゃん!あの2人は美人系で、この子は可愛い系だ・・ポーション5本売ってくれ!」
「はは、はい!・・えっと、銀貨5枚です。あっ・・どちらのポーションですか?」
「う〜んとね〜・・どっちにしようかな〜」
「あははは・・迷っているんですね・・」
少しでもミウと話しをしたい男冒険者は、適当に話しを伸ばしていると背後に並んでいる男冒険者達から苦情がきたため仕方なくHP回復ポーションを選択し商品を受け取った後は、笑顔で手を振り立ち去って行く。
その男冒険者にミウは、誰にも教わってないのに笑顔で手を振り返し見送る。その光景が命がけの戦いに向かう前の男冒険者達の中で女神の微笑みと噂となり、明朝から大勢の男冒険者達が商店リューノスへ押し寄せることをミウは知るはずもなかった・・・・。
売り子をミウに任せ姿を眩ませたリュートは、店舗スペースの奥にある手付かずの部屋に入り1人でポーション製作に励んでいた。
「ふぅ・・とりあえず200本で足りるかな・・」
完成したポーションの品質を中級になっているのを確認しアイテムボックスに収納して部屋を出ると、カウンターに並べてたポーションが残り僅かになっている事に驚く。
「おぉ・・今日で完売する勢いじゃん」
足音を立てないようゆっくりとミウの後ろへと立ち止まると、まだ10人ぐらいの列があった。
「ミウ、どんな感じ?」
「リュートさ〜ん!もう終わりが見えませんよ〜」
半泣きになり見上げるミウの頭を撫でていると、次の番になった客が2人を見て小さく舌打ちをして呟く。
「HPポーション1本くれ」
「は、はい!・・銀貨1枚ですぅ〜」
リュートに向けていた甘える視線を、営業スマイルへと戻し客を見るミウは、HPポーションを手渡し代金の銀貨1枚を受け取る。
「ありがとうございましたー。また来てくださいね〜」
舌打ちをした男冒険者も、ミウの笑顔に見送られるとニヤケながら小走りに去って行く光景にリュートは、男は女が持つ武器には勝てることは無いなと1人納得していた。
それから時間は流れ、依頼のため王都を出る冒険者達と早朝からの依頼が終わり王都へ戻って来た冒険者達の流れが途切れた昼あたりに店を閉めて長い休憩をする事にリュートは決めてルカとレナを呼び戻す。
「ルカ、レナお疲れ様・・とりあえず、今日の客引きは終わるね」
「はい、リュート様」
「あんな大勢の男の相手をするのは、初めてでした主様・・」
「レナ・・その言い方は、なんか変な事しているような感じがするぞ?」
「変な事ですか主様?」
リュートの言葉を理解できないレナは、頭を傾けて不思議そうな表情をしている。その姿を見たミウは、善意でその理由を教えてしまった。
「レナさん、その言い方だと不特定多数の男と体を重ねる行為をしたと言っていることと同じだってことですよ」
「ななっ!!・・わた、私が捧げるのは主様お一人だけです!他の男とだなんて・・もう客引きは二度とやりません!」
レナは頬を紅潮させ、リュートを見た後に顔を背けて俯く。
「ミウ・・」
「リュートさん、ちょっと大袈裟でしたね・・」
リュートは背を向けてしまったレナに寄り添い、右肩に触れてレナにしか聞こえない声で呟いた。
「レナ、今日はお疲れ様。ずっと嫌なことを無理にさせていてゴメンね。もう明日からは、やらなくて良いから」
「あ、主様・・そんなことは・・」
「良いんだよ。レナは、俺の傍に居てくれたらいいから」
「は、はい。あるじさまぁ・・」
潤んだ瞳で見上げるレナはもうリュートしか見えておらず、さらに忠誠心が高まったのは言うまでもない。
「リュート様、昼食を作って来ます。レナ・・行きますよ」
「・・・・はい。ルカお姉様!」
リュートに身を委ねていたレナは、ルカの言葉に現実へと戻され、姿勢を素早く戻し2階へと向かう姉のルカを追いかけたのだった・・。
「リュートさん、ルカさんにもフォローしないと、嫉妬で冷たくされちゃいますよ?」
「・・だよね?あのルカはご立腹のルカさんだったから」
「お願いしますね。女は・・・・」
「女は?」
「・・なんでもないです」
ミウは、誤魔化しながら小走りに2階へと逃げて行き、リュートは追うことなくミウの背中を見送ったのだった。
それから、昼食を食べた後に長い休息を取ってから営業を再開する予定でいたリュートだったが、ルカの機嫌直しに時間がかかり午後の営業は断念して、ポーション製作に集中する事に切り替えた。
「リュート様」
機嫌が戻ったルカは、1階の店舗スペースの奥の部屋で1人ポーション製作に励んでいるリュートに休憩を取ってもらおうと、ハーブティーと軽食を持ち部屋に入る。
「ん〜もう少しなんだけどな〜・・どうしたら良いのかな〜」
ルカの呼びかけに反応しないリュートは、何か独り言を呟いている。その後ろ姿を見るルカは、邪魔をしないため声をかけるのを控え黙ったままドアを閉めて部屋の隅で見守る事にしていた。
「もっと、魔力を濃いめにして、水を薄めに・・・・あっ!やべぇ!ミスった!」
リュートの焦る声に反応したルカは、持っていたコップと皿から手を離しリュートへと一瞬で近づく。
「リュート様!」
ルカの視線の先には、いつもとは違うかなり大きな瓶が2つあり、リュートの魔力を注ぎ込んでいることを知る。
「ルカ?・・」
突然背後から抱き付かれ顔をあげるリュートは、ルカの顔を見て名前を呟く。
ルカが見ても明らかにわかるように、目の前の瓶は魔力が膨大に注ぎ込まれ過ぎて魔力暴走を起こそうとしている。
「早く魔力を制御してください!手伝います!」
「すまん!!」
ルカは、急いでリュートと魔力を繋ぎ魔力制御を手伝うも、うまく融合できず魔力制御に手間取っていると部屋のドアが開かれ、異常に気付いたレナとミウが飛び込んで来る。
「2人とも手伝ってくれ!!」
「「 はい!! 」」
レナとミウもリュートと魔力を繋ぎ魔力制御を手伝い始めると、さらに2つの瓶に魔力が注ぎ込まれてしまい強烈な光がリュート達を包み込んでしまったのだった・・・・。




