94話 新装開店・・商店リューノス
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ドアが開き、ルカが顔だけを出してリュートを無言で見つめる。
「・・ルカ、どうした?」
「リュート様、本当にこの格好で店の外に出るのですか?」
「そうだよ・・早く見せて」
「・・リュート様だけに見せるのであれば、喜んでお見せしますが・・他の男にこの姿を見られるのは」
ルカは恥ずかしげにドアを全開に開けてリュートとミウの前に姿を見せ、後ろから隠れるようにレナも部屋から出て来て顔だけを出す。
「あ、主様・・流石にこの格好は・・いろんなところがスースーして落ち着かないですぅ」
リュートがルカとレナに着させたのはメイド服だった。一般的なメイド服と違いスカート丈を膝上まで短くし、胸元も大きく開いていて、2人の引き締まった腰のラインがわかるほどタイトになっていた。
「リュートさん、流石にアレは2人が可哀想ですよ・・もう娼婦と間違われて男に連れて行かれるレベルです・・」
「そんな・・店から2人が客引きする姿を眺めて働きたかったのに・・」
リュートは、あの場所の店の窓越しに眺めていた風景を、この王都で再現しようと大金を支払い特注のメイド服を購入したのだ。
「・・衛兵さん!ここに、店主の立場を悪用したヘンタイさんがいます!!」
「ちょっ・・ミウさん!?」
店の窓を開けて衛兵を呼ぼうとするミウに焦るリュートは、ルカとレナのメイド計画を断念しアイテムボックスから、もしものためにと準備していた他の服が入った袋を取り出す。
「実は、こっちが本命なんだ!」
先に渡されたメイド服が入っていた袋を出したリュートを見たミウは、開けていた窓を閉めてこちらを見ていた通りの見知らぬ人達に手を振って戻る。
「なんだ・・リュートさんは、ちゃんと考えているでは無いですか」
「も、もちろんだよ?」
「なぜ疑問形?」
「えっと、ルカ・・レナ、本当はこっちの服を着て欲しいんだ。その服は、その・・アレだ・・アレだからこの袋の中に入っている服に着替え直してくれ」
「「 ・・はい 」」
表情では、笑顔で2人に袋を手渡すものの心の中では泣いていた・・もちろん、リュートの楽しみにしていた感情と落胆した今の感情を読み取れるルカとレナは、主人であるリュートの期待に応えれない申し訳無さに胸が痛み、ミウがいない時にこのメイド服を着ることを誓っていた。
「はぁ・・見たかったなー」
ルカとレナが再び奥の部屋へと戻り着替えている時間に、リュートは小さく呟いてアイテムボックスから椅子を取り出しカウンターの前に置いて座り窓越しに通りを眺める。
「・・リュートさん」
背中を向けて落ち込んでいるリュートの後ろ姿を見て、余計なお世話をしたかなと思うミウはどうすればいいかと悩み2人の間に無言の空気が流れていく。
(困ったな・・リュートさんが、あんなに落ち込むなんて・・わたし、嫌われたかも・・・・)
通りを眺める事に飽きたのかリュートは立ち上がり、まだ物がほとんど置かれていない店舗スペースの場所にリュートはアイテムボックスから買っていた家具を取り出し並べ配置していく。
「とりあえず、今はこんな感じでいいかな?あとは・・」
入り口ドアから1メートル離した場所に目隠し用の簡易的な板を置いて、中央に無地の絨毯を敷いてから長方形の大きな背の低いテーブルを置くと囲むようにクッションを並べ置く。
そのテーブルを数回ほど小移動させては少し離れた位置から見て、納得した後は、窓が無い壁側に食器棚を置いてその横にテーブル置くと、そこに大きな水瓶を設置する。
「・・これぐらいでいいか」
リュートが1階の店舗スペースを、リビングのように使うスペースへと変え終わった頃にルカとレナが奥の部屋から出て新たに着替えた服をリュートに見せた。
「リュート様、いかがでしょうか?」
「主様・・似合うかな?」
「いいね!・・スタイルが良い2人だから似合ってるよ!」
ルカは、髪の色と同じ薄緑色のワンピースのような服であるも全体的にタイトであるため、ルカの身体のラインがはっきりとわかってしまい、左胸のポケットに描かれたリュート直筆のリューノスと書かれた店名がある。
レナが着ている服の形も同じであるも、色合いは青紫色でレナの髪の色と同じで帯剣できるよう腰には革製ベルトが取り付けられているため、ルカのよりもスカート丈は短めで動きやすさを犠牲にしていないようにしていた。
ルカとレナは2階目の着替えが終わった後に、店舗スペースが様変わりしていた事に内心驚くも、リュートのやる事だからと納得し聞かないでおく事にしたようだ。
「よし、中途半端な時間だけど開店しちゃうよ!?」
リュートはルカ達を店の軒先へと連れ出し、対面する。
「今から、商店リューノスの営業を開始します。そして、それを告げるために・・・・」
リュートはアイテムボックスから大事そうに何かを取り出し、ルカ達に見せた。
「これは、俺の両親から受け継いだ店の名前が彫られた大事な看板なんだ・・これを、この店に掲げます」
ドアに備え付けられている、看板取り付け用の台座に商店リューノスの看板を取り付け固定すると、ルカ達が笑顔で拍手をする。
「ありがとう。ルカ、レナ、ミウ・・これからもよろしく頼むよ」
「「「 はい!!! 」」」
長期間無人だった建物にリュート達の姿を見せて、何か商売を始めようとする気配に気づいた人達が数人集まり様子を伺っている。その最初の大事な客を逃さないため、リュートは笑顔で声をかけた。
「こんにちは、今から商店リューノスを開店します。しばらくは、ポーション販売のみですがどうぞご利用ください・・ルカ、ポーションを人数分持って来て」
「はい、リュート様」
リュートの指示でルカは、小走りで店内に戻りHPとMPポーション瓶を5人分手に取り戻って来てリュートに手渡す。
「ありがと、ルカ・・えっと、皆さんは冒険者パーティーですか?」
男3人女2人の顔を見渡すリュートは、誰がリーダーか探していると、一番右端の女が口を開く。
「そうだよ。私が、パーティーリーダーなの」
「はじめまして、商店リューノス店主のリュートと言います。この子は従業員のルカとレナ、そしてミウです」
「そう・・私はアンミ。Bランクパーティーで、それなりの強さを誇っているわ」
「Bランク冒険者でしたか・・それでしたら、どうぞコレを使ってください」
「ポーション?」
「はい。アンミさん達は貴重な高位ランク冒険者です。これは、品質が中級のHPとMP回復ポーションです。本日は、開店記念として無料で差し上げます」
「中級ポーションを無料でくれるのか?」
リュートの言葉にアンミ達は疑惑の視線を向ける。
「開店記念の今日だけです。明日からは、1本銀貨1枚で販売となります」
「「「「「 安い!!!!! 」」」」」
さらに相場より破格の値段であるため、効能が皆無ではと聞かれてしまう。
「効能には自信がありますよ。もちろん、鑑定スキル持ちの方に調べてもらっても構いません」
「そ、そうか・・好意は、遠慮なく受け取る主義だから素直に貰っておくよ」
「ありがとうございます。使ってみて気に入ってもらえたら、冒険者仲間に口コミで広げてください」
「あぁ、次の依頼で必要になった時に使って気に入れば、そうするよ」
「ありがとうございます」
アンミ達は、リュートからポーションを受け取るとギルドへ行く用事があると告げて歩き去って行ったのを見送った後に、無料でポーションが貰えるのを耳にした他の冒険者パーティーがリュートに近寄って来るも、その全てをリュートは笑顔で対応し最終的に60本のポーションを無料で配り終えたところで日没を迎えたため、今日の営業活動を終えた。
「リュートさん、あんな大量に無料で配っても大丈夫なのですか?」
心配そうにミウがリュートに聞くも、リュートは笑顔で答える。
「全然問題ないよ〜!それよりも、明日から来客が増えるか楽しみだな〜」
「なら良いですけど・・」
明日からの営業を楽しみにしているリュートは、ルカとレナが作った夕飯を食べ終えて、各人に振り分けた寝室へと戻り寝る事になった。
そして、ミウが自分の部屋で熟睡している深夜に寝室から音を出さず部屋から出る2つの影は、一番奥の寝室へと忍び込んで、ベッドで熟睡しているリュートの横で立ち止まりゆっくりと手を伸ばす。
ガシッ!
「「 きゃっ 」」
「しー!ミウが起きちゃうよ?」
「リュート様」
「主様」
「来るなら、俺と一緒に来ればよかったのに」
「ミウさんに申し訳ないかと思いまして・・」
窓から差し込む月明かりに、ルカとレナの瞳が反射してキラキラと輝いている。
「ミウは気にしないと思うぞ?」
「「 ・・・・ 」」
ルカとレナは、黙り込んでしまうもリュートを見上げ見つめている。その2人の仕草に我慢できなくなったリュートは、久しぶりの魔力譲渡を2人にシテしまい、気絶するように意識を失い眠りについてしまう。
そのリュートに添い寝するルカとレナは、魔力譲渡の影響で体温が急激に上昇しベッドを濡らし荒い息遣いのまま恍惚の表情をリュートの胸元に押し付けるかのように、僅かな時間差で遅れて意識を手放し活動休止状態へと強制的に移行していたのだった・・・・。
しばらくは、王都での活動になります。そして、いろんな客と
王族からもらった報酬物件のせいで、何かと巻き込まれるかもです。
引き続きお付き合いをお願いします。




