小説執筆/衣装の構想
今、高級そうな一人掛けソファに座りながら、考え事をしていた。それは、勿論小説の事である。書くと決めたは良いものの、一体何を題材にしたらよいのか。普通にノーマルの作品を書くのも良いけど、BLも書きたい。でも、ストーリーが決まらない。ちょっと、クリムに聞いてみようか。BLの事は内緒にしないと出版社に持って行ってくれないかもしれない。出版社の人にだけ、手紙でも書いておけば問題ないだろう。
「なあ、クリムよ。小説を書こうと思うんだが、どんな題材だと流行るかな?今、人気なジャンルって何かある?」
「そうですねぇ。貴族の女性たちを中心にラブロマンス系が人気だと聞いております。男性は、あまり読まないと思われます。研究職に就いたものは、研究関連の書類なら読むと思います。」
なるほど。最初は女性が好きなジャンルを書いておけば、ヒットするってことか!身分違いの恋や、学園もの、年の差とか、好きそうだな~。後は、この世界に初めてのBL作品を生み出そう。BLもノーマルと同じように、学園ものと歳の差を書こう。テーマは決まったから後は書くだけだな。
「ありがとう。参考にするよ。じゃあ、今から執筆してくるわ。食事の時間になったら呼んで。」
「承知致しました。昼食時にまたお声がけいたします。私は、部屋の整理や掃除をしておりますので、御用の際にコチラの鈴を鳴らしてください。」
え、凄い。なにこの、ファーストフード店みたいな呼び鈴鳴らすと来るスタイル。面白い。
それから、普通の執事だったら、こんなにベッタリじゃないはずだけど、仕える主が王子様だからなのか、私から離れる事がほとんどない。
「じゃあ、昼に。」
それから、ずっと書いていた。昼も過ぎ、気づけば夜になっていた。筆は乗っているけど、まだまだだ。スマホとかPCに打つなら、すぐに終わるのにな。
「お坊ちゃま。もうこんな時間です。続きは明日にしましょう。」
一度切り替えて明日続きを書こう。
「分かったよ。もう寝るよ。」
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そして、翌日。
今日は、執筆の他にもやることがある。自分が着る服の事だ。お披露目式まであと少しだし、女装用の服も欲しいし。本音は、お披露目式なんかより、女装一択だ。
女装服についてだったら、色々思いつく。取り敢えず、着てみたいドレスだけ、思い浮かべてみる。
ウエストの切り替えからスカートがふわっと広がるプリンセスライン。
ウエストラインが高い位置にあり、スカートが裾にかけて直線的に広がり、アルファベットの”A”の形に見えるAライン。
古代ギリシャのヴィーナスを連想させるシルエットのエンパイアライン。
全体的なシルエットが細く、すっきりとした印象のスレンダーライン。
膝下から人魚の尾ひれのように裾が広がるマーメイドライン。
ドレスの後ろの裾が特に長いタイプのロングトレーン。
中世ヨーロッパの貴族が着ていたドレスが元となったベルライン
肩紐のないコルセットタイプで、デコルテ(首から胸元にかけての部分)がまっすぐにカットされたストレートビスチェ。
肩紐がないコルセットタイプで、デコルテ部分がハートの形にカットされたハートカットビスチェ
取り敢えず、着たいドレスのパターンを紙に描いていく。あれもこれも最高すぎると、描いていたら執事に呼ばれた。そりゃそうだ。男が女物のドレスを黙々と描いてたら不審がるに違いない。
「レオ様。朝食の時間です。朝食後、ルリを呼んできましょうか?カノン様のお手伝いは嬉々としてやると思われます。」
若干、クリムが遠い目をしているのは、置いておいて、ルリを呼んでもらう事にした。クリムは考えるのを放棄したみたいだ。
「じゃあ、宜しく。後、衣装デザインを、今日色々考えるから、小説の原稿が終わり次第、信頼できるブティックにオートクチュールの依頼をしてほしい。大事な書類になるから、クリム頼めないかな?私の傍を離れちゃいけないのは分かってるから、代わりにルリに居てもらうよ。」
クリムが居ない間、少し羽を伸ばせるし。居る時も随分と羽を伸ばしているが、全て棚に置いた。
「畏まりました。ルリに任せて、原稿が出来次第、行ってきます。」
「まあ、そんなにすぐには、執筆の方が終わらないと思うから、私に関する身の回りの引継ぎだけ、1日分だけどルリにしておいて。」
まあ、こんな事を頼む必要も無いくらい優秀な執事だって分かっているけど、一応。ルリなら、顔見知りだし、カノン(レオが女装した時の仮の名前)に対しての尊敬度がえげつない。多分王子の時より、信仰している。宗教に心酔している信者みたいな。まあ、そこまで来ると、もはや安心するよね。
そんなこんなで、ルリが来た。ルリと一緒にどんなドレスが似合うかとか、色々話し合いをした。
「多分私の体が小柄だから、プリンセスラインかベルラインは似合うと思うんだけど、マーメイドラインは着たくても、背が足りないよね。」
「そうですね。私もその二つがお似合いになると思います。でも、一応色々頼んでみるのはどうでしょうか。」
「その手があったか!背とか関係なしに王族なんだから、色々頼んじゃえばいいんだ!ついでにお母さまに似合いそうなドレスも何着か用意してお披露目式で着てもらおう。」
「それはいい案ですね!私もお披露目式でカノン様に会えると思うと胸がいっぱいです。」
なにか、今変な言葉がよぎったような?気のせいだよね?
「ん?今何て?」
「ですから、お披露目式でカノン様にお会いできると申しました。」
何を言っているんだろう。王子のお披露目式に女装した王子が現れたら、場が混乱するよね。可愛さで皆失神するかもだけど。
「ウキウキしている所、悪いんだけど、女装はしないよ?王子のお披露目式に女の子が来たら皆びっくりするでしょ?」
「そうです。レオ様に変な噂が立ったらどうするんですか。ルリ、あなた一人では責任を負えないでしょう。」
分かりやすく、ガックリと項垂れたルリだったが、ドレスの話をすると、一気にテンションが上がった。分かりやすくて、好きだ。そして、ドレスの色や素材を決めていく。プリンセスラインのドレスは、紫でシンプルな感じに、ベルラインのドレスはピンクで全体的に可愛らしい感じに、マーメイドドレスは、ブルーでオフショルダーでくびれがハッキリと分かるセクシーな感じにしようと決めた。
「じゃあ、このプリンセスラインとベルラインとマーメイドラインのドレスの注文をしよう。このパターンに詳しくどんな感じか記載しておいたから、宜しく。後、原稿はここにあるからコレ持って行って。」
気付けば夜。最近こんな事が多い。まだ、5歳なのに、こんなに仕事をしているなんて。厳密に言えば、仕事というより、趣味だけど。おかしいと思わないクリムもルリも変わってる。
パターン考えながら、執筆するのは、疲れた。そして、疲れ果てて寝た。
今まで、1000字を目安に書いていたけど、普通に考えて、量少なくない??って思って、頑張って2000字目安に書いてみました。
そしたら、ギリギリになってしましました...
これからも、何卒宜しくお願い致します。