この騎士、かわi・・・じゃなくて、弱い!
「なんか怪しいな。」
ドゴールに追い出されるようにして屋敷を後にした俺は、騎士がいるという道場に向かっているのだが・・・
「俺もそこまで鈍感じゃないぞ。ラノベ主人公じゃあるまいし。」
そう。ドゴールが最後に見せた表情。お前もだよ的な嘲笑の笑み。要するに、そのウィストミメって騎士も剣をうまく使えてないってことだろ?
「ここが道場?王族以外立ち入り禁止だが。ま、大丈夫っしょ。」
「おいお前、誰だ」
「あ・・・」
そこにいたのは、あれだ、めっっっちゃごついガードマン?的な男だ。
「貴様は誰だと聞いている!」
「ひぃぃぃ!・・・えっと、その、あの、・・・」
「貴様は代名詞を言う機械か!」
「すんません帰ります!」
「帰るにしても、名乗ってから出て行ってもらおう」
そういうと彼は動いたわけでもなく、もう一人の人が(いたのかよ!?)立ちふさがった。
「えっと、私は、王族戦士の、ま、魔女です。」
「え!?こ、これは、たいへん失礼いたしましたサティア様。見学ですか?」
「え、俺そんなに有名なの?」
「めっそうもない。十年ぶりの魔女ですぞ!」
「あ、そか、そうだよね、うん。あの、見学っていうか、ウィストミメさんに会わせてもらいたいなと。」
「あぁ、ウィストミメか。お前、案内しろ。」
そういって連れて行かれたのは、道場ではなく、宿舎。どうやらそこに彼女がいるそうな。
「どうぞお入りください。それではこれで。」
彼は彼女を呼ぶと、帰っていった。
「あ、どうも。ウィストミメさん・・・?」
「あ、あの、ごめんなさい!だから、殺すことだけは!」
「え?何言ってんの?ちょっとしゃべりに来ただけだよ。」
「え?」
「え?」
「・・・」
「いやそこで黙るなっ!」
「すすすすすいません!」
「はぁ・・・で、なんでそんなに殺されるとか言ってたの?」
「それはですね・・・」
どうやら彼女は転生して騎士になったはいいものの、俺同様まったく剣が扱えず困っているという。彼女は日本からきたそうで、家に帰ろうと歩いていたら、脱線した電車が突っ込んできて死んでしまったとか。かわいそうに。ま、俺も知らない人に突き落とされて死んだから、かわいそうだな(圧倒的ぼっち感)。
「で?明日の紹介式で、恥をかきたくないと?」
「そうなんです。騎士は例年、スキルを参加者に披露するのですが、そのスキルが使えなくて・・・」
「そうか、確か、俺が冷やした部屋を、お前が温めるって聞いてるが。」
「そうです。魔女さん・・・って魔女!?」
「いまさらかよ!このマントで気付けマントで!」
「ごめんなさい・・・。炎属性なんですか?」
「違うよ水だよ!髪の色が紛らわしくて悪かったな!」
「別に悪いなんて・・・。」
ところで彼女、黒髪ツインテールの童顔美少女って感じなんだが、取り乱した時のこの可愛さよ、尊い。俺でもわかる。
「じゃあ練習する?」
「え・・・いいんですか?」
「あぁ!うちの庭広いから、練習にはうってつけだよ!」
「あ、ありがとうございます!」
* * *
「あの・・・勝手に他人を入れないでもらえます?」
「でも俺の庭だろ?いいじゃん別に?」
「いや、まぁそうですけど・・・。はぁ、仕方ないですね。スキルが放てるようになったらすぐ帰ってもらいますからね。」
「どうも~!」
「あ、あの、もう練習して・・・」
「ああとっとと始めよう!」
そっから夕方まで練習しつづけた。多少はスキルが使えるようにはなったみたいだが、宴会場の温度を上げるのはかなり難しそうだ。なんか奇跡でも起こればなぁ。
「よし・・・これで最後・・・」
あ、やべ、マナ使い果たしちゃった。
「よし、いくぞ。ファイアフレーーーム!」
庭の温度が一気に上昇する。成功だ。
「お?」
「おや。」
「おっしゃぁぁぁぁあぁぁぁ!」
「お、おめでとう・・・」
「よく頑張りました。」
「二人ともありがとうございました!」
「・・・今日はもう帰って休んだ方がよいでしょう。」
「わかりました!今日はホントにありがとうございました!」
「あぁ・・・自信がついてなによりだよ・・・」
「では、また明日!」
「あぁ・・・」
「さようなら。」
「ところでドゴール、もうマナが・・・」
「大丈夫、寝れば回復しますって。」
「そういう問題じゃ・・・バタッ」
・・・しっかりオチをつけていくのであった。